会計調整も理解しながら、利益情報を使いこなす
会計調整という手段があります。
例えば、減価償却に関連する費用を調整するテクニックです。
例えば、EBTDAですね。
EBTDA(Earning before interes, taxes, depreciation, and amortization)は、利払前、税引前、償却費控除前の利益(EBIT+減価償却費+その他償却費)。
要するに、発生主義で発生する償却費などを足し戻した値になります。企業の本業の利益を測定しようとすると、償却費が引かれた後では分からないことがあります。
となると、それらを足し引きして本業で稼いだキャッシュを計算します。
Non-GAAP指標、いわゆる企業会計の基準に沿わない形で独自の利益を計上している企業は多くあります。
例えば、武田薬品工業は独自の利益指標を用いています。
これを読むと、CORE営業利益は以下の式で求められています。
CORE営業利益=純利益+法人所得税費用±持分法に関わる投資損益±金融損益±その他の営業損益+製品に関わる無形資産償却費+減損損失±企業買収に係る会計処理の影響±その他の項目
*営業利益の中で本業を構成するコアな要素を出している。
さらにEBTIDAだけでなく調整後EBITDAもあります。
EBTIDA=当期利益+法人所得税費用+減価償却費及び償却費+正味支払利息調整後EBTIDA=EBITDA+減損損失±その他の営業損益(減価償却費および償却費除く)±金融損益(純支払利息を除く)±持分法による投資損益±その他の非定常項目の費用・収益
マイナスとなる費用は足し戻し、プラスとなる収益は引き戻す。
色々と指標はありますが、要するに
利益±発生主義により発生した損益(現金の支出を伴わないもの)
になります。
となると発生主義に基づいた利益情報は不要か?といえばおそらくそうではないと思います。
例えば、発生主義においては確かに減価償却や減損損失など、キャッシュの支出を伴わない費用も計上されます。また未実現の利益も計上されます。
こうした情報は一定程度有用であることは実証研究の中で示されています。
例えば、減価償却は、多額の設備投資をしている企業であればあるほど多額なります。これはそれだけ投下した設備投資を回収しなければならない額が多いということを意味します。
つまり、減価償却費に見合うだけの利益を上げれていない企業は、業績としてどうなの?となるでしょう。
また減損損失も同様です。これは以前投資した資産を回収できなくなったことを意味します。となると、その分の価値を切り下げておく、つまり評価の損失を計上しておくということは、事業に関する情報を提供するリッチな情報となりうるのではないでしょうか?
とはいえ、投資家の目線で考えれば、「どの点に着目してみるか?」で変わってきます。複数の利益の指標を駆使しして多角的に分析することが必要になるでしょう。
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