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名前も知らない

いい匂いのする美しい人
名前も知らない

太陽に光る髪 風に香る
黙って そばにいたかった


僕は 隣で
あなたに 惹かれながらも
目をそらし そっと 空を見た

その隙に


見失う


心に 穴が空いていたから
何かをつかみたくなって
街をウロウロ


今日のお日様は 優しく僕を叱った

ごらん
お前のあの人は
秋の風の様に 去ったんだよって


つらいや


こんな春のまっさきの 朝の光の中にいて
僕の見るものは 全部 君の幻で

いつか ここに来て 君を感じるだけでも奇跡なのに 春風は君を間違いなく ここに連れて来る約束だと 言う 
神様さえも 素敵な出会いを 用意しようなんておっしゃったけど

僕は浅はかな なんの知恵もない アメーバ以下でさ ミジンコに笑われる



運ばれて来た 運命という奴らは ミジンコだ


秋風だろうが
何だろうが
僕のあの人は
いつまでも
素敵なんだし

忘れろって言う方が
どうかしてる



これはヤバい 病だな
春の 特別の 太陽のもたらす
ヤバいやつ



あなた

どこかの空に あなたはきっと
自分を写して 楽しんでいる
あなたが
好きな 歌を口ずさんでる
そのままの 美しさを 
僕に
くれる

君がいないと 生きられないのに
強がってみて 我慢してみて
あり得ない望みを抱くだけ


懐かしさだけの 音楽に
僕の 精一杯の 祈りを込めた


名前も知らない ゆきずりの人に
僕はあなたを 見てしまう



2024/03/25  teo


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