【番外編①】ロースクールの過ごし方〜最小限の労力でそこそこの成績を〜ver1.2

要点:ロースクールの授業全てについて真面目に予習復習していれば、普通にいい成績が取れるだろう。しかし、それには膨大な時間がかかるため、予備試験対策に時間が避けなかったり、最悪司法試験対策も疎かになったりする危険性がある。最低限の時間と労力で、企業法務系の就活で不利にならない程度の成績(=「そこそこの成績」)を取るためには、ロースクールで上手に立ち回る必要がある。

1. ロースクールの授業は司法試験の役にたつか

 これに対する僕の答えは「わからない」である。なぜなら、僕はローの授業を2年間ほとんど聞いていないからだ。席に座っているだけで苦痛すぎて、ずっとネットサーフィンかブラウザゲームをして時が過ぎるのを待っていた。
 僕がロー生だった当時の噂では、京大は全体的に厳しい教授が多く、特に民事系はためになる授業だとか、一橋は独禁の授業が充実しているから経済法選択が多いとか、早稲田は同じ授業でも担当教授による当たり外れが大きいとか聞いたことがあった。が、本当かは知らない。

 制度を根本から否定してしまうようだが、個人的には予備試験や司法試験に必要な知識やノウハウを求めてロースクールに入学するのは間違っていると考えている。だって、教授のほとんどは司法試験受かってないんだし、司法試験合格に必要なノウハウは持っていないでしょ。そもそも試験に関係ない授業も多々あるわけだし。
 ローで教えてくれるのは、(たぶんだけど)条文や判例、学説の「正しい理解・深い理解」なのだと思う。一方で予備試験や司法試験は、試験である以上、限られた制限時間内に答案を完成させなければならず、必然的に、答案に表現できる内容には限界がある。正しい理解・深い理解は、書かないとしても答案に反映されるとはいうが、それでも予備試験や司法試験合格という観点からは、過去問から逆算して浮かび上がる「答案で表現できるレベルの理解」で満足することが(できるだけ手を抜くという観点からは)近道ではあると思う。

 考査委員だったら採点基準とかも知っているのかもしれない。だけど、その大学の学生だけが有利にならないように配慮しなきゃいけないわけだから、結局そんなに美味しいお漏らしは期待できないと考えていた。せいぜい、考査委員(またはその周辺の学者)の「問題意識」とやらに触れる、という程度だろう。
 2桁合格者の友人に、「教授が授業で長々語っていた問題意識が出題された!」と興奮している奴がいた。彼はものすごくしっかり復習していたから自信を持って答案に反映できたのだろう。しかし、僕の場合、下手に覚えていたら、試験場で教授の話を「思い出そう」として、かえって現場思考の妨げになってしまうリスクすらあると思う。全然授業聞いてなくてよかった。

※この記事を読んでくれた方は、「上位合格者の勉強=❶司法試験に必須の勉強+❷司法試験合格に有益だが実は必須とまではいえない勉強(本人は必須だと思っているが、実は上位合格の要因)+②上位合格に必要な勉強(=本人も必須ではないと認識している上位合格の要因)」というのを思い出して欲しい。ローの成績上位者でたまに司法試験に不合格になってしまう人がいるが、そういう人は、❷や②の時間を割きすぎるあまり、❶に十分な時間をかけられなかったものと考えられる。教授の最先端の問題意識ってのは、❷や②の典型である。

 要するに、ローの授業をしっかり予習復習すれば、当然、予備試験や司法試験に役立つ面はあると思うが、それは決して近道ではない、というのが僕の個人的な意見である。
 僕はロー生の頃からこう考えていたが、一方で、早い段階から企業法務を選択肢に入れていたので、「そこそこの成績」で修了したいとも考えていた。
 そこで、どうしたら授業も聞かず、予習復習もせずに、いい成績を残せるかを考え、実行した。その結果、「そこそこ」よりは少しいい成績(5%〜10%)で修了することができた。
※もちろん、証明できるものは出せないので、「嘘こけ」を思う人は、話半分に聞いてくれても構わない。

 「どうせ授業に出るなら、しっかり予習して授業を聞いた方が効率がいいじゃん」というご指摘もあるだろう。もっともだ。しかし、前述のように、僕はそもそも長時間集中して授業を聞くことができない。授業を聞くことができない以上、予習は無駄なものだと考えていた。また、授業を聞いていない以上、復習することも不可能だった。
 学費を払ってくれた親には申し訳ないと思っているので、たくさん親孝行します。

2. 最小限の時間と労力で「そこそこの成績」を取ろう

2.1 まずはゴールを設定しよう
 具体的にどのくらいの成績をとれば、希望している進路に進めるのかを早い段階でリサーチしよう。世の中には、誤情報も溢れかえっているが、上位ローであれば、複数の内定者の先輩方に聞いてみて、その平均値を目標にすることをお勧めする。よく質問箱で、最低ラインを聞いてくる人がいるが、最低ラインだと、確実にオファーをもらえるわけではないので、やはり平均値を目標にすべきだろう。
 なお、僕の場合は、サマクラにさえ参加すればオファーをもらえる謎の自信があったので、まずは、3年夏にサマクラに呼ばれる平均値を調べて、既修1年目の目標に設定していた。
※四大をはじめとする企業法務であれば、僕もある程度お答えできるので、気軽に合言葉を添えて質問していただいて構わない。ただし、正確な回答をするには、成績以外のスペックも教えてもらわないといけないので、DMでお願いしたい

2.2 ロースクールでは省エネは禁句
 省エネでいい成績を取ろうと思ったら、ロースクールで敵を作らないことが重要である。僕の期では聞かなかったが、ローによっては嫌がらせがあるとも聞いたことがある。嫌がらせまでいかなくとも、毎日顔を合わせるクラスメイトによく思われていないと居心地が悪い。
 僕自身、手を抜くことが悪いとは全く思わないが、ロースクール生の多くが可処分時間のほとんどを勉強に当てて頑張っているのも事実である。そんな中、「俺は勉強してない」という奴がいい成績を取っていたら、「すごい」と思ってくれる人よりも「うざい」と思う人の方が多いのではないかと思う。人としてごく自然な反応だ。
 だから、僕はロースクールの中では、「自習室にこそいないけれど、実は家でめっちゃ勉強している人」に見えるよう振舞っていた。具体的には、「自習室」が苦手だということを日頃から言うようにしていたし、授業中には、まるで予習してきたかのように積極的に発言したし、僕に質問してくる奇特な人がいれば、丁寧に回答していた。本当は基本書や演習書なんてほとんど買っていなかったけど、あーあれ分かりやすいよね!と流行りの本の話題にはとりあえず乗っていた。
※授業中の発言や質問への回答が可能だったのは、全てロー入試前の勉強の成果である。ロー入試対策については別記事で書くが、僕は他学部であるがゆえに、ロー入試段階で必要な到達点がいまいちわからず、ロー入試前にかなり詰めて勉強した。その結果、入学段階では我ながら周りよりも数段高いレベルにあった(その後、2年間右肩下りだった)。

2.3 早い段階で「できる奴」を印象づけ、できる人たちの自主ゼミに入れてもらおう
 ロースクールでは、よくも悪くも「できる奴」が崇められる傾向があり、できる人同士でゼミを組む傾向がある。授業中の発言や定期試験の成績(今なら前年の予備の成績も?)が判断材料になるが、遅くとも既修入学一発目の試験でほぼ決まってしまう印象である。時期はローによって違うだろうが、僕は最初の試験で圧倒的な成績を残すことが、後々のロー生活を楽にしてくれると思っている。
※学部時代からの友達で入学直後に自主ゼミを組んでしまうケースもあるが、前期はゼミのメンバーが固まっていないことも多い印象である。なお、多くのローでは成績が張り出されるわけではないが、「誰が成績がよかったか」は何故かすぐに出回る。ブラフも可能かもしれないが、当然オススメはしない。

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