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三月に真夏

無職になり、暇を謳歌しているので最近は散歩ばかりしている。
今日行ったところは寒桜が満開で多くのお花見客が訪れていた。
気温も高くすっかり春気分で、コンビニでマカロンを買ってベンチでひとりお花見をしてきた。
思い出した。今は春だった。いや、なんならまだギリギリ冬かもしれない。

最近私の脳はずっと夏なのだ。
きっかけは「穏やかな話が見たい」と思い何周も見返している「ぼくのなつやすみ2」の実況動画をまた見始めたことだった。
それからというものの、冬の寒さに飽きていたのでよく夏の環境音を部屋の中で流していた。

これが一番よく聞いている。

おかげですっかり気分が夏に囚われてしまい、環境音を流していない時に蝉の声の幻聴が聞こえる時がある。
ああ、夏。夏が恋しい。クーラーのきいた部屋で蝉の声を聞きながらただぼんやり寝転がって、日差しが強い真っ青な空を眺めたい。
おまけに冷凍庫にスイカバーなんかあったりして。
数年前見かけたコンビニ前のガードレールに寄り掛かり、嬉しそうにスイカバーを食べるとても上品な身なりの老婦人を思い出す。将来はああなりたい。

でも実際に夏が来たら暑すぎてへばり、はやく秋になれと懇願していることだろう。
いつだってないものねだりだ。
けれど夏にはやく涼しくなれ!と思うことはあれど冬になれ!と思うことはあまりないかもしれない。
夏の概念が強すぎるのだろうか。夏は「エモ」として完成されすぎている。それに比べて冬は雪が滅多に降らない地域の人間からすると寒くて日照時間が短いだけな感覚がある。もちろんその分雪が降ったら大喜びするのだが。
そして最近は春と秋に関してはもはや無いものと思っている。年に10日ぐらいしか無い気がしている。どこに行ってしまったんだ。

おお、夏。はやく来てくれないだろうか。
青春の残り香を引っ提げて。最高気温は28度ぐらいまでの状態で。
概念だけ味わわせてくれないだろうか。夏。


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