【六枚落ちマニュアル】第2部第2章第1節 9筋攻めの基本

◆本節では、9筋攻めの基本を解説します。


1,9筋攻め定跡って何ですか?

↑9筋攻め基本図のように、▲6六角と出て角+香+歩+のちに▲9八飛と回り、飛車も加えて攻める指し方です。
 

2,9筋攻め定跡はどれくらい指されている?

9筋攻めは、駒落ちの名著である「将棋大観」(木村義雄著)で解説されていることもあり、ながらく六枚落ちにおける中心的な存在でした。
しかし、この定跡は角を切る必要(後述します)があることから、現在はこの9筋攻め定跡をメインに教える指導者は減少している、というのが私の認識です。 

3.9筋攻め定跡はどれくらい本で解説されている?

 
前述の将棋大観駒落ちの基本書である「駒落ち定跡」(所司和晴著)をはじめ、多くの本で解説されています。

4,9筋攻め定跡の長所は?

 
角を切って守りの金を入手するため、展開によってはすばやく勝つことができます。また、振り飛車党の方には、スズメ刺し定跡に比べ、盤面の左側から攻める感覚になじみやすいのではないかと思います。 

5,9筋攻め定跡の短所は?

なんといっても、角を切る駒損の攻めになることです。
A図は、▲8四角6六にいた角で上手の△8四金を取った局面です。当然△同歩と取られて角金交換の駒損になります。この▲8四角は9筋攻めの急所であり「角を取られても飛車を成りこむ」という明確な意志にもとづく一手です。
しかし、六枚落ちにおける上手と下手の実力差を考えると、この戦い方はあまりおススメできません。上手に角を渡し、その角が馬になって攻防ともに強力な存在になることが多く、下手に苦労が多いのです。そのため、私は古くからの定跡であるこの9筋攻めよりも、スズメ刺しを教えることにしています。
ただし、考えようによっては上手の馬を相手にするよい訓練になりますし、あるいは「上手に馬を作らせないようにする」という戦い方を学ぶ機会にもなります。  

6,9筋攻め定跡を指しこなすコツは?

以下の2点です。
 
1)9筋で飛車を成りこんだ後、と金と成香で上手の金銀をはがす
2)上手にできるだけ馬を作られないようにする

 
1)は攻める際のコツです。特に本マニュアルのステップ2とステップ3では、できる限り竜+成香+と金の攻めを心がけてください。
 
2)は受ける際のコツです。上手に馬を作られるとその力は強大です。よってできる限り上手に馬を作られないようにするのがおススメです。
この「相手からの角の打ち込みを防ぐ」という技術は、平手でも大いに役立ちます。 

7,上手の指し方はどんなステップに分かれている?


 以下のラインナップです。
 
ステップ1 基本定跡
ステップ2 上手△8四金型①
ステップ3 上手△8四金型②
ステップ4 上手△8四歩変化

 
以上、9筋攻めの基本を解説しました。
次回は「第2節 9筋攻め定跡、基本図までの手順」です。


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