定吉トイレでの出来事②

あれは小学生中学年ぐらいの
頃だっただろうか

夏休みの真っ只中、暑い毎日が続いていて
もちろん勉強などもする事も無い
僕は定吉に将棋を一から教わっていた

定吉の戦法は銀の駒を進めていく
やり方らしく記憶の中では
定吉自身で【銀攻めの定吉】と
名乗っていた気がする

今思うとそんな攻め方があるのか
疑わしい限りであるが
当時の僕には師匠と言える人が定吉オンリー
なので尊敬と憧れの眼差しで
うんうんと定吉の戦法について
教えを乞いていたのである。

将棋しながらお菓子や果物などを
2人して食べながらやるのが
楽しくて、また定吉の食べ方が
美味しそうに食べるのである
特にスイカやリンゴなど
シャクシャク美味そうに音をたてながら
食べているのを見るのは
子供ながらに真似を良くしていた
そんな定吉は全部入れ歯である。

対局も進むとムクッと立ち上がり
『トイレ行ってくるから少し待ってて』
と告げられ
僕はテレビを観ながら待っていると
なかなか帰って来ない定吉に気付き
様子を見に行ってみる

台所に行ってもいない、
玄関の方にも人影は無い、
トイレの方に向かっていくと
何やらうめき声のような声が
微かに聞こえる、、、

その声の方に進むと
僕の気配に気付いて
『ぉぉ〜い、助けてくれぃ、、、』
と力無い声がトイレから聞こえてきてる
ので僕はトコトコとトイレのドアに
向かい開けると、
そこには便器一体型の定吉が
いるではないか!

あまり状況の読めていない少年の僕は
定吉によると
便座が上がっているのを確認せずに
座ってしまい、
お爺なのでガリガリの定吉は
見事に尻がスッポリと入ってしまい
まるでヤドカリのような見た目で
抜け出せずにいた

『出られん』と諦めかけてる定吉を
見て、お爺は可哀想だなと
思う僕であった、、、

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