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この絵師さんを知っておくと幸せになれます

2018年に僕がYoutubeチャンネルを開設してから2ヶ月間は、僕がラオスで昆虫採集をした時のホームビデオ的なものとか、ラオスで採集してきた昆虫の紹介動画などを投稿していた。
あるとき僕が動画で「オオヒゲコメツキ」というバカでかいコメツキムシの仲間を紹介したら、それを見た視聴者の「しおまねき」さん(当時はひらがな表記で、現在は漢字で『汐招』)がそのコメツキムシを擬人化した絵をファンアートとして送ってくれた。
(しおまねきさんの作品が見られるTwitterはこちら:https://twitter.com/7shiomaneki53 )

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●ラオスのオオヒゲコメツキの仲間?
日本で一番デカいコメツキムシの5倍くらいある(体積比)。

ファンの少なかった僕にとって、ファンアートを送ってくれたこと自体がものすごく嬉しかったのだが、「擬人化」という馴染みのなかったジャンルのイラストを描いてくれたことや、昆虫の特徴をとらえつつ可愛らしいキャラクターに仕上がっていることにとても感動して、大事に画像を保存したあと何度もそのイラストを眺めた(掲載許可をもらっていないのでイラストは割愛)。

しおまねきさんはその後もたびたびファンアートを描いては送ってくれた。外来種のフェモラータオオモモブトハムシ、ハマダラハルカといった虫好き以外には分からなそうなマニアックな昆虫を可愛い美少女キャラに変貌させて僕のTwitterのDMでプレゼントしてくれた。
いずれもしおまねきさんのセンスが光っていたし、何より僕の動画で話したネタをこういう形にしてプレゼントしてくれたことが嬉しかった。加えて、作品からはしおまねきさん自身が楽しんで描かれている様子も分かったので、その姿勢も素敵だなと思った。この作品たちが世に出ることはあるのだろうか?ひとまずこの画像データは間違っても消してはいけない日本の宝である。

すっかりしおまねきさん推しになってしまった僕は、僕のYoutubeのチャンネル上部に表示されるチャンネルアートの制作をしおまねきさんに依頼することにした。僕は依頼するなら今のうちだと思った。当時のしおまねきさんはまだフォロワーも多くなく、絵の制作依頼はさほど経験がなさそうに思えたが、いずれ必ずそういった仕事が増えていくだろうと思った。そうなると僕なんかが気軽に頼める存在ではなくなってしまう。だから頼むなら早めに頼もうと考えてDMを送った。

依頼したのは擬人化絵ではなく写実的な昆虫のイラストだったにもかかわらず、しおまねきさんは快く引き受けてくださった。最初はチャンネルアートを作るにあたって、虫の写真を使おうとも考えていたのだが、完成してみるとやはり絵の方が柔らかくて親しみやすい印象を受ける。しおまねきさんに依頼して正解だったと確信した。完成したチャンネルアートは今も使用しているので、改めて僕のチャンネルで見ていただきたい。
https://www.youtube.com/channel/UC9d_g8p4e1T9tEhTppMRdBA
(チャンネルアートは描いてくださったバラの3体の昆虫の絵を僕が配置して作成した)

さて、こういったやりとりから1年半が経過した今年の2月、汐招さんがついに展示会に作品を出すとの告知があった。場所は横浜中華街にある小さなギャラリー。出展されたのはTwitterでも公開していた1作品のみだが、もし展示期間中に汐招さんが在廊されるならご挨拶がてら行ってみようかなとも考えていた。
しかし当時の横浜はコロナによる緊急事態宣言の真っ只中だったため、ギャラリーでのオープニングセレモニーや作者の在廊が全く無くなってしまったようで、僕も横浜まで足を運ぶモチベーションは消え去ってしまった。

ところが作品展示期間中の2月1日、たまたま横浜の近くに行く用事ができたので、これはいい機会だと思って中華街の観光もかねてギャラリーに行ってみることにした。
(この時の様子は以下の動画でも。https://www.youtube.com/watch?v=-Y1St07d4nY )

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ギャラリーが開く時間は14時~だったので、お昼ご飯を中華街で食べてから行くことにした。写真は中華街の本通り入口にある立派な門。

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さすがの中華街といえど、コロナの影響をモロに受けて人通りは驚くほど少なかった。まあ本来でも中国の旧正月(春節)の時期は閉まっているお店が多いのかも知れないが。

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肉まんを片手に中華街を練り歩く。
動画を撮影するためにミラーレス一眼も持って歩いていたので、その辺によくいるファッションカメラマンみたいな見た目になってしまった(?)。

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14時になったので、みなとみらい線の「元町・中華街駅」から徒歩3分のところにあるギャラリーに足を運んだ。

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ここは「AAA Gallery」という小さなギャラリーで、少し奥まったところにあるのでネットでアクセス情報をきちんと見ないと迷うと思う。
一階入り口付近にギャラリーのオーナーさんがいたので、一声かけてから2階のフロアに登ってみた。オーナーさんはベレー帽を被った少し不愛想なおじさんだったが、絵師さんの宣伝になるからと撮影は快く許可してくれた。貸しギャラリーをやっているだけあって芸術家への理解がある優しい方なのだと想像する。

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ここで開かれている企画展は「人外の世界展IV~ヒトナラザルモノ~」で、とにかく様々な「人間ではないもの」が描かれた作品がたくさん並んでいる。今日は僕しかお客さんはいないようだった。

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建物の2階に入ってみるといろんな生き物の絵が出迎えてくれる。
このギャラリーはメジャーマイナー問わず様々な絵師さんの作品を受け入れている。絵師さんによってそれぞれ全然違った作風なので、一フロアの一角だけでも十分楽しめる。

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こういうギャラリーに入るのは初めてで若干の緊張もあったが、客が僕一人だけだったのでゆっくりじっくり自分のペースで作品を眺められた。
奥に進むと、生き物をモチーフにした擬人化絵が多く並ぶエリアがあった。

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これはタマゴタケというキノコの擬人化絵。色使いが実際のタマゴタケを忠実に再現していて、キャラクターもタマゴタケの可愛いイメージに合っていてすごく好き。作者さんはたぶん横に書いてあったのだが撮り忘れ、ネットで「キノコ 擬人化」で調べてもすぐに見つからないので誰かご存じの方教えてください。
※作者さんは「猫山あくびさん(https://twitter.com/akubiMTCAT)」だとわかりました!教えてくださった方ありがとうございます!

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ねずみのRPG風キャラのイラスト。輪郭がふわふわしていて好き。もうこのままスマホとかのRPGに採用されそうなクオリティに見えた。塩さん(Twitter:https://twitter.com/sio0x0)の作品。

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そして我らが汐招さんの作品。「ヨナグニサン」という日本最大のガを擬人化したイラスト。日本産のヤママユガ科のガの中でも、ヨナグニサンやシンジュサンには翅にヘビの頭のような模様がある。それを左右で2頭のコブラとして表現するのは今までの汐招さんの作品の中でも少し異色だと思う。というのも汐招さんがガを擬人化するときは、羽の模様を美しいドレスとして描くか、そのまま羽を描くことがほとんどだからだ。ガを擬人化する絵師さんは他にもいるが、そういう方たちも普通はそうする。
仮にヨナグニサンを擬人化しようとする人が他にもいたとして、こういった表現をするだろうか?やっぱり汐招さんは昆虫の特徴を擬人化絵に落とし込む才能に長けていると思う。

あと、背景に描かれている植物はたぶんヨナグニサンの幼虫が食べる食草の「アカギ」だろう。比較的最近の作品で「シンジュキノカワガ」というガを描いた作品でも背景に食草の「シンジュ(ニワウルシ)」があったのだが、こういうところが「虫屋らしい」と思うし、汐招さんだからこそこだわるポイントなんだと思う。

この作品はTwitterでも見たことはあったのだが、やっぱり額縁に飾ってあった方がスマホの画面で見るより迫力がある。絵の細かい部分にも目が行くし、色の見え方も少し変わる。これからも汐招さんの作品を語ることはあるだろうが、こうして実物を見て語るのとそうでないのとでは説得力も全然違ってくる。それだけでも来た甲斐はあった。
それからこのギャラリーに展示してある作品の多くは購入可能だったのだが、汐招さんの絵にも値段が付いていた。オーナーさんに確認するとまだ購入されていなかったので、僕が買わせていただいた。これも実際に会場に来たからこそできたことだ。

購入に際しては僕が買ってしまって良いのだろうかと少し迷った。2月1日こそ平日で僕くらいしか客はいなかったが、他の日だとそこそこ来ていたようだし、僕以外にも汐招さんの絵を買いたいという人は絶対いたと思う。展示会のポスターに使われていたのもあって、それを目当てに来る人もいたはずだから。それなのに僕が購入してしまうと、新規で汐招さんの絵のコアなファンになり得た人の機会を奪ってしまうことになるから、買うのはやめておこうかとも考えた。
しばらく考えた結果、やっぱり買うことに決めた。自分も汐招さんのファンを名乗る資格があると思ったし、少しは自分の手で還元したいと思ったからだ。それに今購入したとしても展示会期間中はずっと展示されるので、誰しも作品を見ることはできる。微力ながら展示会の宣伝をするので許してほしいと思いながら、自分の住所宛ての伝票を記入した。

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展示会は2月5日に幕を下ろした。
果たして2月7日、ついに家に作品が届いた。

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嬉しい!!!!!!

明るい部屋で見るとまた少し違った印象だ。
しかしまだ置く場所が決まっておらず、デスクトップPCのモニターの上に乗っけている状態だ。

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こうして背の高い三脚に掛けてみたがあんまりしっくりはこない。
壁に飾るつもりではいるが、しばらく定位置が決まらずに家の中をウロウロしそうである。

この絵を見ると、汐招さんもこうして創作活動を頑張っているんだから、僕も頑張ってみようかという気持ちになれる。
いずれは信仰の気持ちが強くなりすぎて、神棚を拵えて偶像崇拝の対象として祀りだすかもしれないが、汐招さんもドン引きしないで、熱烈なファンもいるんだなあ程度に思っておいてほしい。

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また汐招さんのTwitterも是非フォローしてみてください。紹介した以外にもたくさんの素晴らしい作品がアップされています。
Twitter:https://twitter.com/7shiomaneki53


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