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差別発言の何を問題視すべきなのか?:SDGsのターゲット5と10を意識する。

こちらの記事もかつてSDGsに関する批判的とも受け取れる話を書きました。

ただ、私個人としてはSDGsに共感していることは大きいとまずはお伝えしておきます。

こちらが出たのは、確か4年位前だったと思いますが、当時から注目して、あ、このブーム来るな、と予感しておりました。

理念から出発するのが大事なSDGsにおいて形から入ることを重視し過ぎていることに違和感を感じることが多い日々です。

SDGsと東京オリンピックは強く結びつける形で展開されています。

日本は、気候変動や天然資源の枯渇、差別等の人権問題等、持続可能性に関する世界共通の課題に直面しています。東京2020 大会は、「Be better, together /より良い未来へ、ともに進もう。」をコンセプトとし、持続可能な社会の実現に向け、課題解決のモデルを国内外に示していきます。
また、地球及び人間の未来を見据え、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に貢献するとともに、将来の大会や国内外に広く継承されるよう取り組んでいきます。

そんな中で起きた森会長の問題発言です。

ジェンダーに関する発言は最大限慎重に行わなければなりません。なぜならば、女性に生まれるか、男性に生まれるか。もしくはそのどちらでもない形か。

それは本人が選択できないこと、です。

人種もそうです。

そのことを貶めるような発言をすることは、存在そのものを否定することにも繋がりかねない話です。

そのことから考えてみると面白い示唆が得られます。

ジェンダー、人種だけでなく、生まれてきた環境によっても格差は存在します。そのことは事実です。

だからといってそうした環境に置かれている人たちを差別するということは許されることではありません。

ちょうど100分de名著もこちらの話題ですね。

人種差別がなぜ生じるのか、そして差別を受ける側がその差別構造を内面化してしまうのはなぜかを考究する「黒い皮膚・白い仮面」。この著作の成立には、ファノン自身の出自が深く関係している。仏領マルチニーク島で生まれたファノンは、フランス人に同化すべく第二次大戦中は白人たちとともに前線で闘う。にもかかわらず、白人たちの差別はやまない。圧倒的な差別構造に直面したファノンは、精神科医の資格をとりながら、この差別構造を心理学や言語の分析から明らかにしようと決意する。この著作では、こうした彼自身の半生をも俎上に上げて、徹底的に心理分析のメスをいれていく。第一回は、ファノンが辿った人生の紆余曲折を追いながら、一人の人間が、差別の構造に足をとられながらも、やがてそこから抜け出していくきっかけをいかにつかんでいくかを明らかにしていく。

100de名著、おススメです。

根深い差別

差別するのは人の本質化もしれません。

学校にいけば、成績で優劣が付きます。いい子にしている生徒は好かれ、そうでない生徒は嫌われるかもしれません。

容姿、運動神経の良し悪し。お金を持っているかどうか。

集団の中で生活していればあらゆるところで感じる優劣と差別。

そして世界に目を向ければ飢餓の問題があり、ワクチンのことで争奪戦が起きていることが浮き上がります。


こちらの内容をまとめると以下の通りです。

慢性的な飢餓は何十年にもわたって着実に減少していましたが、2014年には徐々に増加し始め、現在も増加を続けている。

・栄養不良の人口が最も多いのはアジアであり(3億8100万人)。これにアフリカ(2億5000万人)と中南米とカリブ海諸国(4800万人)が続く。

・栄養不良の世界的な蔓延、あるいは飢餓に苦しむ人々全体の割合は8.9%とほとんど変わっていませんが、2014年以降、絶対数は増えている。この5年間、飢餓は世界の人口の増加とともに増えていることを意味しています。

・これには大きな地域的格差が隠されています。割合でみるとアフリカが最も深刻な被害を受けている地域で、人口の19.1%が栄養不良でその程度はひどくなっている。アジア(8.3%)やラテンアメリカ・カリブ諸国(7.4%)の2倍以上。

・現在の状況が続くと、2030年までにアフリカが世界の慢性的な飢餓に苦しむ人々の半数以上を占めることになる。

そして切り離すことが出来ないのが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響です。その影響についても次のように言及されています。

・飢餓対策の進歩が失速する一方、新型コロナウイルスのパンデミックは、食料の生産、流通および消費に影響するすべての活動とプロセスと解釈される世界の食料システムの脆弱性と不備を増大させている。

・報告書は、新型コロナウイルスがもたらした景気後退により2020年には最低でもさらに8,300万人、場合によっては1億3,200万人が飢餓状態に陥る可能性がある。

今回の発言を直接的にこうした問題と結びつけるのは飛躍しすぎかもしれません。

ただ、こうした蔑視的な発言が最終的には差別、偏見を生み、こうした問題を助長させるのではないか。そのように感じています。

そもそも、日本の現在のトップの理念的なこと、哲学的なことに対する弱さを感じます。これは日本人特有のものかもしれません。

形から入る。理念よりもまず実行(行動)することを重視する。

こうしたスタイルなのかもしれません。そのことは否定されることではありませんが、そうしたことがもたらす負の側面ということもまた認識しなければならないと感じています。

SDGsの中にはもちろん、差別、不平等に関する目標もセットされています。

ターゲット5「ジェンダー平等を実現しよう」とターゲット10「国内と国家間の不平等の是正」です。そしてその目標を達成するための具体的な指針も設定されています。その一例を見てみましょう。


ターゲット5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する
ターゲット10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法
規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平
等を是正する。

ターゲット5とターゲット10は、差別と不平等を意識したものです。私たちが2030年を目標として考えなければならない事、やらなけなければならないことは多そうです。そしてその実現のために、どのようなマインドチェンジが必要なのか。

真剣に考えるときに来ているのではないでしょうか?

森会長を辞めさせたら、事態は終わり、ではない。根深い、差別と不平等の問題について考えるきっかけにしたいですね。


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