新幹線から普通列車に乗り換えるように
若い頃からずっとずっと走り続けてきた。
それはその時必要だと思っていたし否定するつもりはない。
ただ、走ることで見損なった景色、感じられなかった香りや感覚があったはずだ。
久しぶりに訪れた美術館のテイールームは、平日だからか、高台から市街を眺め下ろせる席が空いていた。
隣には中年夫婦がずっと何かを小声で話している。
反対側では、席を一つ空けて若い男性がスケッチブックを持って、眺める景色を描いているようだ。
そしてわたしは、紅茶とテイラミスを堪能したあと、水色と薄いグレ