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2022年3月に見た新作映画まとめ ~「美しい黒」がキーワード!?~

こんにちは、uhikoです!

月曜日はアカデミー賞が開催!
このnoteでも紹介した『コーダ あいのうた』が作品賞・脚色賞・助演男優賞に輝き、『ドライブ・マイ・カー』も国際映画賞に輝きました。
ウィル・スミスのビンタで肝心の映画にスポットがあまり当たらないようで、ちょっと残念な感じですが、それでも今年のラインナップはどれもアカデミー賞らしい豪華でウェルメイドな作品ばかりで予想しててもとても楽しかったです。

アカデミー賞の予想に胸躍らせながら、今月見た新作映画はこちら! 
(配信サービス含め、どこで鑑賞したかも書いておきます)

・『余命10年』@TOHOシネマズ渋谷
・『愛なのに』@新宿 武蔵野館
・『ザ・バットマン』@丸の内ピカデリー
・『私ときどきレッサーパンダ』@Disney+
・『ベルファスト』@TOHOシネマズ シャンテ
・『アダム&アダム』@Netflix
・『ナイトメア・アリー』@新宿ピカデリー

1本1本の感想をかるくこちらに書き留めておきます。
詳細な感想はこちらのspoonでも一部録音配信をしていますので、
そちらを聞いていただければと思います。

https://www.spooncast.net/jp/profile/314449749/board/dj?t=all


『余命10年』

『新聞記者』や『ヤクザと家族 The Family』などの力作を送り出す、藤井道人監督の新作です。正直「難病ものラブストーリー」ともいえる邦画のジャンルのようなものは食傷気味な部分もあり、見る前は不安がありました。
しかし、さすが藤井監督らしく、ありがちな恋愛もので終わらず、季節の美しさを押し出し、主人公をはじめとした人々のぎこちない成長と交流にスポットを当てた、儚さと力強さを併せ持つ一本になっていました。
藤井監督の今後の作品にも目が離せませんね。

『愛なのに』

日本のミニシアターを引っ張る2人の映画監督、城定秀夫と今泉力哉がタッグを組み、互いに脚本を提供しあうプロジェクト「L/R15」の第一弾作品。

ピンク映画の鬼才である城定秀夫に、キスシーンすらほとんどなくセリフで恋愛模様を描く今泉力哉が脚本を提供するとどうなるのか?
結果的にキャラクターの魅力があふれ、セリフ一つ一つが微笑ましく、それでありながら官能的な、とても絶妙なバランスの1本となっていました。
主演の瀬戸康史をはじめ、どのキャラも「ダメな人だなあ」と思わずため息をついてしまう感じなのですが、それを包み込むような優しさ溢れる雰囲気が見た後、自然と爽やかさすら感じる多面的な作品でした。
かなり刺激的なので、1人での鑑賞がおすすめな1本です。

『ザ・バットマン』

DCコミックのヒーロー、『バットマン』シリーズのリブート作品。
前回はクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』3部作が歴史に残るシリーズとなり、その後ヴィランを主人公に据えた『ジョーカー』もベネチア国際映画祭の最高賞に輝くなど、かなり高いハードルでした。
しかし、本作はそんな高いハードルに臆することなく挑み、主人公のバットマンを1人の人間として描き出す、という点にかけては歴代最高だったのではと思えます。
黒を基調としたダークで美しい映像、生々しい肉弾戦、そしてリアル志向のヴィランと、これまでのバットマンとはまた違う世界観が作りこまれ、その中でロバート・パティンソンがこれまでで最も暗いブルース・ウェインを演じ切っていて、3時間があっという間でした。
そして映像の迫力だけでなく、現代の社会が抱える経済格差やフェイクニュースの問題に対し、「正義」を体現するとはどういうことかを骨太に見せつけてくれました。
ぜひ映画館で観てほしい、強烈な1本でした。

・感想詳細
https://u8kv3.app.goo.gl/gGT5S

『私ときどきレッサーパンダ』

ディズニー・ピクサーの新作なのですが、またも配信限定に…。
これだけ王道なエンターテイメントが映画館で観られないとなると、やっぱり寂しいものです…。
主人公の女の子はある日、感情が高ぶると巨大なレッサーパンダになってしまうようになる…という設定だけでなかなか面白いのですが、そこをドタバタコメディで終わらせるのではなく、家族の物語に変えてしまうのがさすがエンターテイメント集団ピクサーです。
人は誰もが心の中に怪物を飼っている、というのをビジュアル的に見せるだけでなく、一族の呪いという設定にすることで、家族の期待に応えたいけれど自分らしさも出していきたい主人公の葛藤や、しっかりせねばという責任感がストレスにもなってしまう母親の苦悩といった問題もわかりやすい形で描くということで、親子で視聴がおすすめの1本です。

『ベルファスト』

イギリスを代表する名優であり名監督のケネス・ブラナーが、北アイルランドのベルファストで過ごした少年時代を描いた、自伝的な1本です。
美しい現代のベルファストから、少年時代に唐突に起きた武力紛争というところまでを流れるようなカメラワークで見せつけられると、どうしても現在のウクライナのことを連想させられます。
しかしこの作品は紛争地が舞台でありながらも、明るくユーモアのある家族の物語であり、映画や舞台、コミックなどの創作物の持つ希望をうたい上げた1本となっていました。特に主人公の祖父は、冗談めかしながらも世の中の核心を突く一言をさらっと言う魅力あふれるキャラクターでした。
北アイルランド紛争の背景については映画内でほとんど説明がないので、事前に予習しておくと、物語の理解がよりスムーズになるかと思いますので、おすすめです。(映画のHPにもさらっと歴史背景が書かれています)
微笑ましい家族の姿を映し出しながらも、紛争の残酷さやそれによって生まれる別れの悲しみも主人公の視点から描き出すという、まさに今だからこそ見るべき1本に仕上がっています。ぜひ見てみてください!

・感想詳細
https://u8kv3.app.goo.gl/Hn9yj

『アダム&アダム』

『フリーガイ』の主演ライアン・レイノルズとショーン・レヴィ監督が、Netflixでタッグを組んだ1本です。
近年は何も考えずに楽しめるアクション映画ばかりを選んで出演している印象のある、ライアン・レイノルズですが、本作も期待通りの楽しさ全振りのSFアクションでした。
未来の自分が現代に現れて…というSFにありがちな設定なのですが、化学考証や独特の理論に振っているのではなく、あくまで頭空っぽに楽しめるアクションとして、子どもとそれがやがて大人になった姿の2人に、父親を入れてのコンビネーションが軽妙で、すかっと楽しめます。
コーラやピザと一緒に気軽に楽しめる1本ではないでしょうか。

『ナイトメア・アリー』

「人ならざるもの」への愛情を持った目線が独特のギレルモ・デル・トロ監督が、ノワール小説を原作に描くサスペンス。
サーカスがまだ人権を無視した見世物小屋だった時代で、罪を犯したある青年が読心術を武器に成功を収めていくのですが、その成功の先には彼が予想しない結末が待っていたという、かなりダークな映画で、好みははっきり分かれると思います。
監督の過去作同様、美術面の造形は群を抜いていて、常に不気味な雰囲気を醸し出していて、その中で主演のブラッドリー・クーパーがいい味を出しています。薄気味悪さだけでなく、後半には疾走感もあり、予測不可能な展開が続きます。怖いのが苦手な人以外は、映像の怪しさに心惹かれ、終盤にはそのスリルに胸を躍らせることができる、味わいのある1本です。

まとめ

以上、今月劇場で観ることができた映画たちでした!
今月は仕事やプライベートで忙しいうえに、オールナイトニッポン主催のライブを楽しんだりということで、あまり映画館に足を運べずでした…
来月こそは映画館にもっと足を運んで、読者の皆様にたくさんの映画を紹介したいと思います。

来月マストで見る予定の映画はこちら!
・昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『TITANE』
・ホアキン・フェニックス主演のモノクロ映画『カモン カモン』
・虚淵玄が手掛けるNetflixオリジナルアニメ映画『バブル』

4月からも楽しくて深い映画に出会える日々が楽しみです。
アカデミー賞効果で日本映画も盛り上がる1年となると信じています!

来月もお楽しみに!


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