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社会のインフラとしての企業会計制度の構築に貢献したい

43歳を迎えました。

もう残りの人生も少ないです。

いや本当。

私が出来ることと言っても大したことは出来ないと思っています。

ですが、私という存在がいることで何か少しでも世の中を良くしたいな、という気持ちがあります。

会計学は、経済学のような政策的な「何か」を提供するツールではないと思っています。

会計、会計学の強みは何か?

実態、リアルを表す会計というツールを使いこなすことで、世の中のより多くのことを見通せるようになる、分かるようになる。

そこに会計の強みがあります。

学問としての会計学は、ツールとしての会計とともにあります。

そして、会計はツールでありながら、単なるツールではない、とも感じています。

会計を通じて、企業の社会的責任が問われる場合もあります。

粉飾決算を行った企業が社会問題になるのはなぜでしょうか?

公認会計士の監査に不備があったら、なぜ監査制度だけではなく会計制度も問題視されるのでしょうか?

リーマンショックの時に、時価会計の不備、が指摘されたことも記憶に新しいでしょう。

会計は社会のインフラとしての役割を果たしています。だからこそ、監査制度があり、内部統制があり、そして会計基準があるわけです。

この会計のもつ社会性を時に不思議に感じるときがあります。

普段話題にされない会計が突然、大きな問題として取り上げられることがあります。

私が会計を勉強し始めて、一番印象的だったのは、銀行の繰延税金資産に関する問題です。

不良債権処理の過程で発生した繰延税金資産。自己資本の大半が繰延税金資産!というような銀行もありました。

繰延税金資産の回収可能性が厳しく問われれるきっかけになりました。

私の専門分野で考えれば退職給付もそうですね。退職給付会計が導入され、企業年金・退職金の負担額がオンバランス化されました。

そのことをきっかけに、オンバランス化された退職給付に係る負債(退職給付引当金)や年金資産の運用状況などが新聞紙上にも出るようになりました。

今であれば、収益認識の基準かもしれませんね。2021年4月から適用になる収益認識の基準。これをきっかけに収益の考え方が変わるかもしれません。

リアルを表す会計。その測定方法によって企業の業態も時に影響を受けます。

会計は、貨幣という定量的な手段で、企業の実態を写像するツールです。

そのツールとしての会計に対する、適切な社会的な理解、認知を高めていくことが研究者としてまず求められる役割ですし、よりよい会計のあり方を追求することもまた必要なことだと思います。

そして、「よりよい会計のあり方」のためには、会計の実務に関わる方たちに有用な研究成果を提供することが必要である、と感じています。

「よりよいの会計のあり方」は端的に言えば、財務諸表の作成、監査に関わる人たちに、適正な判断を行うためのインプットを提供することにある、と考えています。

会計は地味な仕事です。

何もなくて100点満点。

何かあれば0点。

ですが、会計は社会のインフラとして重要な役割を果たしています。

みんなが安全安心して利用できる社会のインフラとしての会計制度の構築に貢献したい。

それに私がどこまで貢献できるのか?

何か一つでも、少しでもそこに貢献できたら、研究者としては終わりでよいのではないか、と思っています。

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