【日記】スイカを買いに出かけた。

暑かったので、スイカを買いに出かけた。

近所のスーパーは市内でも指折りの激安スーパーで、
まだ開店して間もないというのに、
駐輪場は多くのママチャリで賑わっていた。

案の定、果物コーナーは主婦でごった返していた。

「美味しいのは音で分かる」
と、彼女たちはスイカをひとつひとつ叩き
彼女たちの子らもそれを真似た。
そうして、
当たりだと思われる一番良い音がしたのを
買っていった。

辺りには粉々になったスイカが散乱し
床には赤い汁が溜まり、異様な匂いを放っていた。

店員たちはそこに塩を撒き、
買われなかったスイカたちの供養をはじめた。
力士が土俵に塩を撒くのは
この慣わしが由来になっているらしい。

僕は陳列棚にキミが並んでいないことを確認して、
売れ残ったスイカをひとつ、割った。