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12時の調

12時の調が鼻を打つ

陀仏川の流れに乗り
風船のやうな膨らみを蓄えた音色は
白山の稜線に反響し
わが肺腑に共鳴す

時限と空間、輪廻を超えた調は
かつての景色、香り、情景を内包し
決まって12時きっかりに
風とともに舞い降りる

われ老いたり、されど童心ここにあり
われに同心おらじとて、森羅万象
名も知らぬ遠き島より流れ来る
ひとつの青い実と同身なり

無限の時が刻まれて
廻り廻った今日この日にも
12時の調べが流るるとき
われは森羅万象と化す


第2部「22:00の子守歌」


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