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「楽しい」先行主義:「需要」や「意義」は後からついてくる(多分)

昨日、noteのトップページにどういうわけだか、この記事がサジェストされました。以前関連するとあるYouTube番組が炎上したことがあり、それに関連して読んだことがあったようです。読みながら、当時のことを思い出しました。

ところで、「なんのために、X語をやるのか」という問いはそもそも成立するのだろうか?ということを最近考えています。

これは、後付けでならいくらでもそれなりの回答が浮かび上がってきます。個人の置かれている状況によっても変わってくるし、その言語が何かによっても変わってきます。

件の記事では、ポーランド語の需要をユーチューバーに笑われたエピソードを紹介していました。しかしここで考えるべきこととして、その需要は誰にとってのものかということがあるように思えるのです。

ユーチューバー氏たちにとっては、ポーランド語は需要のない言語だという認識なのでしょう。おそらく彼らにとってそれは間違いなく、彼らは今後もよほどのことがない限りその認識を改めないのでしょうね。

それこそ、先の記事を書かれたかわかみ氏がおっしゃる通りで、

"すなわち「彼らの世界にポーランド語は必要ない」"

というだけのことなのでしょう。

あとは、他人のポーランド語学習を笑うことが果たして適切かどうか。先日「炎上」したのだとすれば、そのあたりが火元になったのだろうなと思います。そもそも、ある人が夢中でやっているものに「需要ないです」のような言い方をもって冷笑するというのは、そりゃ言われた側はいい気がしないでしょうからね。

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さて、個人にとっての需要という話について思うところをだらだらと書いてみたくなったので、以下書いてみます。

需要というとき、すでに上で言及したリンク先の書き手、かわかみ氏をはじめとして多くの人が指摘するように、「その人にとって学習を始める、あるいは進めていく動機」こそが需要なのですよね。そこは他者からすると不可侵の部分であるべきだと私は考えます。

同様に、学ぶ意義というものも後付けでいくらでもついてくる。で、ここで私が重要だと思っているのは最初からその「意義」をあてにすると、「楽しい」要素がどこかに行ってしまいがちだということです。

「楽しい」要素がなくなったら、単なる苦行になってしまう。

だいたい日本で普通に生活していて、普段使わない言語の勉強を続けるというのは、よほど何か強い動機がない限り、相当きついと思うのですよ。

お金になるかどうか、あるいは生活していくために必要なものになるかどうかというのもある種の動機付け(「外発的動機づけ」とも言われたりしますね。日本語教育能力検定試験のときに出てきた用語です。キビシー)、の要因にはなるのでしょうけど、それに関してもモチベーションをキープしながらいろいろな経験を得ていった先の、ずっとその後の話ではないかと思うのです。

いろいろな経験には、留学も含みますし、通訳・翻訳の経験も、はたまた語学講師の経験なども含まれることでしょう。
その過程で、その言語をやらなければ見ることのできなかった世界というか、景色が見える、というとはたして説明したことになるでしょうか、どうでしょうか。

自分が勝ち取った世界を見たということが、またモチベーションに変わる。この繰り返しが、長くその言語に携わることになるカラクリになっているのかなと思います。

私自身の場合はどうか。

お金は欲しい。欲しいし、トルコ語ではない別のものに関心をもったなら、今もまた違う景色を見ていたのだろうなと思います。

でも、そちらの選択肢がはたしてどうだったかなんていうのは、わかりませんわな。大事なのは、今の自分のやっていることに多少なりとも満足しているかどうか、今やっていることが楽しいかどうかということなのかなとも思うのです。

少なくとも、トルコ語やテュルク諸語のことを考えている間は、楽しい。

オープンアカデミーのトルコ語講座も、(楽(らく)ではないが)楽しいですしね。楽でこそないが(2回書きました)。

「楽しい」があれば、ひとまずそれでいいかな。少なくとも、私は。
もはやこの歳になり、トルコで数年ほど生活し、挙句の果てにかわいいねこまで連れて帰ってきた身としては、物質的満足感をのぞけば、上々の成果なのではないかな。ただ、生活としての現状がいいかどうかといわれたら、それはまた別の話にはなりますが。

上々…いや、そうでもないですか?
じゃあまだまだ、やるべき仕事があるってことですね… ということで、今日も少しの時間であっても、テュル活にいそしむしかないかな…。

というわけで、いよいよ来週始まります、オープンアカデミー夏学期。
楽しさをほんのわずかでも伝えられるように、こちらもできる限りやってみたいと思います。

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吉村 大樹
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