雪だるマフラー
僕はね、マフラーを巻くのが好きなんだ。
もちろん、ほとんどの場合においては面倒だよ。電車とか建物に入ったら暑いし、髪の毛がぱちぱち言うし。でも、寒いなと思う日に、例えば今日、首にくるくる巻いたら、それはそれで楽しくて、温かくて好きなんだ。
なんだか雪だるまになったような気分。
雪だるまって、雪だるま自身冷たいのに、防寒用のアイテム、マフラーが巻き付けられたりするでしょ。おっかしいよね。
雪だるま自身が冷たいから、温かいだなんて感じることもないのに、というか温かさを感じてはいけないはずのに、人はその大きい丸と小さい丸の間のくぼみに、マフラーをくるくると巻き付けて、終いには可愛い結び目までつくっちゃったりして。
・v・
それで大抵こんな具合に、にまっと笑ってるんだ。みんな。
日が高くのぼったら、もしくは冬が過ぎ去ったら、みんなみんな消えていくのに。
・とvと・が、もしくは・と|と・が、ぽつんと。木の実だったり、石だったり、枝だったり、もはやなんなのか分からないゴミだったり。そしてある場合にはマフラーが、ぽつんと。
それを見つけた時、僕はさびしくって堪らなくなるんだ。君たちはまた、いってしまったのか、ってね。
また会いたいだなんて言わないよ。会えるかわからないもの。
僕はマフラーを巻くと、雪だるまになったような気分になるんだ。冬が過ぎ去ったら、溶けて消えてしまう雪だるまに。
そのとき、マフラーの温もりが、僕が消えても、というより僕が消えないための確かなものだと感じる。そうか、だからみんな、雪だるまにマフラーを巻きつけるんだね。くるくると、くるくると。終いにきっちり結んだりして。冬が過ぎ去っても、消えないようにって。
マフラーだけがぽつんと残っているのを見つけてしまうと、さびしくなってしまうけど、それでも、雪だるまにはマフラーを巻かないとね。
君たちは冬の間しか生きられない、だから冬に会おう。
会えるかわからないけど、僕はまた会いたいよ。
2023.12.23 星期六 晴れ
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