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生成AIを使って学びを再構築する:学び方を学ぶ(後半)

こちらの記事は11月9日に行った中津でのイベントの後半の記事になります。

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1.女性は不利?:デジタル・ジェンダーギャップ問題

 OECDの調査では、AI・DX関連のスキル修得において技術的なスキルとして必要とされるのは、「Python」「コンピューター・サイエンス」が上がってきています。PythonはWeb開発やデータ分析など、Pythonはさまざまな分野に使える汎用性の高い言語のことです。「ChatGPT」もPythonに基づいて開発されています。Pythonはコードの書き方が覚えやすく、また汎用的に使われている言語です。WEBアプリケーションの開発だけではなく、スクレイピング(WEBデータの収集・解析)、データ分析まで行えます。コンピュータ・サイエンスとは、アルゴリズムとデータ構造、プログラミング言語、人工知能と機械学習、ネットワークとセキュリティ、データベースなどを体系的に学ぶ学問です。

 基礎から応用まで幅広くあるわけですが、OECDの報告書ではAIスキル習得の機会は女性にとって不利な状況であり、この格差が労働市場での不平等に寄与していると指摘されています。つまり、同じように学んでいたとしても性差の違いが出ているという事です。この理由については、女性・男性の右脳型・左脳型、環境、思考パターンの違いなどが考えられますが、はっきりは分かっていません。分かっていることは、女性は男性よりもAI・DX関連の技術的スキルの修得に時間が掛かるということです。

 現在、深刻化していることの一つがデジタル・ジェンダーギャップの問題です。若年層の男性と女性の間で、科学、技術、工学、数学(STEM)分野(ICT分野を含む)における教育、ICT分野での就業志向、ICTスキルには明確な違いが見られます(OECD の調査記事・レポート Why don’t more women code? Gender equality and digital transformation | OECD)。OECDによれば、このジェンダー格差は成人期においても続いてるようです。OECD諸国全体で、ICT専門家として働く男性の割合は女性の3~8倍にのぼります。

 Lagesen et al.(2021)Full article: Inclusion of women to ICT engineering – lessons learnedは、以前からこの問題に着目し、デジタル分野の高等教育は女性、その他のマイノリティにとって歓迎されない「冷たい」文化があり、性差別、ハラスメントが観察されていること、コンピュータ科学者は男性というステレオタイプなイメージが、女性をこの分野から遠ざけている、と先行研究に基づき指摘しました。

 男女におけるデジタル技術の修得の格差は、私たちも体感的には経験していることではないでしょうか。同じように学んでいたとしても性差の違いが生じます。この理由については、先ほど指摘したような文化的、社会的なステレオタイプの考え方が影響しているのか。それとも男女による脳の構造の違い(男性ホルモン、女性ホルモンの双方が脳に与える影響は知られています)なのかはまだよく分かっていないようです(この点は引き続き調査中です)。

 確かなことは、女性は男性よりもAI・DX関連の技術的への関心度が低く、かつ総体的にスキルが低く、関連する領域に女性が働いていない(雇用されていない)、ということです。今後、AI・DX関連の技術スキルの需要が増えていけば、女性は男性よりも不利な状況に置かれていく可能性があります。
しかしながら、女性は確かにAI・DX関連の技能修得が不利だといっても嘆く必要はありません。現在では生成AIを使ってそれを補完することが出来ます。AI・DX時代における特徴の1つとしてパーソナライゼーション(個別最適化)にあることは既に説明してきました。今は学習アプリも発達しており、自分に合った学習方法を見つけやすくなっています。ここでは一番分かりやすいChatGPTを使った学習法を提案します。

2.ChatGPTを使ってみよう

 ChatGPTはOpenAI社が開発した万能型の生成AIです。ここではChatGPT(有料版)を使った学習方法を教えます。有料版ですと、現在(2024年11月13日現在)のバージョンはChatGPT4-oです。月20ドルで利用することが出来ます。無料版でも文章作成、問題解決支援などは出来ます。ただ、無料版では機能は制限されていますので、ひとまず有料版を1か月でも契約して試してみることをお勧めします。ChatGPTでなくてもGoogleが提供している「Gemini」などでもおそらく同じように実践することが出来ると思います。
 生成AI(Generative AI、生成AI、生成型AI)とは、クリエイティブかつ現実的な、全く新しいオリジナルのアウトプットを生み出すAIのことです。新しいテキスト、コード、デジタルの画像や動画、オーディオ(音声/音楽など)を生成、もしくは組み合わせて生成します。データ/コンテンツから学習するディープラーニングにより構築された機械学習モデルで、大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)の一つとして捉えられています。理屈はこれぐらいにして実際に生成AIに出力をしてもらいましょう。ChatGPTに次のように質問してみます。
「Pythonが苦手なんですが、どうしても覚えたいと思っています。お勧めの学習方法を教えてください。」について生成AIに答えてもらったものです。


生成AIの特徴は、問題解決の具体的な方法を提案してくれることです。続けて質問をしていきます。



思った以上に詳しく書いてくれたので、一連の内容を書き出しておきます。

 ChatGPTを含めた生成AIの特徴は、具体的な方法を提示してくれることにあります。ただ、プログラミング学習ではコードを書いていくとエラーが起きて悩まされたりします。その場合も安心してください。エラーも聞けば、次のように指摘してくれます。


 このようにChatGPTを含めた生成AIは、具体的な方法を提示してくれます。ただ、実際に学習を進めていても、コードのエラーで学習がストップするかもしれません。その場合も安心してください。エラーも次のように指摘してくれます。もうプログラミング学習を恐れる必要は全くありませんね。GhatGPTがあれば必ず上達します。

3.生成AI活用の注意点

  ChatGPTのアルゴリズムはPythonで作られていることもあり、プログラミングについてかなり詳しく教えてくれます。私自身活用しながら今学んでいます(リスキングの最中です)。私もプログラミング学習で挫折した経験を持っています。大学時代に挫折した理由を整理すると以下の点にあったように思います。
① プログラミングコードの打ち間違いが多く、他の生徒と遅れがちであった。
②コードの打ち間違えを教えてもらうのが多く、当時の教員、TAの方々をイライラさせていた。
③成果が出ないのでつまらなくなった。

 プログラミング挫折経験者には共通の話ではないでしょうか。有難いことにGhatGPTは何度聞いてもイライラせず丁寧に教えてくれます。時に丁寧すぎて(親切すぎて)、頼りに切りになってしまうことがあるので、これに注意が必要です。

 GhatGPTの使い方は様々です。画像の読み込みからカロリーの推計も行うことが出来ます。この画像の読み取りの機能は、観ている絵画の判別であったり、風景の検索などにも使えます。ただし、個人のデータは検索できないようにはなっています。




 英語学習においてもChatGPTの活用は進んでいます。例えば、ChatGPTの有料版にすれば、対話型(ChatGPTと双方向に話す形で)、英会話のレッスンをすることも出来ます。元々は英語で作られたアルゴリズムですので、英語のレッスンには最適と言えるでしょう。

 このように応用範囲が非常に広く、学びに有効活用できるChatGPTですが、いくつかの注意が必要です。LLMモデルに基づく生成AIは、確率の高いものを抽出し、それに対して、最も確率の高い回答をしています。Google検索の場合、確率の高そうな検索結果を順番に並べて行きますが、ChatGPTの場合は、出されるのは単一の答えです(複数の答えを求めない限り)。結果として、的外れな答えが出ることがありえます。これが「ChatGPTは役に立たないのでは?」という論拠の一つになっています。出された答えが、正しい答えとは限らず、虚偽の答えを出すことがあるのです。これがハルシネーション(Hallucination)問題です。実際に私も論文の検索で使うことがありますが、検索して出してくる論文の質が低かったり、書かれていない(うその)論文をだしてきたり、することもありました。こうした点は徐々に改善されてきていますので、いずれ問題はなくなるかもしれません。ただ、情報検索の一環としてChatGPT等の生成AIを使い、その結果を鵜呑みにするのは辞めた方がよいでしょう。
 

4.学び方が変わる:内発的な動機の重要性

 今は本人のやる気さえあれば様々な可能性が拡がっています。その一方でやる気がなければ何も拡がりません。非認知能力の重要な能力として、内発的動機付けがあります。この内発的な動機付けは、モノ・お金などの外発的な要因ではなく、楽しいからやる・意味がなくてもやる、という単純な動機です。

 大学で勤務する身で、かつ会計という実学を教えているため、「役に立つ」ことが重視されることは分かっています。しかしながら、好奇心、探求心は「役に立つ」から生まれるのでしょうか?恐らくそうではなく、「知りたい」、「やってみたい」という私たちが素朴に抱いている感情から生まれてくるのではないでしょうか?

 会計においてもこの点は重要だと考えています。役に立ちそうだから簿記学習を始めるがスタートでも構いません。しかしながら、そこは単なるスタート(きっかけ)で、学習を通じて世の中の仕組みが分かってくる、そして面白い、という感覚を学習者に身に着けてもらうかが重要です。生成AIでも十分にフォローできないのは個々の学習者のモチベーションです。今後学びの教え手である教員は、学習者のモチベーションをいかに引き出していくかが問われています。そしてそのモチベーションは、外発的なものではなく、内発的動機付けを基本としなければ「学びの継続」には繋がりません。

 学び(リスキング・アップスキリング)を行う方々は、学びが楽しいという感覚をどこかで持っていただければと思っています。最初は難しいかもしれませんが、やっていけば必ず楽しさは出てきます。学びは水泳と同じです。泳げるようになればもっと泳ぎたくなるのと似ています。粘り強く、継続的に、諦めず、そして楽しんで学びを継続してみてください。今はテクノロジーの支援でそれが可能になっています。テクノロジーの発展は、ジェンダーギャップに限らず、あらゆるギャップを埋める可能性を秘めています。



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