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大学との3つの約束[学生FD入門講座Ⅱ]

〇ここからの学生FD入門講座の流れ〇

先日の記事で、学生FDがなんとなく「学生が教員と協力しつつ、大学教育の改善を目指すもの」らしいということをお伝えしました。

ここからは、基礎知識!というほどのものでもないのですが、学生FDに関わる学生に向けて、知っておくといいだろうと思われる情報を共有させて頂きます。

最初は、大学が教育に関して宣言している3つの約束

〇アドミッションポリシー

〇カリキュラムポリシー

〇ディプロマポリシー

です。

〇3つの約束〇

まずは1つずつ簡単に、これら”ポリシー”がどのようなものか紹介させてください。

〇アドミッションポリシー

☞「こんな学生を入学させます」という方針。

  入学要件のようなもの。

〇カリキュラムポリシー

☞「こんな教育を行います」という方針。

  カリキュラムと密接に関係する。

〇ディプロマプリシー

☞「こんな卒業生を送り出します」という方針。

  こういう学生に育てますという意味でもある。 

〇3つの約束の関係性〇

これらポリシーは、バラバラにみるとそこまでしっくりこないかもしれませんが、3つをつなげて考えると、その姿がはっきりします。

つまり……

「アドミッションポリシー」を満たす学生を大学に入学させ、

「カリキュラムポリシー」に従って教育を行い、

大学卒業時点で「ディプロマプリシー」を満たす学生に変化(成長)させます。

と宣言していると言えるのです。

言い換えれば、こういう条件を満たす学生を数年間(4年なり6年なり)お預かりして教育することで、このようなレベルアップを学生にもたらします。

という約束をしていると言えるのです。

当然、学生が大学生として必要とされるレベル以上の学修を自ら行うことが絶対的な前提条件になります。

しかし、その条件さえ学生側が満たしていれば、もしあなたが大学生であれば、「卒業までに大学が掲げるディプロマポリシーを満たす人材に成長する」ことの責任のかなりの部分を大学が負っていると言えるわけです。

〇3ポリシーの現実〇

但し、少なくない数の大学で、3ポリシーが有効に機能していないのもまた事実です。

それは、これまでの偏差値重視の入学試験で適切にアドミッションポリシーに合致する学生を選抜できなかったり、実際の教育がカリキュラムポリシー通りに行うだけのパワーがなかったり、ディプロマポリシーが抽象的&評価方法がなく、教育改善のサイクルが回らなかったりと、理由は様々です。

もっとも、現在多くの大学が、3ポリシーをしっかりと満たすための努力を始めているのもまた事実です。

〇最後に補足です〇

3ポリシーは、大学によってかなり特色が出ます。

それは、それぞれの大学が独自に設定しているものだからです。

もし、日本で共通のものが知りたいと思ったら、

〇学士力(文部科学省が大学卒業時点でつけていてほしい力をまとめたもの)

〇社会人基礎力(経済産業省が社会人1年目に求める力)

なんかを参照するとよいでしょう(ググればすぐに出ます)。

〇学生FDに関わる学生へ〇

まずは、大学の3ポリシーを見てみてはいかがでしょうか?

(あ、よかったら学士力と社会人基礎力も!)

確かに、あなたが望む大学の姿もあるのだと思います。

しかし、この3ポリシーには、大学のこうありたいという姿が結実しているはずです。

教職員と共同するためにも、大学が教育領域において、全体として何を目指そうとしているのかを知ることは、損ではないはずです。 

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