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軍歌だけは絶対に歌わない

いつもデイサービスに来て頂き、利用者の皆さまとご一緒に音楽会(合唱会)を開いてくださっている詩吟の先生は、国民学校在学中に敗戦を迎えられた戦中派です。

懐かしい唱歌から美空ひばりの歌謡曲まで幅広く歌ってくださるのですが、「軍歌」だけは絶対に歌いません。

「戦争は何があっても絶対にいけない」。

自らの体験から矍鑠ときちんと断言し、暴力を美化の風潮に警鐘を鳴らしてくださいます。自分自身の体と心に裏打ちされた言葉ですので、重く受け止めています。

1990年代以降、ディベートブームや思想界における(絶対的なと形容せざるを得ないのですが)相対主義の氾濫を背景に、

なんでも、反対、賛成という一見すると両論併記を装い、暴論をさも価値があるかのような言説で言いくるめてしまうような雰囲気が隆盛し、その結果、そのことがらが正しいのか間違っているのかではなく、

「論破したもん勝ち」

のような風潮があり少し怖いなあと感じたりしたりします。

自分自身は、そうしたハッタリ価値自由のような論調に加担こそしてはいませんが、思想哲学世界の末端にいましたので、野放しにしてしまったことには責任を感じたりもしています。

しかし、戦争には意義がある的な言説には、本当に「絶対におかしい」あるいは「間違っている」と言い切ってく勇気というは必要だなあと学ばせていただいております。


本当に感謝ですね。

氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。