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我が名は物欲の化身

山内マリコさん著「買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて」という本を読んだ。

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買い物を中心としたエッセイで、小気味良い文章で買い物好きあるあるがぎっしりと詰め込まれており買ってすぐに読み終えてしまった。

私は何を隠そう浪費家である。
基本的に労働というものが向いていないため、いわゆる「好きを仕事に」とされている側なのに労働のモチベの8割ぐらいは物欲だ。
なかでもとにかく財布の紐が緩むのはコスメ、服、アクセサリーなど。

本を買うのも好きだが本に関しては職業柄大部分が経費に計上できるのと「本とごはんには金を惜しむな」と育てられてきたので紐がゆるゆるでも気にしていない。おかげで物理の積読も電子の積読も山のようにあるわけだが。

コスメや服はとにかく集めてしまう。よくないとは思いつつも相次ぐデパコスブランドの撤退や推しコスメの廃盤の情報を聞くたび「捧げねば、金を」と思ってしまう。
先日コスメを収納している箪笥でリップの整理をしていた時「お前の口はひとつしかねえんだぞ」と思ったが全然反省はしていない。全部かわいいからだ。
今は無職なのでいくらか自制しているが、自分がかわいいと思ったものはとにかく手に入れたい性質なのだ。クレジットカードを武器にかわいいものを収集する山賊。それが私。
家族や友人も大概なので「これほしいな〜」というと「買っちゃえよ!」しか返ってこないので常に自制心との戦いである。

服に関しても、ガーリーでかわいい服が好きなのだが顔があまり似合わないためふわふわでかわいいお洋服は「コレクション」として集めており、クローゼットの半分ぐらいはコレクションの服で埋まっている。
特に古着のブラウスが好きで、数年前色々な古着屋やネット通販で買い漁った。
コレクション用の服は主に眺めてニコニコするためにあるが、たまに顔面を塗装してブラウスの方に寄せて着ることもある。

コスメに関しても私は自己診断であるがあからさまにブルーベースでありオレンジやキャメル、ベージュなどの黄味よりの色が絶望的に似合わないのだがオレンジのリップもキャメルのリップもベージュのリップも持っている。理由はかわいいからだ。
イメコン診断が流行って久しいが私はその類を受けても絶対に「似合わないものを買わなくなってお金が浮く」ということは無いだろうという自覚がある。手中に納めないと気が済まないからだ。
エルメスのコスメラインが日本に上陸した時、一番最初に買ったのがルージュ エルメス ルージュ ア レーヴルマットの33番。エルメスの箱と同じ鮮烈なオレンジ色のマットリップだ。
普段使いを考えるならボルドーかモーヴ系を選ぶべきだったのだが「エルメスならこの色しかないだろうがよ!」と思い、オレンジを買った。ちなみに笑ってしまうぐらい似合わない。けれどコレクションとして大事にされ、時々似合わせを駆使して実際に使ってもいる。

古着のブラウスもそうだが、古いものや歴史があるものが好きなのでその延長でいわゆるブランドものが好きだ。
とはいえそうそう買えるものではないので、コスメは大量に持っているがバッグや服はほとんどない。
ブランドバッグで唯一所持しているのは初めて自分の本が重版がかかった時にお祝いで買ったヴィンテージ品のCELINEの黒のレザーショルダーバッグぐらい。
オールドセリーヌの馬車の金具が大好きなので合わせてベルトも買った。
細かい散財をやめればほしいブランド品も買えるのであろうが細かい散財もしたいのでどうしようもない。CHANELもYSLもCELINEもGUCCIも欲しいがプチプラの可愛いお洋服だってほしい。どちらも買えるだけの財力があればいいのだが。

アクセサリーに関してはその殆どをお下がりで賄っている。
同世代の親戚に女が私一人しかおらず、逆に母親には姉妹が多いのでその方々のバブル時代のものをお下がりとしてありがたく頂戴した。
Cartierのトリニティリングなんでとてもではないが今買える値段ではない。
ありがとう、同じ浪費癖の血筋を持つ母に叔母よ。

あとは一着だけ、Burberryのコートを持っている。
これは学生時代に地元の古着屋で8000円ぐらいで投げ売りされていたのを買ったのだが、いまだに現役だ。
深みのある赤色の膝丈ほどのロングコートで、おそらくかなりの年代物。
糸がほつれて読めなくなっているが裏にかつての持ち主の名前が刺繍してあって、それもまた気に入っている。
20歳前後の時に買ったのであと2年ほど着れば10年着たことになるのだがへたれることもなく毛玉もできず、高級品というものの本領を垣間見ている。
きっと私が地元の古着屋で買う前に何十年も着られていたのだろうに。「一生もの」というのは本当にあるのだ。
あのコートがなぜ8000円で投げ売りされていたのか。おそらく高円寺だったら8000円では買えない。地元の適当な古着チェーンで出会えたからこそだ。

そのコートのことを思うと、欲しいものは欲しい時に買うべきでお買い物は一期一会だとひしひしと感じる。ああ、湯水のような金がほしい。
Diorのマキシマイザーの新色も、BEAMS別注のchampionのスウェットも、GUCCIのベルトも、ラブライナーのPLAZA限定色も。
高いものから安いものまでこの世には欲しいものがありすぎる。

ありがとう、この世にかわいいものをたくさん生み出してくれる人たち。
また職を得たらたくさん散財します。

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