なぜバックオフィスのDX化がうまくいかないのか? バックオフィスの効率化方法について紹介
ufu代表の大橋です。
2019年4月1日に施行された働き方改革の推進や2020年から猛威を振るう新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業で業務の見直しや改革が取り組まれています。中でも、会社の機能を維持する上で欠かせないセクションであるバックオフィス業務のDX化による効率化推進はとても重要視されています。
しかし、DXに取り組みたいと考えていても、「実際に何から始めればいいかわからない」「DX化を推進したもののうまくいかない」といった悩みを持つ経営者は多いでしょう。
本記事では、バックオフィスを効率化する上で必要な要素と課題、効率化のメリットについて紹介します。
引用参考:「働き方改革関連法」の概要
バックオフィス効率化に必要な要素
ある程度年数が経っている企業は、業務の効率化によって今の仕事が奪われてしまうのではないのかなどの不安から、既存社員から反感を持たれやすいです。業務の効率化は、実際に業務に携わる社員からの理解が必要不可欠です。
例えば、創業初期の拡大フェーズで業務効率化について設計しておくことで、効率的にバックオフィスの設計が可能となります。ある程度成熟してしまうと、既存社員の扱いや、導入によって一時的に業務が滞ってしまうなど、効率化に必要な労力が大きくなってしまいます。
正社員複数名の人件費、関連部門同士の重複業務の発生やコミュニケーションにかかるコストなどのバックオフィス全体にかかることになるコストを長い目で比較した時に、初期の段階で効率化する方が中長期的に見るとメリットは大きくなります。
段階的にDX化による効率化を進めていくにしても、後々のことを考えず進んでいくと、将来的に間違いなくバックオフィス業務に無駄が発生してしまい、後からの効率化に多大な労力が必要となり、会社全体の利益を圧迫します。
そのため、効率化を行う場合は、既存社員から理解を得られるように行なっていくか、比較的受け入れやすい創業初期から体制を考えていく必要があります。
バックオフィスの課題
バックオフィスの業務をDX化することの重要性は理解しているものの、バックオフィスの業務が抱える課題によって、中々DX化に着手することができない企業も多いと思います。
以下では、主なバックオフィスの業務が抱える課題について紹介します。
人手不足
社員の負担
デジタルの遅れ
人手不足
IT技術に精通している人材が常に不足していることは、企業がDX化を中々始められない原因のひとつとなっています。IT人材が不足している背景には、「業界全体でIT人材の取り合いが起こってしまっている」ことや「社内で人材育成を行えていない」ことなどが考えられます。
特に、ベンチャー企業では慢性的な人手不足が問題点として挙げられていて、少ない人数でキャパオーバーな業務量をこなすことになるため、採用・教育面が後回しになってしまう傾向があります。
とはいえ、DX化を人材育成から始めると、膨大な時間がかかってしまうため、経験不足を補うことができるツールを活用した運用が求められます。
社員の負担
小さい企業では、人材の不足から少ない人員でバックオフィス業務を全て賄うケースも多いです。DX化には時間やコストがかかります。少人数で業務を回しながらバックオフィス業務のDX化を行うことは社員に多大な負担を与えることにもなりかねません。
また、DX化によって業務フローも変更となるため、慣れないうちは新しいフローを覚えることも負担となってしまいます。
デジタルの遅れ
DX化を対外的に謳っている企業でも、意外と自社内はDX化できていないケースもあります。特に、バックオフィスは事業とは別の専門性知識も要求されるため、業務の多くがデジタル化されておらずアナログのまま残ってしまっているケースも散見されます。
例えば、紙の書類を用いた承認や申請、印鑑の捺印や郵便物の発送業務や受け取りなどが挙げられます。また、取り扱いの難しい、契約書や請求書のような書類が多くある点もデジタル化へのハードルを引き上げています。
バックオフィスを効率化するメリット
バックオフィスの業務をDX化することによって効率化するメリットはいくつかあります。以下では、主な3つのメリットについて紹介します。
コスト削減
ミス防止
BCP対策
コスト削減
バックオフィス業務のDX化が実現することで、コストの削減を期待することができます。業務のデジタル化や自動化が進むことによって、書類の印刷や保管費用といった固定費の削減が行えます。また、社内書類の作成や押印などに必要となる工数の大幅な削減により、ノンコア業務従事者を最小限に減らすことができるため、その分のマンパワーを他に投入できるなど間接的にも自社の利益に貢献することが可能です。
ミス防止
バックオフィスの業務内容は多岐に渡ります。また、煩雑な処理が必要な業務が数多くあるため、それを人の手によって確認や処理といった作業を行うと、一定数のミスや漏れなどが発生してしまいます。しかし、DX化を行うことで、ヒューマンエラーを機械的に発見することができたり、定型的な業務をツールやシステムを用いることで効率化することも可能です。
また、バックオフィスの業務は時に専門性を求められることもあり、属人化しやすい側面もあります。しかし、業務の属人化は企業運営における重大なリスクとなりえます。そのため、DX化によるマニュアル整備などの業務フローの定型化によって、工数減による効率化だけでなく、担当者不在による業務の停滞を防ぐことも可能です。
BCP対策
コロナ禍を契機に、各企業がBCP対策に力を入れるようになりました。そもそも、日本は諸外国と比べ台風や地震のほか、様々な自然災害のリスクが高い国といえます。BCP対策の第一歩は、業務や機能の分散化です。DX化によって業務をテレワークに移行することは、BCP対策における業務や機能の分散化において、有効な手段といえます。
バックオフィスのDX化事例
実際に、バックオフィスのDX化によって業務効率化を図った2つの企業について紹介します。
株式会社資生堂
海外にも化粧品ブランドを展開する資生堂グループの法務部門では、契約書を自動チェックが可能となるITシステムの導入を行いました。
ITシステムによる契約書の自動レビュー機能によって、日々の業務におけるチェック作業の時間削減だけでなく、新人に対する教育やOJTの際にも、作成した契約書の抜けや漏れをすべて読んでチェックしていたところをシステムの機能を用いることで効率化することができるようになったそうです。
引用参考:「法務のプロに求められる判断」に比重を置くために―資生堂がLegalForceを導入した理由 | LegalForce(リーガルフォース)- AI契約審査プラットフォーム
株式会社わかさ生活
健康食品の製造販売事業を手がける株式会社わかさ生活では、コロナ禍でのテレワーク導入や在宅勤務をきっかけにペーパーレス化に取り組みました。具体的には人事部門にITシステムの導入により紙ベースで行われていた内容をデータで行うことで、約2週間かかっていた入社手続きが約1時間となったそうです。人事部門は、書類や捺印などアナログ作業が多い部門のため、比較的DX化が行いやすく、効果も実感しやすいと言えるでしょう。
これにより、人事労務部門の社員が商品開発にも関わるなど、多様な働き方の実現が可能となりました。
引用参考:「効率化で終わらない」事業成長にダイレクトに関わる新たな労務 | SmartHR|シェアNo.1のクラウド人事労務ソフト
まとめ
コロナ禍による在宅勤務やテレワークの導入が進む中で、紙ベースでの業務は作業効率の低下に繋がります。こうした中で、業務の中にアナログ作業の多いバックオフィス部門こそDX化による効率化が求められます。
バックオフィスのDX化によってフロントオフィスの業務効率化にも繋がるため、積極的に導入検討をしてみてはいかがでしょうか。