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機内で行った、小さな冒険とその後


飛行機に乗った際のこと。


お客さんが少なくて、窓側の席でなかった私は、
後ろの窓側の席に移動した。


LCC、格安航空会社の場合、
座席移動はできない。

座席によって値段が違うからだ。

しかし、フルサービスキャリア、FSCは、違う。
(フルサービスキャリアとは、分かりやすく言うと
ドリンクが無料で配られる飛行機のこと)


好きな座席に、同じクラスであれば、
自分で勝手に移動が出来る。
(ファーストやプレミアムシートなどは別)


私が座席移動をしたのは、離陸までまだもう少し
時間がある時だった。


どうしても、離陸の瞬間の写真を撮りたかったので、
このタイミングで座席を移動した。

ただ、このタイミングで座席移動をすることは、

少々躊躇した。

その理由は、元客室乗務員として

「離陸前のシートベルトチェックなどをした後に、
座席移動をするお客様は、正直めんどくさい」

というのを知っているからだ。


何故めんどくさいのか?


それは、安全上の理由でもう一度シートベルトチェックを

しないといけないからだ。


客室乗務員の人も着席している今、私のためだけに
再度シートベルトチェックに
来ていただくのは、申し訳ない、思った。


そこで、私はある行動をとった。


「シートベルトを締める音をわざと大きくした」

のだ。

「かちゃかちゃ、かちゃん」


と、良い具体に音がでた。


「これならきっとシートベルトチェックに
こないだろう」

ほぼ確信していた。


そして、実際に客室乗務員の人は、

シートベルトチェックにはこなかった。

私は、きっとあの音で、シートベルトを締めたと
判断された、と思っている。

私の小さな冒険は、成功したのだ、と

思った。


私が現役時代に、着陸間近の際座席移動をする
お客様がいた。

その際、シートベルトチェックに行けば、
間違いなく自分は立ったまま着陸をすることになる。
それは、安全上もできない。


それを避けようとすると、出来ることは二つ。


1つは、「音」での確認。
シートベルトを締める際の音は、
耳にこびりついている。

それほど、「音」に客室乗務員はとても
敏感だ。


そしてもう一つが、注意のアナウンス。

電車でも、駆け込み乗車をした乗客に対して、
「駆け込み乗車は危険ですので、おやめください。
次の列車をご利用ください」


と言われる。


実は、このアナウンスもされるのではないか、と
心配していた。


しかし、このアナウンスもなし。


心からほっとし、離陸中の写真を撮り続けた。


やはり次回からは、必ず窓側の席にしよう。

そう、自分に誓っている。


上野 博美



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