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唯一の香り。

朝起きた瞬間、部屋がくらい日がある。

私の部屋は南向き。
冬は毎朝6時に目が覚めると部屋が一面オレンジに輝く。

今日はまっくらだ。

朝から電気をつけてパソコンに向かう。
まあ気合いも入らない訳で、内定者課題を無心で進めていく。

天気予報は嵐のち快晴。

こんな漫画みたいな天気予報は久しぶりだ。

昼ごはん。
外を見ればベランダは一面洪水状態。
窓にすら雨風が吹き付けている。

「本当に晴れるのか?」
いや、
『本当に晴れるのか?』

予報は16:00から快晴。
15:46、外が明るくなってきた。
16:08、雲がひとつもなくなった。

『天気予報を崇める日』

トワイライトタイムは"いつもより"美しい。
遠くの山脈の麓には雲が溜まっている。
上から下にかけて見事なグラデーション。

外に出た。

この香りである。

雨の音よりも、

雨の後に掛る虹よりも、

この香りが堪らなく好きである。

冷たさが香りになる瞬間。
冷蔵庫でも冷凍庫でもスノーボードをしているときですら感じることが出来ない。
雨の香りと冷たい空気が鼻の奥に突き刺さる。

雨は正直気分が下がる。

でも、一概に悪いとは言えない気がする。

止んだあとには素晴らしい世界が広がる。

新型ウイルスが日本で蔓延し始めてから約1ヶ月がたったと言っていいだろうか。
誰もが本当に辛い1年間を過ごしてきた。

辛さはそれぞれだ。

でも、この状況をどうにかしようと必死になってくれてる人がいて、協力しようとしている人がいて、それぞれがやるべきことを、本当に頑張った。

改めてみんなで言い合いたい。
「おつかれさま」

新型ウイルスを乗り切った先にある世界はどんなだろうか。
美しい景色か、美しい香りか。
そんな期待を胸に、これからも走り続けていこう。

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