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ChatGPT4.0の使用で出来ること、出来ないこと:シラバス作成を事例に

ChaTGPT、生成AI系のことで登壇する機会があるため、今キャッチアップすべく使用しながら、そのインパクトをまとめます。

1. 生成AIとは何でしょうか?

 そもそも生成AI(Generative AI)とはなんでしょうか?その原理から整理していきましょう。

 生成系AIジェネレーティブAIGenerative AI生成AI生成型AI)とは、クリエイティブかつ現実的な全く新しいオリジナルのアウトプットを生み出す人工知能(AI)のことで、具体的には新しいデジタルの画像や動画、オーディオ(音声/音楽など)、文章やコードなどのテキストを生成するAI、もしくはこれらを組み合わせて生成するAIのことを指す。そのAIは通常、データ/コンテンツから学習するディープラーニング(その中でも特にTransformerといった最近の技術)により構築された非常に大規模な機械学習モデルとなっている。画像を生成できるAIの「Stable Diffusion」や、テキストを生成できるAIの「ChatGPT」などがその代表である。

要するに生成系AIとは、膨大なテキストデータを学習する大規模言語モデル(LLM)ですね。

*大規模言語モデル(Large Language Models/LLM)とは、大量のデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された、機械学習の自然言語処理モデルのことです。


大規模言語モデル(LLM)の仕組み(上記のサイトより)

大規模言語モデルでは、巨大テキストデータセットを用いた事前学習(Pre-Training)と性能を最適化する微調整(Fine-Tuning)の2段階のプロセスがあります。

LLMが入力(プロンプト)を受け取り、適切な反応を出力するまでの主な流れ、以下のようになります(これも主に上記のサイトを参照しています)。

  1. トークン化:入力文をトークン(最小単位)に分別、ベクターに変換

  2. 文脈理解:プロンプト内の各トークンとの関連性を計算

  3. エンコード:特徴量の抽出

  4. トークンのデコード:次のトークンを予測

  5. 入力文の次のトークンの確率を出力

要するに、入力分から、トークンを分別し、ベクターに変換。
プロント内のトークンとの関連性を計算し、特徴量を抽出・・・というプロセスなわけです。

「このベクターとは何か?」と思う方もいると思うので、ChatGPTに聞いてみました(有料版 4.0です。以下、文中で話をする際にはChtGPT4.0(有料版)を前提としてます)。


LLMモデルによるベクターとは何ですか?と聞いてみた

では、Googleでこの事を聞いてみましょう。


Googleで「LLM ベクター」と聞いてみた。

あれ、思ったのが出てこないな・・・と思って下のところを検索するとより的確そうなものがありました。


下の方により的確なものがあった

このように自分として求めているのがLLM ベクターだったので、これが的確そう思えます。そこで、こちらをクリックしてみると・・


求めている答えはGoogleで出せた!

Vector Storesはテキストデータをベクトル化して保存・検索するための仕組みです。事前に独自コンテンツのテキストをベクトル化して保存しておきます。検索時には検索キーワードをベクトル化して、類似するテキストを抽出します。これを実現するためには、ベクトル化したデータを保存するデータベースが必要になりますが、LangChainのVector Storesは、さまざまなベクトルデータベースに対応しています。

https://chmod774.com/vector-stores/



と説明がありました。

なるほどベクターとありましたが、これはベクトル化のことを指しており、そうした意味では近かったことが分かります

話が少しそれましたが、このようにLLMモデルより生成AIは、確率の高そうなものを抽出し、それに対して、最も確率の高い回答をしている、ということが分かると思います。

Googleの場合だと確率の高そうな検索結果を順番に並べて行きますが、生成AIで出されるのは単一の答え、なので、結果的に的外れな答えが出ることがありうる、という訳です。

これは俗にいうChatGPTは役に立たないのでは?という論拠の一つになっています。つまり、出された答えが、正しい答えとは限らないという事です。

これまでは精度が低かったので、生成AI大したことないなぁーという感じだったのですが、かなり的確な答えをするようになりましたし。正しいプロント(命令文)を打てば、精密な答えも可能です。

なので、ChatGPTはあくまでも何らかの作業を代替させるのに利用したほうが効率的で、何かに答えてもらおうと、つまり検索の代わりに使うというのは向いていません。むしろ、論点をChatGPTに出し、そのキーワードをGoogleで検索する、という流れの方がスムーズでしょう。

2. ChatGPTの使い方(シラバス作成での使用)

さて、ChatGPTを使って何かの作業を代替させましょう。ただ、これ!と支持してもよいですが、それはやや非効率です。その理由は二つあります。

①プロントが不正確だと、的確なアウトプットをしない場合が多く、結果的に手間が掛かる。
②有料版の質問数の制限がある。

①はお分かりだと思います。

ここではシラバスの作成の話を例にとっていきましょう。なぜシラバスの作成の話を事例にするのかといえば、こちらがChatGPT等の生成AIを使う場合のおススメの方法として書かれているからです。

こちらは日本私立大学連盟の「大学教育における生成AIの活用にむけたチェックリスト」(第一版)からになります。ここには先頭に「シラバスの作成への活用」があげられています。

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=3891

私立大学連盟がいうようにシラバス作成への活用が検討する価値があるのかどうかを試してみましょう。

ここで、会計学入門のシラバスを作成して、と指示したとしましょう。この指示では、誰を対象に、どんな内容のものを意味しているのか分かりません。なので、結果的に修正の指示を繰り返して手間が掛かります。勿論、この指示でもある程度のものを作成してはくれます。

会計学入門のシラバスを作成をお願いしてみた


このような形になります。


全体像はこんな形

8回で終わってしまっています。大学の講義は全15回なので、これでは不足ですよね。そこで以下のようにプロントを打ち直しました。

#命令:会計学入門という、大学の講義シラバスを作成して欲しい。 15回の講義を行うので、各回でどういったテーマで行うのかも記載して欲しい。

#前提:大学1年生を対象にした講義であり、前提知識がないことを基本として作成する。

#制約条件:1000字程度で記載する。

打ち直してみるとこんな感じです。大分まとまってきました。ただ、会計学入門の内容としてはちょっと違うというか、物足りなさも感じます。前よりは少し具体的になったところでしょうか?なお、シラバスにはテキストの指定もありますが、このテキストは存在しません。これがChatGPTの最大の課題で、平気でうそをつく(正確には正しそうな答えを出す)になります。

プロントをなるべく最初から正確に書いた方が良いといえば、ズバリ、回数制限があるからです。

ChatGPTでは現在、プロンプトの送信回数をベーシックプランのユーザーは1時間あたり30通、ChatGPT Plusのユーザーはそれ以上の通数に制限しています。1回の会話は3000ワードまでで、いずれかの制限に達した場合はエラーメッセージが表示されます: このエラーは、長いまたは複雑な応答に必要な処理によって引き起こされる可能性があります。

今はおそらく有料ユーザーは、50回/3時間ではないかと思います。
50回も出来るなら、そう困ることはないとは思いますが、多く業務で質問をしていると案外早くリミットに達します。つまらない質問はほどほどに回数も的確なプロントを打つことを意識してきましょう。

会計学入門というやや間口が広そうな、言い換えれば何でもありそうなシラバスだとこんな形になってしまいますが、このようなケースを考えてみましょう。

#企業分析入門というテーマで、トヨタ、ソニー、任天堂などの日本を代表する企業をケースとして取り上げたものを行う。
#財務諸表分析の要素を取り入れ、ROA,ROE,ROICなどの指標も講義で教える。
#全15回講義を予定している。
#1000字程度で作成する。

どうでしょうか?具体化したものの方がより的確にそれらしいものを書いてくれるのがお判りでしょうか?

3. ChatGPTにシラバスを直してもらおう。


現段階においては、新しいものを生み出してもらうよりも既存のものを手直ししてもらう方が向いていると感じています。さて、私の講義担当科目である財務会計論を手直ししてもらいましょう。

手直し前のシラバス


手直し後のシラバス

こちらのシラバスをみると、自分として構成が出来ていなかったところや、分かりにくかったところ、再構成したほうがいいところ、などに気がつきます。たとえば、13などは連結会計と収益認識の二本立てになっていましたが、これだと2要素が混じっているので、一本化させた方がいいな、とか、1コマの講義に色々な要素を詰め込んだため分かりにくくなっているな・・・などです。書式も直してくれるので、分かりやすくしてくれます。このままは使えないけど、修正案としては使えそうです。


4. ChatGPTについてのまとめ

そのやり方については次回以降に、ということにします。
まずここでのポイントは、
①ChatGPTとは大規模言語モデル(LLM)に基づくAIであり、確率的に高いアウトプットを出す仕組みになっている。
②使いこなすにはプロント(命令文)を正確に、具体的に打つ方が手間が少なくなる。
③抽象的な内容よりも具体的な内容をアウトプットするのが向いている。
④あるものを手直しするのが得意(自分の間違えに気がつきやすい)

の4点を抑えておきましょう。
こうやってみてみると生成AIの活用について、シラバスの作成とありますが、ちょっと活用の仕方が違うのではないか・・・とも感じます。シラバスを1から作るならそうですが、シラバスの多くが改訂を重ねて作っていくものなので、あえて生成AIに頼らなくてもよい気がします。ただ、ChatGPTを使ってシラバスの見直し、改訂をする、というのには使えそうです。これだとちょっと活用の幅が小さすぎますよね。

ChatGPTはファイルや画像を読み込ませたり・・・も出来ますし、テキストデータを一定の規則性のある形で整理してもらう、ということもできます。

課題や教材作成の活用にも使えますが、使い方はもっと別のやり方がある気がしています。具体的には講義の現場や課題において使うというやり方です。特に、ChatGPTは、語学の練習やプログラミングの練習にも最適です。この辺りは強力過ぎて、将来的にこの手の分野がかなり代替されてしまうのではないか・・・と感じるぐらいよく出来ています。

次回以降、もう少し具体的な活用方法、実践方法について触れて行きます。


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