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あんときのフィルムカメラ わーきゃー言いながら追いかけ合う頃 に出会った OLYMPUS OM1-MD + G.ZUIKO 28mm f3.5

つながり続けるこども食堂

 こども食堂は「聞いたことはあるが、行ったことのない場所」だ。イメージだけで語るしかない。そして報道は、こども食堂が「食べれない子」のためにある場所のように伝えてきた。福祉っぽい場所だというイメージが張り付いてしまうのも無理はない。
 しかし岡田さん(引用者補足…サッカー日本代表元監督の岡田武史さん)がそうだったように、行ってみると印象は一変する。

(出典)湯浅誠『つながり続けるこども食堂』中央公論新社、2021年、52頁。


こども食堂」の普及・支援活動を続ける社会活動家の湯浅誠さんが、こども食堂の最新の状況を伝える一冊が『つながり続けるこども食堂』(中央公論新社)です。

 湯浅さんは、サッカー日本代表元監督の岡田さんをこども食堂に招いた時の、驚きを冒頭で紹介していますが、たしかにこども食堂は、「聞いたことはあるが、行ったことのない場所」で、どこか「福祉っぽい場所」という印象の拭えない場所だと思います。

 しかし、いったん、足を踏み入れてみると「子どもは部屋から部屋へ、所狭しと駆け回る。お母さんたちは、子どもが買ってに遊んでくれるので、おしゃべりに夢中。主催者のおじさんは、そろそろ晩酌がしたくなって『帰れ、帰れ』と言っている」こんな場所だったんだという驚きです。

 たしかに「福祉っぽい場所」は事実ですが、湯浅さんは、子ども食堂の本質を「地域のにぎわいづくり」と示します。

 地域を見回してみると「さびしくなったなあ」と感じることは多いと思いますが、

 そうした中で、地域の人たちが集まる場をつくろう、みんなで食べるって楽しい、孤食対策にもなるし食育にもなる、忙しいお母さんたちにほっとできる場所を、お年寄りが地域の子たちと触れ合う機会を、--と広がっているのが、こども食堂だ。
(出典)湯浅誠、前掲書、2頁。

 いわば、進化し続ける子ども食堂の魅力を豊かに伝えるのが湯浅さんの『つながり続けるこども食堂』ですが、地域を元気にしたいなあと思う方には紐解いて欲しい一冊です。

わーきゃー言いながら追いかけ合う頃

 さて、今回の「あんときのフィルムカメラ」は、書評のように書き始めとなりましたが、まあ、古いフィルムカメラの魅力を伝えるコラムが書評じみてしまうのも、1つのアプローチではないかと思ったりしつつ、筆を進めていますが、湯浅さんの最新刊で目を引いた一節が次のくだりです。

 大人からすると、何が楽しいのかわからないが、とにかく楽しそうに追いかけ合っている。追いかける側と追いかけられる側に分かれて、わーきゃー言いながら追いかけ合う。 そういえば、私も小学生のとき、秋田という友人とよく追いかけっこをした。休み時間中、たいてい私が追いかけ、秋田が逃げた。理由は特になく、そういう「役割」になって、ひたすら校内を走り回った。休み時間中ずっと走り続けていた。……子どもとは。そういう生き物なのだろう。
(出典)湯浅誠『つながり続けるこども食堂』中央公論新社、2021年、52頁。


 僕自身は、自分の記憶をたどれば、「わーきゃー言いながら追いかけ合う」ような活発な子どもではなかったとは思うのですが、思えば、小学生の時に、最初に手にとったカメラが、いわゆるレンジファインダーのカメラでしたので、撮影者としては、一眼レフのカメラと縁遠い生活を送ってしまうことになりました。

 いったん、カメラから離れ、長じてから再び趣味とするようになってからも、ほとんどライカを使っていましたので、一眼レフとは僕にとっては、やはり身近な存在ではなく、使うにしても使いにくいという印象が拭えません。それほど、疎遠な存在ですけれども、実は、小学生のときに、一眼レフを使うやも知れぬという選択肢がありました。

 ちょうど、その頃、天体写真を撮りたく、一眼レフを選んでいたのですが、なぜか近所のカメラ屋でおすすめされたのが、オリンパスのOM2だかOM3だったかと記憶しております。どこのカメラがいいのかわるいのかなんて知らない小学生ですから、

 ふうん、そういうものなんだ

 といった理解でしたが、結局は購入に至らず、カメラや天体写真から遠ざかってしまいました。

OM-1MDで「でんせつのたま」

 ただ長じてから、キヤノンのイオスやニコンのF4なんかを使うようになってから、一度は使ってみたいと思っていたのが、オリンパスのOMシリーズと、オリンパスのペンFでした。デジカメを使うようになってから、フイルムカメラと疎遠になりましたが、昨年、再起動しましたので、思い切ってオリンパスOM1-MDに G.ZUIKO 28mm f3.5 がセットになったものが安く出ていましたので購入してみました。

 確かにコンパクトにまとめられた筐体は、華奢というよりも、オリンパスの壮絶なまでなものづくりの気迫を感じさせるものがあり、手に取ると武者震いしてしまうといっても過言ではありません。

 発売は1974年10月で、OM1の誕生から2年後のことです。OM-1にモータドライブを取り付け可能にしたボディーで、モータードライブ付で入手しました。整備済で、OMシリーズきっての銘レンズ付きで安心して撮影することができました。

 さて、使用感ですが、筐体の小ささゆえ、ミラーのショックとかを懸念しましたが、こちらは杞憂で、操作感と安定性は抜群で驚きました。シャッタスピードの変更が軍艦部ではなく、レンズ接合部にあることに慣れてしまえば、全く問題ありません。

 そしてレンズです。「でんせつのたま」と呼ばれる G.zuiko 28mm/f3.5 ですが、開放絞りがf3.5と大変くらいレンズですが、開放f値に無理がない設計のゆえでしょうか、画質が抜群によく驚いています。コントラストが高く、広角レンズなのに開放絞りできちんとボケ、絞り込んでいくと大変シャープに写ります

ちょうどこのカメラを使うまで標準レンズばかりつかっていましたので、広角レンズが久しぶりとなり、その使い方に迷いが出てしまいましたが、以下、拙い写真ですが作例です。


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↑ f16、1/500

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↑ f5.6、1/500

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↑ f16、1/500

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↑ f11、1/1000

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↑ f8 1/1000

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↑ f11、1/1000

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↑ f8、1/1000

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↑ f5.6、1/1000

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↑ f4、1/1000

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↑ f16、1/250

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↑ f11、1/1000

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↑ f16、1/1000

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↑ f16、1/1000

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↑ f16、1/500

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↑ f8、1/1000

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↑ f5.7、1/1000

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↑ f4、1/30

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↑ f3.5、1/30

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↑ f3.5、1/30

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↑ f8、1/250

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↑ f16、1/1000

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↑ f5.6、1/500

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↑ f5.6、1/1000

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撮影は2021年4月16日から6月5日にかけて。フィルムは、富士フイルムカラーネガフイルムSUPERIA PREMIUM 400を使用。香川県仲多度郡多度津町、三豊市、善通寺市、丸亀市で撮影しました。久しぶりにISO400のフイルムを使いましたので、1/1000での撮影が多くなりました。桜の終わりから紫陽花の咲く頃の瀬戸内の情景をスケッチしましたがいかがでしょうか。



氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。