【152】スモモ「ハニーローザ」収穫しました! 2023.6.29
1 ハニーローザはとっても美味しくて希少な日本スモモの新品種!
ハニーローザを食べたことのある人はそんなに多くないと思います。
「果物ナビ」や「果樹試験場報告」の論文などで見てみると
”スモモ新品種‘ハニーローザ”
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010581886.pdf
「ハニーローザ」は、「豊産性で甘みが多く酸味の柔らかい早生品種の日本スモモを育成する」ことを目標として農林省園芸試験場が開発し、日本スモモ「ホワイトプラム」の自然交雑実生から選抜した品種で、1994年に、「すもも農林1号”ハニーローザ”」と命名して品種登録されたものなのだそうです。
その果実は、円形でサイズは40~50gとやや小さく、果皮は熟すと淡い紅色になり、淡い黄色の果肉は果汁を豊富に含んでいてなめらかな口当たりで、今一番多く出回っている「大石早生」と比べるとやや小粒ですが、糖度が高く、酸味が少ないのでしっかりと甘さが感じられるとても美味しい品種だとなっています。
今のところハニーローザの国内栽培面積はほとんど100%が熊本で約5ヘクタール、生産量は年間9t程度と少量であり、しかも一斉に熟すため収穫時期は年に10日に限られるそうなので、これからも市場に沢山出回ることは考えにくく、食べるには通販か自分で育てるしかなさそうです。
2 ええ!スモモ「太陽」は一本では実が成らないの?ハニーローザがうちに来た訳。
実は私のプチ果樹園には1994年に植えた「太陽」というスモモがあって、とても大きく育って花も満開に咲くようになったのに毎年3-4個くらいしか実が付かず、何故だろうと常々思いながらそのままにしていたのですが、ある時ふと調べてみると、「太陽」には自家不和合性があり、一本では実を付けず、別な種類のスモモの花粉がないと受精しないということが分かったのです。
愕然として、慌てて相性のよい品種を調べてみたら「ハニーローザ」がいいと書いてあり、「ハニーローザ」自体も美味しそうだったので、これにしようと苗木を通販で買って植えたのが2016年9月のことでした。
ちなみに「太陽」を植えた1994年がハニーローザが誕生した年だったというのは何か不思議な縁を感じます。
もう一つちなみに、ハニーローザ自体も自家不和合性なので、一本では実が成りませんので育ててみようと思った方はご注意を。
花粉樹は開花時期が同じでなければとかがあるので、何でもよいわけではないのです。結果的に「太陽」と「ハニーローザ」は互いに相性が良かったようでした。
3 ハニーローザの高接ぎ
「高接ぎ」ってご存じですか?
接ぎ木は病気に強く樹勢の強い丈夫な台木を数㎝位の所で切って、園芸品種を接ぎ木した接ぎ木苗というのをよく売っています。胡瓜や茄子なんかでも接ぎ木苗があったりして、ごく普通に行われる技術になっています。
この場合、台木は本当に「縁の下の力持ち」状態になってしまうわけですが、「高接ぎ」では違う種類の成木の枝に違う品種の枝を接ぎ木するのです。その結果、同じ木に2種類の実が成るのです。
ネットをみたら、1本の木に5-6種類の実を成らせている例もあって、とても不思議な魔法のようで魅せられてしまい、これだと思ってやってみることにしたのです。
高接ぎのよい所は一本で色々な種類の実が成らせられるので、土地の狭い家庭栽培などでは場所を取らないので向いています。
そして、最初からしっかり根の張った成木に接ぎ木するので、接ぎ木の成長が早く実を付けるまでの期間が短いことです。
ただ、接ぎ木するためにはその品種の枝が必要で、品種登録されているものは勝手に枝を頒布したりは禁止されているので、結局その苗を買わなければいけないので費用的には変わらないということはあります。
ということで、植え付けた「ハニーローザ」の枝を切って「太陽」に高接ぎしてみたのが2020年7月でした。
直径4mmくらいの細い枝でしたが3か所くらいやってみたうちの1か所だけ活着してくれたのです。
それがどんどん元気に成長して3年後の今では4cmくらいの太さになり、今年初めて満開に花を付け、鈴生りに実を成らせたのです。
元の苗木は7年経って直径3.5cm、ちらほら花が咲いて実は3-4個成るかならないかという状態ですから、高接ぎの成長の速さには驚かされます。
親木の「太陽」の方は根回り15cmの太さになっており、しっかりと根を張っています。そんなお金持ちのうちに養子に行って栄養を沢山供給してもらうのですから育ちが早くなるわけです。
4 ハニーローザの今年の様子
1)短果枝に蕾が付いた
太い枝から短い枝が沢山生えてその枝に沢山蕾が付いています。
この短い枝が短果枝といって実を付ける枝なのです。
2)蕾が膨らんできました
3)花が咲き始めました
4)満開の花盛り
「太陽」と「ハニーローザ」は同時期に満開になりました。これは互いに受粉するためにはとてよいことです。
5)小さな実が付きました
6)摘果
ハニーローザは特に実付きがよく鈴生りのままかなり大きく成ってきました。いくら何でもこれでは多すぎるだろうということで摘果することにしました。
太陽の方はこんな感じで適度な間隔になっており摘果はせず。
ネットでは10㎝に1個くらいの間隔にするそうで、頑張って少し摘果したのですが、そんなに減らすのはとてももったいなくて、いいや、今年は成る様に成らせて、来年どんなふうに影響が出るのか試してみよう、それも勉強だということで、摘果はほんの少しでやめてしまいました。
ちなみに摘果した実は青梅のように砂糖煮にすれば食べられるとネットにあったのでやってみました。食べられないことはなかったですが、ちょっと青臭さとえぐみがのこり、それほど美味しいとは言えない出来になりました。
7)鈴生りのまま大きく膨らんできました。
8)ハニーローザが色付いてきました
「ハニーローザ」が大分色付いてきました。もう少しでしょうか。
9)鳥に突つかれ、防鳥ネットを掛けました
まだもう少しかなと思っていたら6月17日に何個か鳥にやられているのを発見しました。
慌てて防鳥ネットを発注したら、翌18日に届いたので、即、下の写真のようにかけました。効果絶大でその後の被害は0です。
10)そろそろいいかな?
大分色付いてきたのでそろそろよさそうです。でもこの後もっと赤くなるのか収穫時期がよくわかりません。
11)収穫しました!そのお味は? 美味しい!!
6月29日に初収穫し早速食べてみました。
果肉は黄色、柔らかくてきめが細かくジューシ-でとても甘くて美味しいです。
スモモは一口目は甘いのですが、食べていくと種の周りが酸っぱくて後味が悪く、それが苦手だという人も多いようですが、ハニーローザは種周りの酸っぱさがほとんどないので食べやすいです。
すごく密に成らせてしまったので大きさが小さくなってしまうかと思ったのですが一つ50g位はあり、ハニーローザの標準の大きさに育ってくれていました。
これで来年もしっかり実を付けてくれたらいうことないのですが、どうなるのでしょうね。来年の結果状況が楽しみです。
ということで、ハニーローザは「豊産性で甘みが多く酸味の柔らかい早生品種の日本スモモを育成する」という目標を100点満点で達成しているように思われます。
ハニーローザのお陰で太陽の方も順調に実を付け大きく成ってきていますのでそちらも」楽しみです。
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