小麦色の翼

空を飛びたいと思う。単純に青々とした広大な場所で翼を広げたいと思ったからだ。

鳴り止まぬパトカーのサイレンと響く謝罪の声。誰が許すか。お前のために飛んでやるんだよ。

「居たくねぇんだよ」

走った時には遅かった。中身の無くなった財布と叫び続ける自分。

今までやってきた事が全て消え去った。必死に動いても叱責と自らの無能さに呆れてしまった。楽しいと思った事も怒りに変化し結果、周りはいなくなった。

できる。できない・やれる。やれない、じゃない。

できろ。やれ。

全てが終わった時。呆れた顔の上司と引いた後輩、冷めた親に楽な妹。

残るものは何もない。

私は飛ぶ。

「くたばれ。クソが」