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【Pon】プロトタイプ・スタジオを創る〜第二部・「閉ざされた業界のバイアスを発見せよ」

前回(第一部・「Ponとぼくの出会いと挫折」)、
「目の前の人のニーズ」に刺さるプロダクトを作れずに大失敗した話をした。


(↑PonのTwitterアカウント。本名は吉田拓。何度も言うけど爽やかなのは顔だけ 笑)

こうなるはずという未来から逆算して、
必要な要素を落とし込んでプロダクトを作っても、
誰にもお金を払ってもらえない。


ユーザーが、"今すぐ"そのプロダクトを使わなきゃいけない必然性がないからだ。


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反省を活かして、
Ponは、プロダクトを作る手法を変えた。


徹底的に業界特有のバイアスを利用して、
サービス開発に活かす方法だ。


ここで言うバイアスとは、
その業界内部にいる人や、
その業界に対して外部の人が持っている思い込みのこと。



例えば、Ponが今CTOとして入っているLYXISでは、
LCATという介護離職リスクの診断アプリを開発している。

(Pon曰く、一応CTOではあるものの、
役割としては、VPoE=Vice President of Engineeringにイメージが近いそう)



LCATは、企業に対して提供し、
その企業の従業員が、各々の介護離職リスクレベルを知るためのサービスだ。


そして、
各自の介護リスクレベルに応じて、
必要があれば、専門家との面談をセットしてアドバイスを授ける。


今、親の介護によるビジネスマンの介護離職が、社会問題になっている。


企業にとっては、
40〜50代というマネジメント層が離職してしまうことは、非常に損失が大きい。


LCATを使えば、
企業は、従業員が介護離職してしまうリスクを減らせるし、
従業員は、介護離職によって、経済的にも精神的にも追い詰められるリスクを減らすことができる。


介護が必要になる前から適切な備えをしておければ、
実際に介護が必要になった時に、
家族の負担を大きく減らすことができるのだ。



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介護の兆候は見逃しがちだ。


親の健康状態をきちんと把握してる場合でも、
素人には、親が、いつ介護が必要な状態になるかなんてわからない。


さらに厄介なことに、本人や家族は、
親にもうすぐ介護が必要になるかもしれないという可能性を信じたがらないのだ。


そのため、親と身近に接している子どもでさえ、
ある日突然、親の介護をしなければならない状況に見舞われることがある。


親と離れて暮らしているビジネスマンは、いわずもがなだ。


以下は、Ponがあるイベントでプレゼンした資料の一部。


答えは、


実は、転ぶ回数が多いだけでも、介護が必要な状態の初期なのだ。


このように、「介護が必要な状態」に対する誤解は多い。


LCATはこのバイアスを突き、
ビジネスマンに自分の介護離職のリスクを適切に認識してもらうためのサービスだ。


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また、
介護に悲劇的なイメージを抱いている人も多い。


親も子どもも、
親に介護が必要になれば、
自分たちの人生が終ってしまうような偏見を抱いている人が多い。


適切な環境を整えてケアをすれば、
負担を大きく減らせることを理解して欲しい。


それだけで、
親と子どもの両サイドが、
精神的にかなり楽になるのだから。



LCATを使い、まずは、
きちんと自分の介護離職リスクを知ること。


そして、
介護が必要になった後にきちんと備えることで、
介護する側される側の両方の負担を小さくすること。


結果、「介護が縁起が悪いもので、不安のつきないものであること」というバイアスから世の中を開放する。


それがLYXISの目指す社会だ。

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Ponは、その他にも、
クリニックと薬局の間の「疑義照会」を簡単に行えるツールNYAUWを開発している。

(サービスの詳しい紹介は別記事で。)


何にせよPonは、
外部から見れば閉ざされた業界でうまくインサイトを掴んでいる。


その秘訣はなんだろうか。


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Ponはまず、業界のプロにひたすらヒアリングするそうだ。


そして、その人の話をひたすら深く聞いていく中で、
その人が自然と前提にしてしまっている"バイアス"を見つける。


業界のプロは、その業界に長くいすぎるがために、
外部の人から見れば"おかしな"バイアスにはまり込んでしまっていることが多い。


かといって、
例えば、「未だにカルテは手書き」など、
外部の人から見て明らかにおかしいことは、
ビジネス的には"つまらないの問題"であることが多い。


すでに解決策があるか、
解決策があっても広まらない理由があるからだ。


だからこそ、
業界の外部からは分からず、
業界のプロが言語化できていない(=盲点になっている)バイアスを発見する必要がある。


そのバイアスによる不利益を解決するサービスを作ればよいのだ。


Ponの会社のLYXISが対象とする介護の世界では、
介護のプロは、プロであるからこそ、
家族をリソースの一つとして捉えてしまっている。


つまり、介護のプロは、
「家族は仕事を休んで協力して介護のリソースになるべきだ」
とどこかで思い込んでしまっている。


そのため、家族と介護のプロで、コンフリクトが起きてしまいがちだ。


介護のプロの方から、家族の仕事まで心配した上での歩み寄りや啓蒙活動は起き辛い。


LYXISは介護を受ける本人と家族だけではなく、
家族との対話を通して、
介護のプロにも歩み寄ってもらうことを目指している。

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業界のプロにひたすらヒアリングをする。


そして、その人が気づかずに陥っているバイアスを見つける。


盲点となっているバイアスを見つけるためには、
その人の思考の癖まで徹底的に見抜くことだ。


そして、バイアスを見つければ、
他のプロにもヒアリングをする。


他のプロも同じバイアスにハマっていれば、
それは業界の構造的にみんながハマりやすいバイアスなのだ。


そんなバイアスをいくつか見つけ、
その中で、プロダクトによってそのバイアスを解消できるものに絞れば、
潜在的なニーズに刺さるサービスができ上がる。

しかも、
医療や介護といった閉ざされた業界でこれができれば、
マネされにくい、独自のポジションのビジネスを作ることができる。


これがPonが今行っているプロダクト開発の手法だ。


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次回の第3部では、
Ponが最近名乗っている、VPoE=Vice President of EngineeringとCTOの役割の違いについて紹介する。



CTOは、技術でエンジンアたちのトップをひた走る存在。
VPoEは、必ずしも技術力が高い必要はなく、エンジニアチームと経営陣の橋渡しをする存在。


近年、IT業界では、CTOとVPoEを区別するのがトレンドだ。


さらには、
Ponがエンジニアチームを率いるために気をつけていること、
経営者とVPoEが見ているレイヤーの具体的な違いなど
について紹介する。

これから、エンジニアチームを率いる人は必見だ。

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