葵短歌 2018

2018年に詠んだ短歌たちです。ほぼ藤原蛍ちゃんとのいちごつみの作品。


なんてことないような顔してる空 B-29を運んできたの

安売りな愛を拾っているだけの外れの街で冷えたビル風

「空よりも広い」と言う君「海よりも深い」と言う僕 解がない愛

「今までに付き合った人は3人です」(突き合った人はもっといるけど)

ウォーリーが見つからないままこの世界ゲリラ豪雨で流されちゃいそう

もう恋はやめてしまったの だってまだカスピ海でも泳げてないし

今夜こそ君が欲しいなと思ってる。特にどこを、とは言えないけれど。

よっくんに、ゆうくん、たっくん、りょうくんで、次のお相手はなんと呼ぼうか

大体のものは簡単に殺せるの小さい虫とか過ぎた夏とか

気がつくと栞を投げ捨て走ってたもう止まれない恋のおはなし

夏風邪をひいたあなたにやわらかいりんごをあげる目を閉じていて

教室の長いカーテンに包まれて(実は国語の先生が好き)

いつのまに大人になってしまったの揺れている僕と君のピアスと

午後10時線香花火きらきらと制服のままで笑っていてね

黙々と異国の便りを告げている君にもいつか言の葉が舞う

黒猫は僕を無視して路地を行く追えば二度とは帰れない、けれど

久しぶり私は変わらず元気ですキュウリの馬も用意しています

週末はクリアアサヒとおつまみとホラー映画を吟味する君

今日もまだ生きてるなんてすごいねぇ原液もっと足さなくちゃねぇ

ぼくたちの未来はとっくにできているローズクォーツが華やぐ場所で

ひと夏の恋で終わるな生涯の安寧を乱す存在であれ

理科室の隅のジェンガを崩さない白魚のようなガイコツの指

雷が白く光って「落ちたよね?」強いて言うなら恋には落ちた

人ごみが貴方の背中をかき消してもうその腕に抱かれないなんて

茶屋町のタリーズでよく待ち合わせしたことを思う西梅田店

エアコンをかけて眠って夢をみて目覚めたら君がいなくて寒い

「俺のため毎朝みそ汁つくってよ」「いいけどお前の脳みそ不味そう」

寝不足でラジオ体操に参加した理由は”会いたい””私服が見たい”

カレーにはナンもライスも合うけれど君に合うのはこの私だけ

インドって人生観が変わるらしいふたりで人生変えに行こうか


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