論文答案における「具体例」の位置づけ

編入試験に限らず、論文試験の答案ではよく「具体例を示せ」と言われます。ところが、なぜ答案に具体例を示す必要があるのかという点について説明している指導者は少ないように思います。説明していても、受験生にその意図が届いていないこともあるでしょう。

ではん、なぜ論文答案で「具体例」を示す必要があるのでしょうか。
その理由はいくつかありますが、一番の理由は、何かを説明するときに、ただ覚えて書いているのではなくわかった上で書いているということを説明していることのアピールになるからです。

たとえば、「野球に興味があるか」という問いに、「はい」と答えることはウソでも書けます。しかし、「たとえば?」と聞かれた時に具体例をあげられなければウソであることが判明します。もし、本当に野球に興味があるなら、ジャイアンツやスワローズといったチーム名が出てくるはずです。あるいは、アメリカのチームであるエンジェルスやヤンキースというチーム名があがるかもしれません。いずれにしても、本当に興味があれば(野球のことを少なからずかわっていれば)具体的なチーム名はいくつかあがるものです。適切な具体例をあげるということは、自身の主張をちゃんとわかった上で書いているということを読み手に伝えるわかりやすい手段となるのです。

上で示したのも、まさに具体例です。

主張しようとしていることと示した具体例がちぐはぐであれば、わかった上で書いていないということが採点者にバレてしまいます。逆に、適切な具体例を示していれば、わかった上で書いていると採点者が思うことになります。

逆に言えば、何かを暗記するときには具体例まで覚えて書くことができればわかっている風に書くということもできるかもしれません。良いか悪いかは別として、抽象的な用語を覚えるときには、その用語が表す具体例も一緒に覚える、あるいは具体例を通して理解を深めるということをすればよいでしょう。

詳しくは今後講義の中で示していきたいと思います。

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