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【UW映画感想】#15『洲崎パラダイス赤信号』【藤堂貴文】

1956年公開、赤線地帯と呼ばれていた公認売春地域「洲崎」に、地方から駆け落ち同然でたどり着いた男女が主人公の作品。
この映画の主人公たち、現在でもまわりに一人ぐらいは居る、なんでそんなのと一緒にいるのって友人たちに散々言われてるのに、依存しあって離れられないよくいるタイプの似た者カップル。男の方は二言目に「俺なんてどうせ」って言っちゃう、うだつの上がらないヤツ。女の方は典型的なダメンズウォーカー、別の男に依存しようとするし。ほんで二人とも自分のことしか考えてない。見てて腹立つ人も多いと思う。でもオープニングと対比になってる前向きなエンディングを見る限り、主人公たちは依存から共生の関係になったんだろうなと思えた。二人の意識が変わったであろうきっかけが後味わりいのでそう願いたい。

そんなストーリーは置いといて、当時の洲崎(今の江東区東陽町)で実際にロケ撮影してるので、70年前のその地域がまんまそのまま観られる。それにとても興奮した。
どこかのJRの駅に、当駅〇〇周年の記念とかで開通当時の写真が飾られてるの見たことないですか?あれすごく好きなんですよね。そこに飾られてる写真って、大体がまわりは田んぼだらけだったり、なんでここに駅作ったんぐらい何も無い場所が写されてて、それを見た後に高層ビルやマンションが立ち並ぶ現在の風景を見た時に、人間のパワーってすげぇなって思うんですよ。戦争でボッコボコにされたのに昔の人ってすげぇなって。だからこの映画に出てくる街も人も、なんだかすげぇエネルギッシュに感じた。すげぇみんな活き活きと生きてる。あと劇中でチラッと見えたサントリーウィスキーの角瓶が、今と変わってなかったのにもすげぇ興奮した。昔ってすげぇ良い。

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