志野焼について

最近、茶道具について勉強しているのですが、その際に一昨年見た、サントリー美術館「美濃の茶陶」展を思い出しました。

この展覧会で特に印象深かったのは、志野焼でしたね。それまで志野というと単に白っぽい焼きものとしか意識してなかった私の認識は大きく変えられました。長石質の厚い釉薬は当たり前のようにひびが入り、表面の石の光沢も相まって器に釉薬が塗ってあるという感じよりも、器の周りに石がまとわりついているという感じで迫力がありました。展示品の中にあった、人間国宝、荒川豊蔵さんの作品は特に力強く印象的でした。

私は志野茶碗が苦手といっても良いかも知れない。その迫力に、ある種の恐怖を感じてしまいます。なぜだろうかと逡巡してみました。

あのゴツゴツとした肌。繊細さを許さない貫入(釉薬のヒビ)。炎を写し取ったような土の赤茶色。荒々しく存在するその様は、まさに自然そのものでの激しさではないでしょうか。単に人間の手で整えられた美しさに収まらない姿は自然の持つリアリズムを生々しく私に見せつける。そこに私は気圧されてしまったのでしょう。志野焼の持つエネルギーは抑えきれません。

#志野茶碗 #荒川豊蔵 #美術 #工芸



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