葵短歌 2017

2017年に詠んだ短歌たちです。全体的に暗い短歌が多い気が。何があった。


「もう君を忘れることに決めました」 世界で一番、雨が似合う日。

「寒いね」と肩を抱くような勇気さえあれば僕らは今ごろきっと

恋なんて知ってしまったあの日から わたしはお空をとべなくなった

「幸せになってね」なんて、よくもまぁ。罪深いのよ君の無邪気さ

土曜日も君の「おはよう」が聞こえなく ひとりのベッドはひんやり広い

愛情を花にたとえて笑い合う僕らは知ってたいずれ枯れると

頼りないあなたを海へ還しますわたしに何が残るでしょうか

始まったばかりの恋は許されぬハッピーエンドのない物語

もう二度と いらないあげないそれでいい 愛なんてそんな馬鹿げた気持ち

チョコレート溶かして固めてお手軽で そういえばこの友情だって

夜の淵あたしに似た顔する人がたくさんいるの もう死んでるの

屋上に並ぶ革靴お空へと昇るには少し重すぎたのです

図書館の地下のお化けを知っている?いつも結末で泣いてしまうの

はじめての花束はやけにカラフルで もう元どおりの横断歩道

「さよなら」も「またね」も言えぬ教室で君への想いも卒業します

あとがきに踊るインクは定型文 ズッ友なんて思ってないし

好きでした数学ノートの落書きに丸をくれてた先生のこと

生き物は死ぬことがゴールなんだって今朝もコーヒーは美味しいのにね

午後2時がゆたりと流れる校庭の緑の気高さ、君の清明(さやけ)さ

哀しみを孕んだ風が吹きすさぶ 夏、恋、かげろう、死んでいくのね

キャラメルをひとりじめした僕はもう誰のものにもなれないだろう



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