<実証実験レポート>若い人も参加しやすい自治会へアップデート!事務負担の軽減と活動の見える化
本記事は、掲題の実証実験に伴走者として参加したひょうごTECH事務局スタッフによるレポートです
実証事業者:ソーシャルアクションカンパニー
フィールド提供者:芦屋市
課題:若い人も参加しやすい自治会へアップデート!事務負担の軽減と活動の見える化実証実験!
プロジェクト概要
自治会活動の作業負担軽減と、活動の継承は、芦屋市に限らず全国的な課題となっています。子育てや仕事をしながらでも自治会運営に携われる環境を整えること、地域での活動を活発化させること、現自治会の加入者だけでなく幅広い年代が地域と関わる気運を高めること、震災などの有事に地域が円滑に対応できる基盤をつくることなどは、地域にとって非常に重要です。
事業者の公募時には、活動継承の簡素化と活動内容そのものの可視化に加えて、自治会内や市民へ周知・啓蒙する有効な方法を検証する実証実験を望んでいました。しかし、本課題は、全課題の中で一番応募が多く、さまざまな角度の提案をいただいたことで、「自治会は、それぞれに課題が異なるので、自治会が10あれば10通りの解決策が必要なのかもしれない」と当初予定していた実証実験よりも考え方を広くもち、一つ一つの自治会課題に取り組んでいくべきと考えるようになりました。
その提案の中でもキラリと光るコンテンツと意欲を見せてくれたのがソーシャルアクションカンパニーでした。同社の「actcoin(アクトコイン)」は、ボランティア・手弁当の自治会活動を見える化するツールで、自分が自治会活動やボランティア活動に参加した記録がコインというカタチで残っていく仕組みです。
どれだけ自治会に貢献、参加しているのかを数値化することは無粋なようにも思いますが、「ゲーム感覚でコインを貯めることが特に若い人の動機付けにならないか」という視点で実証実験はスタートしました。
実証実験の詳細
実証実験は2つの自治会にactcoinを導入し、実際に利用してもらうところからスタートしました。年度の途中ということもあり、フレキシブルに対応してもらえる自治会を探すのにまず苦労しましたが、無事協力をしてくれる自治会も見つかりました。
actcoinを導入することは、新しいHPで広く周知できるという大きなメリットもありましたが、一方で、①新規HP制作の負担②actcoinの配布ノウハウの習得③actcoin受取側へのフォロー④イベントのデジタル化など、今までアナログ作業でイベントを周知してきた自治会役員のみなさんにはややハードルが高い作業となってしまいました。
また「actcoinの価値」「自治会活動の意味」「ボランティアの意義」など自治会に対する想いも交差し、導入には多くの意見をいただきました。しかし、ソーシャルアクションカンパニーの黒木さんが、こまめに導入自治会に通ってくださり、イベント当日のactcoin配布の操作など、高かったハードルや課題を少しずつ解決してくださいました。
さらに、自治会HP制作においても、黒木さんが、それぞれの自治会の想いや事情を汲んだレイアウトやライティングに対応してくれたおかげで、期間内でとても使いやすいインターフェイスのactcoin付HPが完成しました。
自治会HPの運用開始後も、「操作がわからない」「運用が面倒」などのネガティブな意見も出ていましたが、転機となったのは、高校生たち若者でした。彼らは、「SDGsへの貢献が見える化して面白い」と新しいデジタルツールにすぐに慣れて、新しい体制を牽引し、自治会ボランティアに参加する人が増え始めました。
実証実験の結果
本実証実験では、KPIを3つ設定しました。
①actcoinを使ったイベント参加のべ人数100人
実際使ってくれる人がいないと検証にもならないのでまずはパイを増やすことを目指しました。こちらのKPIは、実証実験開始早々にクリアし、多くのポジティブ、ネガティブな意見を調査することができました。
②50代以下のイベント運営の新規ボランティアスタッフを5名獲得
「ただイベントに参加するよりも、少しハードルの高い自治会の企画側に参加してくれる人が集まるか」に焦点を当てたKPIを設定しました。当初なかなか結果がでませんでしたが、若者を中心に達成することができました。
③まちの魅力を知ってもらいホームページのPV2500回達成!
今までHPがなかったことが、とても不便だったのではないかと考察できるほど早く達成しました。私自身の感覚でも、紙での連絡や鉛筆メモよりも、スマホでHPをチェックしたら最新の情報が手に入ることは、とても便利だと感じました。
<参加者の声>
◆自治会
・HPができることで地域外の人からも見てもらえた。
・登録などが高齢者には難しいと感じた。
・自治会の関連組織も巻き込み、HPを充実させていきたい。
・イベント参加時に、毎回ログインするのが煩わしい。
◆学生
・何かやってみようと思う。
・地域活性化とSDGsを結びつける。芦屋市内の高校と連携。
・ボランティアをしてコインを貯めていきたい。
今後の展開
今回の実証実験では、今までのactcoinのターゲットよりかなり年齢層が高かったと考えられます。自治会への導入には、今後actcoin登録方法の改善、ログインの煩わしさなどの軽減などに取り組んでいくことが必要であると感じました。
また、自治会活動の継承や活動内容の可視化と啓蒙を促進するためには、自治会単体でいろいろな施策をするのではなく、地域の企業やNPO・学校を巻き込み、自治会に力を結集させていくことが必要があると改めて感じました。今後は、実証実験に参加した2自治会だけでなく、他の自治会も巻き込み、actcoinが自治会にとってスタンダードなHPになり、見える化のツールとして活用されるようになると、課題解決に向けて前進できるのではないかと思います。
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