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丸井グループの2021年3月期第2四半期分析:コロナ禍でも好調なカード(フィンテック)事業とその将来像

#30分企業分析ではスライドで企業分析を発表するのですが 、スライドよりも文字で打つことを主でやってみよう!

ということで、30分企業分析風に丸井グループの決算を読み解いていこうと思います。

といっても限られた時間で行いますので、ある程度的を絞っていきます。

視点とすると、

大まかな事業モデルと決算の結果からおおよその内容を掴む

今後の動向、事業戦略についても考えてみる

の2点でいきます

丸井グループですが、絶好調とはいいませんが、比較的業績は堅調であるとは伝えられています。丸井グループはカードビジネスに以前から力を入れるだけではなく、自社内のECの構築にも力を入れ始めています。

楽天と同じ、と感じる人も多いかもしれませんね。丸井の方が老舗です。

こちらのITmediaの記事にも書いてありますが、丸井は創業当時1931年代から小売りと金融を一体化したビジネスモデルを構築していました。大手カード会社に勤めている方にも聞いたのですが、丸井はカードビジネスの老舗でノウハウや顧客との信用構築に強みがある、と言っていました。

何をもって強いのか?

これをなかなか短時間で言い表すのは難しいかもしれません。

信用力が低いはずの若者をガード発行のメインターゲットとしながら、自社が提供するエポスカードの利用率をあげ、年会費1万円未満で安価で多くの人に指示されるカード会社としての地位を構築しました。

そんな丸井の決算にはどういった特徴があるのでしょうか?

第二四半期の決算を見てみましょう。


丸井決算(1)

特徴とすると売上収益は12.9%と減少したものの、営業利益、四半期利益ともに黒字を確保しています。

さらに年間配当金も維持しています。

小売業は不振と言われながらもどのような仕組みでこれを達成することができたのでしょうか?


丸井決算(2)

第1四半期と合わせた半期の業績です(赤枠の囲みは私が追加しました)。こちらでみると第1四半期、つまり緊急事態宣言下においても赤字は出していません。

丸井決算(3)

丸井は小売りセグメントとフィンテックセグメントに分かれています。

フィンテックといっていますが、分かり易くいうとカードビジネスです。

コロナの影響で小売りはさすがに不振に陥ったようですが、カードビジネスは好調でした。エポスカードでステイホーム中お得に買い物しよう!ということで、買い物した人が多かったことが分かります。

丸井は自社のECサイトも持っています。このデータをみる限りは自社のECサイトが好調だったというよりはカードの手数料による収益が多かったということが分かります。

丸井決算(4)

営業利益の内訳をみてもカード(フィンテック)事業の強さが際立ちます。小売りのマイナスを打ち消す形になっています。

丸井決算(5)

こちらバランスシートの状況です。小売りが不振になったことに伴い営業債権が減少しました。投資有価証券が増加したのは株高の影響と推測されます。有利子負債もそれほど増えておらず、自己資本比率も変わらず(むしろ若干増加しています)です。ではキャッシュフローの状況はどうでしょうか?

丸井決算(6)

現金及び現金同等物の残高は424億円と前年同期比と比べて増加しています。これは営業債権等の減少したこと、昨年度行った自己株式の取得を行わなかったことが影響しています。

自己株式の取得はペイアウト(株主への還元)政策の一環です。さすがにコロナ禍においては自社株買いは行わず、現金確保を優先させていることがうかがえます。

丸井画像(7)

丸井はEPS、ROE、ROICといった指標を重視している企業です。こちら開示されている結果から分かるようにEPS(1株当たり利益)は2021年3月期は減少の見込みです。ROEも5.3%と低下予想です。ただし、ROIC(投下資本利益率)を上回るROEは達成できる見込みであり、通期でも利益を確保できる見込みです。

では、今後丸井はどうなっていくのでしょうか?

丸井はカードビジネスに強みがある、といってもそれは小売りとの相乗効果によって成り立っています。

自社のECサイトにお客さんを持ってこれない限り、先はありません。

今後はOMO型(Online Merges with Offline)つまり、オンラインとオフラインを融合したECに力を入れていくことを表明しています。

丸井画像(8)

この辺りのまだ成果は明確に見えていないところがあります(ベンチャー企業との共創は打ち出されており、事例はありますが)。

小売業は変化のスピードがコロナ禍で速くなっているので、上手く切り替えていけるかがカギになりそうです。

そしてもう一つは不動産ビジネスです。

丸井画像(9)

賃貸マンション事業の物件を丸井グループは持っています。エポスの少額短期保険と連動させることで、シナジーを得ようという計画です。住友林業とも共同して、リノベーション×賃貸領域事業に力を入れていくことを表明しています。

小売×カード(フィンテック)ビジネスをコアとし、次の世代のEC(OMO)型を目指した変化を目指しながら、不動産ビジネス多角化していくという将来像が浮かび上がってきます。

ある程度こうした攻めの姿勢・投資が行えるのも、カード事業という安定したキャッシュを生み出す基盤があるから、といえそうですね。


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