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IFRSと日本基準を繋ぐ考え方:『繋ぐ』をテーマにした研究

少し今後のテーマを書き出しておこうと思います。

1. 繋ぐをテーマにした私のプロジェクト

『繋ぐ』をテーマにした私のプロジェクト、です。決意表明を兼ねてこちらに書いておきます。

『社会(人、組織、企業)と会計を繋ぐ』

このことに私は貢献していきます。ツールでありながら、多くの影響を与える会計システム。その影響は見えないところに波及し、時に人の決断、意思決定に影響します。拡がりは持っていいですが、中心は変わらず、真ん中に会計を置いていきたいと考えています。

前にも触れた会計道の探究ですね。私たちを惑わす数値の魔術。会計に関わる人はみんな、倫理感を持っていなければならないと感じています。お金ほど恐ろしいものはない・・・最近特にそう感じます。そのお金をダイレクトに取り扱う会計において倫理が必要なことは言うまでもありませんね。

倫理というと少し取っつきにくいので、個人的には会計道といいたいところです。

とはいえ、難しい言葉ばかりは並べたくはありません。

そもそも会計は理解することに時間のかかる学問です。少なとくも基礎である簿記や基本概念を身につけないとさっぱり・・・となるので、面白さが分かるまでは大変です。

なので、会計を理解してもらい、面白さを伝える、というアウトリーチはとても大切なことです。研究以前の問題として。

まとめると、『会計を取り扱う上での心構え』と『その面白さを伝える』

二つとも大事なところですね。

どちらかといえば、厳しさばかり伝えてしまう私は反省です。

面白さについても意識していきたいですね。

2. IFRSと日本基準を繋ぐ

私が今、研究テーマの大枠の考えとして必要である、と思っていることをここに書いておきます。

私が今後研究のテーマとしていきたいこと。

その一つは、IFRSと日本基準を繋ぐ、ことです。

日本は、IFRS、日本基準、アメリカ基準(U.S.GAAP)の三基準が併存する状況にあります。

これに修正国際基準や中小企業関連の基準も加えれば、より数多くなります。

一番多く使われているIFRSと日本の両基準を繋ぐ共通性を見出し、理解を深めるためのプラットフォームを構築しなければならないと思っています。

2010年3月期から始まったIFRSの任意適用。ついにIFRSをトヨタ、JALなども適用し始めました。


日経はなぜか国際会計基準と書いていますが、International Financial Reporting Standards(IFRSs)、国際財務報告基準です。IASB(International Accounting  Standards Board:国際会計基準審議会)により設定されている会計の国際基準です。

IFRSは今では多くの国に使われる国際基準になりました。

私は、日本の会計基準がダメだとは思っていません。収益概念についてリスクからの解放を重視し、非上場株式の時価評価に慎重である会計処理、利益の実現性を重視する点に「良さ」があると思っています。

しかしながら、主要企業の多くが日本基準ではなく、IFRSを適用し始めています。となると、日本基準とIFRSの両方に対応しなければならない場面が多くなります。

コンバージェンスし、つまり日本基準もIFRSを意識して基準作成を行っているとはいえ、IFRSと日本基準の差はあります。収益認識、金融商品、リースなど、適用に時差も生じています。

特に今回のコロナ禍においては予想信用損失モデルの有無が引当金計上額に大きな差を生みました。

こうした差異がなぜ生まれているのか?基準の差がどのような業績を差を生むのか?なども理解しておく必要があります。

トヨタもIFRSへの任意適用を行ったことで、ますますIFRSを適用しようとする企業も増える可能性があります。

一方でこれは連結財務諸表の話です。個別基準は日本基準であり、数だけで見ればIFRS適用企業が多数とはいえません。なので、IFRSだけに絞って勉強したらいいよね!とはなりません。

また日商簿記検定、公認会計士試験を始めとした国家資格は、すべて日本基準をベースにして出題されます。


こちらは税理士試験に関する問題の話ですが、確か二年連続で討議資料「概念フレームワーク」に関連した話が出てきていたと思います。公認会計士試験も含めて日本固有の基準の話は出題される傾向があります。

なので、日本基準の勉強は欠かせません。日本基準で資格を受けて、実務に出るとIFRSの対応もする。それが日本の実情です。

そうした中で必要なのは、IFRSと日本基準の差分、違いを覚えることでしょうか?

先ほどの予想信用損失モデルの事例のように基準の違いも理解しておくことは不可欠です。

ただし、違いばかりに注目しているとより重要なことを見落とします。

つまり、会計の本質的な機能への理解を深めていくこと、です。

基準の違いに注目するのは簡単です。ですが、日本基準とIFRSの共通性も意識しながら、その上で違いを意識することが必要ではないでしょうか?

そうでなければ、会計の本質を理解できないのではないでしょうか?

3.会計の本質的な機能を考える

IFRSも日本基準もU.S.GAAPも、その他の自国基準も、企業会計の基本的な目的はそれほど大きく変わらないはずです。

情報提供機能、利益調整機能、受託責任機能、こうした役割を担っているはずです。どの機能が重視されるかは異なったとしても本質は変わりません。

また財務報告を通じて、企業の財政状態、経営成績を表そうとすることも同一でしょう。

企業、組織の真の姿を写像しようとする。

それが会計の本質的な機能なはずです。

本質的な会計の認識、測定、表示、開示の問題を考え、その上で、IFRS、日本基準の会計処理を学ばなければならない時代に来ているのではないでしょうか?

モグラ叩きのように基準の違いばかりに注目するのはやめにしませんか?段々キリがなくなっている気がします。

まずは、会計の本質的な機能への理解を考え、考察する。その上で、IFRSと日本基準の違いを考えていくべきであると感じています。

このテーマは大枠の話です。会計を教える際、研究を行う際に常に意識しておきたいことを今回書きました。

個別のテーマについてはまた機会を改めて書きます。





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