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“個の成長実感”が組織を強くする〜メルカリがTrust & Opennessにコーチングを推進する理由とは〜

「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」を掲げて、国内最大のフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ。積極的な採用とその採用力で有名な当社ですが、現在は内部人材の育成やD&Iの強化を実施中。施策のひとつとしてmento for Businessを導入していただきました。

導入の背景や効果について執行役員CHRO・木下 達夫氏、HRBP・笹木 葉子氏にお話を伺いました。

株式会社メルカリ
スマホから誰でも簡単に売り買いが楽しめるフリマアプリ「メルカリ」の運営会社。月間ユーザーは1,700万人を超える。同アプリを使った決済サービス「メルペイ」と合わせた購買・嗜好性データを活用して、一次流通・二次流通の融合による循環型社会の構築を目指す。

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“個の成長実感”が組織を強くする

ー導入の背景を教えてください。

木下さん(以下、木下):僕がメルカリにジョインした2年ほど前は、大きな転換期だったんですね。「採用の強化」というだけではなく、人が成長する育成型組織へと転換していこうと。

育成の対象は全メンバーですが、特に組織への影響度を考えてマネージャーへの支援を手厚くしてきました。なるべく「気づきを得られる場」を増やそうと研修のブラッシュアップだけでなく、360度評価の導入などの設計もしてきましたね。そこにコーチングを導入することによって、彼ら/彼女らの気づきを最大化すること、さらには行動変容までをサポートできればという狙いがありました。

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メルカリでは、エンゲージメントサーベイを3ヶ月毎に実施しているんですが、エンゲージメントに最も相関が高い項目は「成長実感がある」ということなんですよね。会社や事業が成長していくだけではなくて、個人としても成長しているぞ、という実感が喜びにつながる方々が多い。そういう意味でも、個の成長支援に取り組んでいくことは重要だと考えています。やはりせっかく入社していただいた方々には、引き続きメルカリで頑張ってもらいたいですからね。

プロフェッショナルとして自律を求めつつも、適切な支援を

ー「マネージャーへの支援」というワーディングが印象的です。

木下:メルカリバリューがあるじゃないですか。「Be a Pro=メンバー皆がプロフェッショナル」であろうと。マネージャーを背負っている人も当然プロフェッショナリズムを持ってやってくれています。でも孤軍奮闘、一人だけで戦うということではなくて、そこは「All for One=成功のために皆でサポートし合いましょうよ」というマインドですね。

研修も単に知識を得る場ではなく、例えばフレームワークなどを学んでもらって、思考整理のサポートや、気づきを生み出す場づくりを意識しています。あとはマネージャー同士がお互いに知見を共有し合うことも促進していたり、とにかく上から目線で何かを教えようという発想ではないですね。

笹木さん(以下、笹木):本当に多様なマネジメントスタイルがあるので、「メルカリはこれです」というカチッとしたものは掲げていなくて。あえて抽象的に伝えているんです。一人ひとりが自分のスタイルを見つけていく。それを実現できるような場をつくる、というのが施策の基本姿勢ですね。

mento for Businessでは設問に答えていくなかで、対象者一人ひとりにあったコーチを複数人レコメンドしてくれるじゃないですか。コーチとの相性ってあると思うので、それを見極めてオススメしてくれる。そして最終的には、自分でコーチを選べるというのが自主性を尊重する意味で良い体験だと思いました。

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あとは「一律でやりましょう」ではなくて、各々が必要とするタイミングで手をあげられる仕組みにしたいということが導入設計時からのこだわりでした。なのでこれまで一度も「やってください」とは伝えていません。オリエンテーションや研修の際にあくまでもおすすめとして紹介しているだけなんですが、それでも継続的に新規利用者が増え続けている状況。

本当に忙しい彼ら/彼女らが自ら時間を確保している様子は、まさしく自律的だと思いますし、Be a Proを体現するメルカリらしくて素敵だなと感じています。

木下:あくまでも一人ひとりの社員がプロフェッショナル。言われたからやるというメンタリティではなくて、自分の成長に何が必要かを考えてオーナーシップを持って取り組もうとしてくれています。メルカリのような自律的な組織において、挙手制での導入設計は相性が良いですね。あとは、マネージャー候補が多く手を挙げてくれているのも嬉しい(笑)

笹木:そうですそうです!

木下:マネージャーになったから受ける、というよりは、マネージャーに挑戦しようかなと、個人的にハングリーな状態のときに手を挙げられる環境があることは大きな価値があると思います。

あとは内部人材の育成と合わせて、D&I強化も大切なミッション。国籍やバックグラウンド含めて多様なメンバーが集っていますから、マネージャーには彼ら/彼女らが活躍できるようにうまくアシストしてほしい。ただ答えのない問いではあるので、こういうときこそコーチの方々が伴走してくれるとありがたいなと思います。もちろんマネージャー層の多様化も進んでいますから、コーチが日英両言語へ対応してくれることはありがたいですね。

“Be a Pro”を支える振り返りのサイクル

ー笹木さん、木下さんはコーチングを受けていかがでしたか。

笹木:当時はHR部門に移動したばかりで、初めてのHR領域の業務や仕事に対して悩みを抱えていた時期だったんです。もちろんマネージャーに相談することもできたんですけど、「実は...」と打ち明ける踏ん切りってなかなかつかないものですよね。自分のなかでどうにか処理できるだろうと思い込んでいた節もあって、結局自分のなかに抱えたままにしていました。

でもいざコーチに話してみたら、自分は何に対してどう感じているのかが自覚でき、思考が整理されました。コーチングが終わった後は毎回モチベートされていましたね。

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あとは仕事をするうえで、これまでの経験から反射的に答えを出してしまっていたり、知らず知らずのうちに思考が凝り固まってしまっていることは意外とあると思うんです。コーチの関わり方を思い返して、主張したいことがあったら「なぜ主張したいのか」を自問できるようになったのはすごく感じますね。

他の対象者からも「アクションが明確になり、パフォーマンスがぐっとあがる」「問題解決への姿勢が前向きになる」「振返りのサイクルをつくれたことで自己成長やストレス軽減につながっている」といった声があがっています。

木下:僕がとても感謝しているのは、DoingじゃなくてBeingの話ができること。仕事だと基本Doingモードじゃないですか。どのタスクをいつまでにどう終わらせるとか。だからこそセッション内で「達夫さんはどうありたいの」とBeingに注目して、考えるきっかけをつくってくれることがありがたいですね。

僕がどうして人事の仕事をやっているかというと「人の成長を促す」ということにパッションがあるんですよね。もともと成長意欲が高い人であれば、それをいかに加速できるか、と。本人が思っている以上のスピードがでて、こんなに成長できると思っていなかったですと言われたら、それは人事冥利に尽きるなと思います。Beingに立ち返ることができれば、細いことに気が紛れることもないですし、コミュニケーションにも一貫性が出てきます。

それにコーチがいるとコミットメントが引き出されるじゃないですか。エグゼクティブ層にもなると行動や変化を促してくれる存在っていなくなってしまうんですよね。経営陣対象の360度評価も実施はしていますが、どうしても直接的ではなくオブラートがかかった言葉になってしまう。だからこそコーチのようにズバッと問いをくれる存在、本質を射抜いてくれる存在というのは大きいですよね。

「従業員に楽しく働いてもらうため」Trust & Opennessに成長を応援する

ーコーチングが根付いていくと、どのような組織づくりにつながっていきそうでしょうか。

木下:僕の最初の会社ではコーチング文化が根付いてたんです。上司は意見を押し付けてくるのではなく、引き出してくれた。だからこそ自分は短い期間で成長できたという感覚があります。やはり自分の中にそういった実感があると、他の人にもそういう経験をしてほしいと感じたり、いざ実践しようとしたときにも感覚が掴みやすいですよね。

メルカリでも、マネージャーがメンバーの力を引き出してくれることを期待して1on1を週1〜隔週ほどの頻度で実施しています。見ていると実体験があるかないかで大きな差がある。自分自身が良いコーチングを経験していない限り、他の人に実践をすることは難しいですから。

笹木:激しい変化に対応するために、四半期に一度のスパンで目標設定・評価を実施していますが、そのサイクルを支えているのが1on1なんです。日頃から引き出し型のコミュニケーションがされていれば、期待値がおのずと擦り合わさっていくので納得のいく目標と評価ができる。その意味でコーチングのスキルは欠かせません。各々のタイミングで、すべてのマネージャーにはコーチングを体験して欲しいですね。

木下:やはり優秀な社員はいつでも外に出ていけるんです。そのなかでも引き続き楽しく働いてもらうためには成長を応援するしかない。それがとても大事なんです。だからこそ会社としても成長の機会をつねに提供し、“本人にとって嬉しい”環境をつくる必要があります。

人事の役割は個と組織がwin-winの関係をつくっていくこと。コーチングのようにある程度の自由を持たせた形で個に投資をすることにも、Trust & Opennessの精神で恐れずいくべきですね。どちらかを見捨てると簡単な意思決定になりますが、それをしててはいけないですよ。

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象徴的な話として「merci box(メルシーボックス)」という、男性の場合8週間にわたって産休・育休中の給与保証をしているベネフィットプログラムがあります。取得率は7〜8割を超えるくらいですね。子供を授かったというと、ほとんどの従業員が「育休いつとるの」と。それが普通の会話なんですよ。信頼関係がなければ、2ヶ月も会社休んで大丈夫なのかとか、取得後に辞めていく社員を心配する声があると思います。それはもちろん個別に見ればあるかもしれないですよ。

だけど、多くのメンバーはこの制度がメルカリらしくて素晴らしいなと感じているし、むしろメルカリがより好きになる人の方が圧倒的に多いから、これは続けるべきと。組織への誇りが生まれれば、やがて組織に還ってきますから。組織はまず個を対等に見て、信じていく。その先にwin-winの関係性があるんです。

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