機動戦士Zガンダム第1話「黒いガンダム」感想

Zガンダムはこういう感じでやりますというのをぎゅうぎゅうに詰めこんだエピソードだった。しかし、詰め込んだのは世界観や設定ばかりで、一話としては全然足りておらず、主人公はまだMSに載ってないし、主役機も目的も敵も味方もなんにも分からない。次の二話と合わせて一時間連続で放送してくれと思った。


ガンダム続編の一話目に持ってくるタイトルが「黒いガンダム」はかっこいいと思う。正直。

リック・ディアスのコックピット内、シャアのアップから始まる。仮タイトルが「逆襲のシャア」だったことも念頭に入れつつ視聴していきたい。

作りこまれたコックピット内部の操作システム、全天周囲モニター、リック・ディアスの精緻な造形。メカ周辺の作画・設定のレベルが前作「機動戦士ガンダム」からはね上がっているのがわかる。この世界観に前作のMSがそのまま出てきたら間違いなく浮くだろう。旧キットと最新のHGくらい違う。

手をつないでなんだか親密な感じのリック・ディアスたち…

この時点ではシャアが搭乗するリック・ディアスだけが赤く他のリック・ディアスは黒い。シャアを名乗らないこの男がシャアであることをにおわせるために赤くしているのか、単なるファンサービスなのか、あるいは「クライアントの要望」ってやつかもしれない。真相は分からない。シャアであることはこの時点では隠したいんじゃないのか?

手を取り合うリック・ディアス3機。MSは機体が触れ合っていれば通話できるというのはZから採用された設定っぽい。戦場でパイロット同士が会話できないと作劇的に困りそうというのはあるし、ミノフスキー粒子も捨てられない。この設定をお披露目しつつ、3人の関係性などを軽く見せるシーンだった。

美少女ファ

場面は変わってカミーユの視点に。カミーユも美男子だがファの美少女ぶりは凄まじい。そして、前作1話の暗さと打って変わって青春ぽい爽やかさがある。1話のアムロとフラウは(戦時だからかもしれないが)こんな垢ぬけてない。

コロニーの解像度がすごい。今まさにSFやってます。カード一枚で乗っていけるレンタカー、カードはキーの役割も果たしてるが、身分証明と決済もこれ一枚でできてそうだ。リニアカーは自動音声による対話が可能で、多少の融通が利くらしい。このリニアカーはコロニーの外壁を走行する。到着すると、飛び出したカミーユに注意を促す自動音声、AIなんだろうか? 想定されるパターンに応じて対応しているだけ? いずれにせよ、現代ではまだ実用化してない。

ブライトについて

カミーユとファがブライトやホワイトベース、ニュータイプについて言及して、これらの一般人視点でのおおよその立ち位置が明かされる。ニュータイプないしホワイトベースクルーは憧れの対象になることがある程度。ニュータイプに対する見解にはどこか俗っぽい感じがある。
ニュータイプによる革新は起きてない。前作最終話はまるでポストヒューマンSFで、全人類がニュータイプに進化していくかのような印象があったが、そういうことにはなっていない。個人的には「機動戦士ガンダム」の最終話を経てないパラレルワールドだと受け止めている。
嫌いというわけではなくそう解釈したほうが自然な部分が多い。

カミーユの脳内にこだまする「なんだ…男か」

カミーユがジェリドを殴るシーン。カミーユのキレやすさの象徴として扱われがちなシーンだが、改めて見ると、結構奇妙なシーンだ。ニュータイプとして敵意や悪意を感じ取って増幅しているかのような表現がされている。この悪意の感知にカミーユが慣れておらず感情が振り回されているというのが序盤のカミーユなのかもしれない。普通にキレやすいやつだと思ってた。ごめん。
そもそも、ジェリドはカミーユ達から結構遠い位置にいて、ファにはジェリドの発言が聞こえてなかったようにも見えるので、カミーユは声も聞かず悪意を感知したのかもしれない。

人間みたいな動きをするリック・ディアス

単独で行動するクワトロ。リック・ディアスでコロニー外壁に取り付いたり、ハッチを開けたりとMS以外では難しそうな操作を自然にこなすので、人型であることが当たり前であるような説得力がある。

電話機みたい

ドアロックがナンバー式なのは旧時代的だなと一瞬思ったが、宇宙服を着ているなら目や指紋や声などの生態認証は難しいので、あえてなのかもしれない。しかし、アスタリスクとシャープはいらない気がする。

「4回もうまくいくとは限らんか」違和感のある台詞だ。わざわざ4という数を出す意味はなかったし。クワトロが4番目の名前だというのは今ではよく知られていることだが、これの暗喩だろうか。視聴者には分からん。そして、シャアの1~3回目がうまくいっているとは思えないが、それより悪いということなら、死しか想像できない。実際、最終回では死んだようなものだし。

コロニーに潜入するためのドアを破壊したあと「臭い」というが、なにが臭いのか判明しない。やけに煙が多いが関係あるのか? 排気ガス?

かっこいい(?)カメラ

機動戦士ガンダム第2話ではシャアがホワイトベースおよび連邦のMSを撮影するためにコロニーに潜入したが、本作ではクワトロとしてティターンズの新しいガンダムを撮影するためにコロニーに潜入した。前作のオマージュというか対比だろうか。調べてみると、どうやら、これらのコロニーは同一のコロニーらしい。

クワトロを追いかけるMk-II

Mk-IIに追われるクワトロ。1話なのにMk-IIの作画が安定してない。リック・ディアスの作画は安定しているので、Mk-IIの作画が特別難しいのだろうか。

前述したがMk-IIを見てもメカ関連のレベルが上がっていることが分かる。バックパックの稼働する2本のバーニアが良い感じ。

ジーンを止められなかったお前が言うな

コロニー内での戦闘がタブーであるというのが良く分かる。前作1話でもザクを爆発させずに戦闘不能にするという点にアムロは注意を払っていた。この一話でも同じようなことをやりつつ、全然違うものを見せているところがいくつかある。
そして、このシーンの理解は難しい。無知なのか傲慢なのか。そしてその主語はティターンズなのかアースノイドなのか。このパイロットが未熟なだけという線もありえる。少なくともクワトロは気にする側の人間ってことはわかるが、他は分からん。

逃げるクワトロ

脱出するクワトロ、撃たれまくる。前作で侵入した際もホワイトベースクルーらに撃たれまくっていた。今回は被弾。

アポリーとロベルトの視点、望遠カメラのようなものでコロニーの外側からガンダムの映像をとらえてる。クワトロはMSに追いかけられ銃撃戦の上に怪我して逃げ帰ったというのに君たち楽そうだね。

カミーユというキャラクターの奥行を感じる写真

尋問されるカミーユ。前作では、アムロが初見でMSを操縦したことについて、あとから学習AIがどうとかニュータイプがどうとか補足されていたが、本作ではカミーユはそもそも操縦ができるということにしている。しかも次のエピソードではあるが、父親のデータを盗み見てたとも言ってる。MS普及前の世界ではできなかった。

「エゥーゴというのが、宇宙に住む人間たちの独立自治権を求める運動だというが、そりゃあ嘘っぱちなんだ!」エゥーゴの活動を理解するのは難しい。作中の動向を見る限り、反ティターンズといったほうがしっくりくる。しかしティターンズの表向きの活動はジオン残党狩り。じゃあエゥーゴは親ジオンかというとそうでもないという。

机の下に宇宙が見え、流星まで

幻を見るカミーユ、唐突にニュータイプに覚醒している。なぜ今なのだろう。シャアが近くに来たから? この流星は最終話でカミーユが見た流星だったりするのかな。その後、大暴れするカミーユ、ニュータイプ描写のあと、感情が制御できなくなりがちかもしれない。

いいところなしの”黒いガンダム”

ジェリドが搭乗したMk-IIが建物に落ちてくる。へたくそが。MPを振り切ってどさくさに走り出すカミーユ、母の呼びかけもスルー。家族仲がうまくいってなさそうだということが分かる。

ほんとに

何かに導かれるように、車を奪って検問を強行突破するカミーユ、自身でも動機がよく分かっていない。勢いあまってやっちまったという感じ。憑かれてでもいるのかという異常行動。

そして二話に続く。これでいいのか?

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