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レベルの違う学生を同時に教えるには

〇レベルの違う学生に対応する難しさ〇

「レベルの違う学生を一気に教えるのは難しい……」

「クラスの真ん中くらいのレベルに合わせてやるしかないよね……」

そんな割り切れないお悩みが、今回のテーマです。

教育に関して話すと、まず出てくるテーマだと思います。

これは実際に、他大学の学生とのディスカッションで聞かれたことでもあります(ですので、ここでまず共有をと思った次第です)。

さて、このお悩みを解決する方法は、本質的に2つしかありません。

方法1:学生のレベルをそろえてしまう

方法2:学生のレベルが”違ったほうがいい”教育方法を採用する

です。

〇方法1:学生のレベルをそろえてしまう〇

この方法を採用するには、教育が「講義室で始まり、講義室で終わる」という呪縛から解放される必要があります。

教育の目的は基本的に学習者によい変化を引き起こすことですから、目的が達成できるのであれば方法論にこだわるべきではありません。

では、具体的にはどうするか。答えは事前学習と確認テストです。

まず、講義室に来る前に、学習者に事前学習を指示します。これは、動画教材を使ってもいいですし、先生方自作のプリントでもOK、なんなら、教科書のどこからどこと指定してもいいでしょう。

こうすることで、学習者のレベルを一定範囲に収束させます。

ただ、こういうと、「日本の大学生は勉強しないのだから、うまくいかない」という反論が必ずあります。

またはときに、「レベルの高い、すでに基礎ができている学生に同じことを学習させるのか?」という反論が出ることもあります。

だからこそ、確認テストが大切になってくるのです。

事前学習の内容と対応した確認テストを行い、これを成績評価と連動させることで、特に「サボる」層をきちんと学習させます。

同時に、「すでに基礎ができている学生」には、過程(予習したこと)ではなく結果(確認テストの成績)を評価することで、既にできることを延々と学習させる無駄を防ぎます(できるようになることが目的であり、学習することは手段でしかないのです。すでにできることは本質的に学ぶ必要があまりないのです。)。

ここまで終えてしまえば、あなたの目の前の学生は、ある程度レベルのそろった状態です。ピンポイントで狙いを定めて講義を開始してください。

 〇方法2:学生のレベルが”違ったほうがいい”教育方法を採用する〇

この方法を採用するには、講義が「教員が一方的にしゃべり続け、学生が聞く・ノートをとるものである」という呪縛から解放される必要があります。

具体的にはどうするか。それは、グループ学習を導入し、その過程でメンバーの能力不足をお互いに補い合う形で学びを進めることです。

グループ内で教え合いが誘発する、そして、それぞれのメンバーの”得意”が活かされるという2条件を満たす課題を与え、これを解決するプロセスから、学生が学びを深められるようにします。

2条件から分かるように、これは学生にばらつきがあるからこそ、成立する教育法です(俗にアクティブラーニングと言われるものの多くはこれに当たります)。

さて、それではこちらでも想定される反論に対してQ&Aを。

Question「基本的に上位層の学生はなんでもできるじゃん……。下位層のために教えるって……」

Answer「チームで動く能力は、今後ほとんどのポジションで必要になりますから、その力を最も養いやすいのは、リーダー的なポジションになりやすい上位層の学生です(つまり、むしろ能力UPという面でお得です)。また、もしあなたがチームを和気あいあいとさせるのが得意でないなら、または、じっくり考えるのが得意でないのなら(感覚的にですが、上位層でもこのあたりが苦手な人は少なくないように思います)、実はその評価軸でみるとあなたが下位層で、そこを他のメンバーが補ってくれているのですよ☆

Question「グループで活動すると、ただ乗りするやつがでるじゃん……」

Answer「出るでしょうね。社会でも出ますから……。だから、これも対処する方法を学ぶ絶好の機会です。私たちは大学で、知識だけを学ぶ訳ではないのですから。それと……実はただ乗りと呼ばれる行為が実は分担だったりします。目の前の疲れ切った学生は、実は部活のエースかもしれません(部活の成果も大学の立派な業績です)。そう思うと、ちょっと頑張るか!と思いませんか?」

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