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架空の人間同士の恋愛模様を生業としている

noteに何を書くものか。と思い徘徊していたところ投稿企画というものがあることに気づいたのでとりあえず乗ってみることにした。

#仕事について話そう

私の仕事は架空の人間同士の恋愛を執拗に追うことである。
わかりやすく言うとラブコメ作家だ。
今までに発表した作品が軒並みラブコメなためそう区分している。
ラブコメディとは作品のジャンルの1つであり、恋愛を主軸にしたコメディ(喜劇)要素を持つ明るい作風のストーリー作品の日本での総称。(wikipediaより引用)
ラブストーリーではなくラブコメディなのである。

なぜラブストーリーではなくラブコメなのか。
それは私が上澄の美味しい部分だけを永遠に吸っていたいタイプのかよわいオタクだからだ。
私は物語上で起きる障壁となる展開や問題が起きるシーンがものすごく苦手である。ハラハラする展開やヒヤッとするシーン。あれがとんでもなく苦手だ。
楽しいことしか起きてほしくないしハッピーな部分しか吸いたくない。全てが喜劇であってほしい。
なので私の描く漫画にはそういうシーンが少ない。
担当編集さんに「ラブコメはストレスになるシーンが多いと読者が離れる」と言われたことがあるためその通りかもしれない。実際ライバルキャラ(っぽい立ち位置のキャラ)を出した時レビューやSNSでものすごく叩かれたことがある。
まあその時に関しては私は先の展開を知ってるため「まあ見てろって」ぐらいの気分でいたのだが読者の立場だったら確かに嫌かもしれない。しかし自分がこれがいい!と思って描いたので特に反省も後悔もしていない。
作劇の勉強をしたことがないのでいつも肌感覚だけで話を進めている。当時は特にバイクで走りながら読者を振り落とすぐらいの気持ちで爆走していた。そんなんだからすぐ打ち切りになるのかもしれない。でも特に変える気はない。

私は人間同士の愛とか恋とかそういう話が好きだ。いや、人でなくても良い。人外でも全然嬉しい。
しかし現実で恋愛をするよりも架空の人物の恋愛を外から見るのことのほうが圧倒的に楽しい。

それは何故か?ストレスがないから。

人間の悩みで多いものTOP3はお金、健康、人間関係だと何かの本で読んだ記憶がある。恋愛は人間関係のなかでもかなり複雑で拗れやすいものだろう。
だがラブコメは違う。相手の真意を探ったり将来のことを考えたりなどしなくていい。恋愛という関係性の一番綺麗でキラキラした甘い汁の部分だけを永遠に飲める。青春のドリンクバーだ。お好みで別のドリンクを足して少し苦味を足したりさっぱりさせたりもできる。
なのでフィクションにおいて、特にラブコメにおいては「リアリティがない」と言うのは一番ナンセンスなツッコミだと思っている。
現実が苦汁(にがじる)だらけだからわざわざ手間暇かけて甘い汁を精製しているのだ。そんなに苦汁を味わいたいなら適当な泥水でも啜っていてほしい。
敗者が出るのが嫌、という理由でハーレムものや三角関係すら描けない。割り算ラブコメばかり描いている。(登場人物同士がほぼ全員それぞれカップルになる作品の意)
全てを2で割らせてほしい。全員が幸せになって欲しい。
もしその時恋愛として成就しなくてもその人の中で輝き続ける大切な宝物であってほしい。
研磨を重ねて綺麗に磨き上げられる本物の宝石じゃなくていい。傷をつけないよう大切に袋にしまっていたプラスチックのキラキラしたおもちゃでいい。
恋愛に対してそんな幻想を抱き続けている。だからラブコメばかり描いている。

稀に「私はいつまで架空の人間同士の恋愛や性行為に喜び続けるんだ……?」と冷静になることもあるがやはり美味しいものには抗えないので今後も一生こうなのだろう。甘い汁だけ啜って生きていたい。


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