うえむらこう

介護の仕事をしていた男です。 今は障がい者の相談役をしています。 「くらしから仕事を…

うえむらこう

介護の仕事をしていた男です。 今は障がい者の相談役をしています。 「くらしから仕事を、仕事からくらしを考える」 「ウソをつかない」 をテーマに文章を書いていきます。

最近の記事

月並

#習慣にしていること  朝ごはんはもっぱら、菓子パンとコーヒーが多い。気楽さが、健康に勝っている。雨が降っているという理由で、言い訳をしてアルバイトを休む。メールで嫌味を言われ、そろそろやめようかと思う。気になっていた近くのイタリアレストランがあったので行ってみる。おかわり自由の、今日何杯目かのコーヒーに、ミルクを入れる。  noteの5日間連続投稿に挑戦してみたが、5日目にしてかなわず。1日おいて今日の記事を書く。気楽さが、かろうじて、憂鬱に勝っている日々の中、月並の正

    • 暗闇

      #最近の学び  家に帰ったら真っ暗で電気が点かない。調べると、電気料金の支払いを忘れてた。払込票が見当たらないので、仕方なく今日は、暗闇でじっとする。手探りで歩いてみるが、扉にぶつかりそうになる。何も見えない生活は、恐ろしく、ほっとする。  とはいっても何もできないので、外に出てみる。夜なのに、家より外のほうが明るいのは新鮮な気持ちになる。仕事があった日に、夜遅く出歩くのは、いつのまにか久しぶりになっていた。周りが暗いほど、星や月が明るくよく見える。先の見えない生活は、不

      • 本棚

        #わたしの本棚  自宅に本棚がある。立派なものではなく、正方形の小さい木箱。文庫本が6冊くらいしか入らない。大体そこは空っぽで、定期的に図書館で借りた本を補充する。「空っぽの本棚」は、そのときそのときで違う顔を見せるので、自分がどういう人間かわからなくなる。冷蔵庫と本棚を見ればその人の生活がわかるというが、どちらも大抵空っぽか、整っていない日々であり、自分というものをあらわしているよう。  今週の本棚を見る。「ジェンダーレス入門」「だまし博士のだまされない知恵」「こんな世

        • 晩酌

          #休日のすごし方   月に1度、贅沢をして1人で居酒屋に行く。季節の桜の日本酒を飲み、アスパラの天ぷらを食べると、春が口に広がる。店主は元々老人ホームの調理師だったそうで、料理の味にこだわり、ホーム入居のみんなを太らせ、栄養士に怒られた話を笑ってしてくれる。少し偏屈な人だけど、仕事への誇りを感じた。自分の仕事はどうだろう?酔っ払った脳みそで考える。  居酒屋のあとは、ショットバーに行く。最初の一杯は決めていて、「青い月」という名前のカクテルを頼む。格好をつけているが、女性

          新調

          #新生活をたのしく    メガネを新調する。5年くらい前「仕事がんばろう」と少し奮発して買った、生まれた町の小さなメガネ屋で。前は金縁だったので、今度は黒縁にする。あの頃よりおとなになって見えるように。視力は少し悪くなっていて、でも、近くのものが見えないのは変わらずで。夫婦店主の子どもは、あの頃より大きくなっている。  家に帰る前に、最近駅の近くにできた、古着屋に寄る。脱サラした店主は、見られることより、自分が着たいものを、テーマにしているという。こんな世の中だからこそ、

          共存

           友人のシェアハウスに遊びに行く。緊張で借りてきた猫の状態であるが、みんな優しくしてくれる。恋人がいる人や子どもがいる人もいて、血のつながっていない人同士がひとつ屋根の下、自然に鍋を囲んだり、肩を叩いたりしている風景が新鮮に思う。他愛無い話をして、自分もそこで暮らしているかのようで嬉しくなるが、帰り道一人、異常に肩が凝っていることに気づき苦笑する。 ✾  福祉施設に入所になると、生活空間を共有することになる。個室がある施設もあるが、見守りや食事の時間などもあるので、完全に

          不安

           治験のボランティアをする。入院をし、開発中の薬を飲み、定期的な採血を行う。あとはひたすら、ベッドでスマートフォンを眺めている。食事は用意され、外部とのストレスはなく、外敵もいない。そんな安定した生活をしながら、よくわからない不安感がむくむくと湧き出る。清潔な空間の中、死にそうな顔で白い天井を眺めている。 ✾  精神疾患の方は、不安感が強くなることが多い。日常生活に支障が出るほどの鬱症状を抑えるために、抗不安薬を内服していたりする。接する鬱病者や統合失調症者の多くは、「考

          更生

           眼鏡を盗まれる。銭湯でシャワーを浴びたあと、置きっぱなしにしていたら無くなっている。気にいってたものだけに、とてもくやしい。顔の見えない犯人には、これから良くないことがたくさん起こるように、毎晩呪詛を唱えることにする。やられたことは未練がましく覚えている性質(たち)である。 ✾  昔は周りに迷惑ばかりかけてきた人が、年齢を重ねると、急に丸くなったり、大人しくなったりすることがある。かつては子を散々困らせていた親が、助けられる側になるとしおらしくなったり、優しいおばあちゃ

          自愛

           体が重いので整体に行ってみる。肩甲骨がゆるいので、腰がかばって負担になっているといわれる。結局、ゆるいやつのフォローを誰かがしなければいけないのな〜と思う。そんな人をたくさん見ているが、「もっと自分を大切に」なんて、そいつが一番思っていて、できないのだよ、と肩甲骨に呟く。 ✾  介護の仕事は、わりかし負担がかかる。人を支えるその人が、今にも倒れそうなことがある。一方、それは介護される側もそうで、図々しい人の陰で、わたしは全然大丈夫なんて遠慮している人が、本当に困っていた

          継承

           物事が続かない。仕事も、趣味も、人間関係も、四半世紀以上生きてきて、今も残っているものはあまりない。思うように動けてこれたとも考えるけど、振り返ると、脈略のない足跡と、落としてきた荷物と、連綿とした、表情のないビル街を一人で歩く、自分がいるような気持ちでいる。 ✾  就労支援の仕事は、仲良く仕事をするだけではない。時に、自分より年齢が上の人達を、褒めたり叱ったりする。大抵は響かなかったり、落ち込ませたりしてしまい、実際に自分も上司から叱られてへこんでばかりいる。支援は独

          歩幅

           中古車購入の契約をする。歩くのが好きで、少し遠いぐらいなら大抵歩いてた自分には、結構な決断だと思う。とはいえ、月日を重なるにつれて、歩きから、自転車へ、電車へ、バイクへと、移動の手段を変えてきた。あの日に比べて、簡単に遠くまで行けるようになったけれど、近くのものを見落としていないか気になる。 ✾  放課後デイサービスのアルバイトをしているので、ベビーカーを押したり、小さい子どもと手をつないで歩いたりする。少し遠いぐらいなら大抵歩いていた自分には、その歩幅の小ささにびっく

          素裸

           銭湯のアルバイトを始める。店番の見習いをしながら、「あの人は社長さんだよ」「あの人はVIP会員だから無料だよ」など教えてもらう。社長もVIP会員も、風呂に入ればスッポンポンでわからない。素裸の自分を鏡で眺めていると、悩み事が湯けむりでムクムクと溶けていく気がする。 ✾  介護の仕事をして驚くのは、素裸の他人を眺めることの多さである。着替えを手伝い、風呂を手伝い、オムツを替えるので、大抵の利用者の裸を知ることになる。他人に自分の裸を見せるのも見せられるのも、なんとも居心地

          物語

           むかしのものが好き。古本、古着、骨董など。かつて誰かのものだったことを、想像して撫でてみると楽しい。人もそうで、年月の数だけ、人の数だけ、たくさんの物語がある。頁をめくるように、少しずつ話を聞いていく。自分もその物語の一部になっていく。 ✾  むかしの話が好き。介護の仕事をしていると、その人の物語に触れる機会が多い。伴侶との出会い、戦中の暮らし、紆余曲折の日々。100年近い年月の途方さにクラクラして、時代と暮らしの違いにワクワクする。6人娘を産んだ母親、道の駅の創設談、

          祈願

           初詣の帰り道、緊急地震速報が鳴る。震源地の石川県で大津波警報の文字がある。倒壊した家屋や避難民の生活の映像を見て、無力感に包まれる。それでも自分は、ボランティアですら躊躇い、安全圏から祈ることしかできない。大勢が平和を祈った日に起きた出来事だのに、、頭が痛い。 ✾   相談を受けながら、正直どうしようもないと思うことがある。誰も悪くはないからこそ、運が悪かったとしかいいような出来事に、打ちのめされている人がいる。それでも自分は、相槌を打つことにすら戸惑い、無力感に包まれ

          抱負

          今年の生活の抱負①  車を買いたい。なるべくかわいいやつがいい。古くて、そんなに高くなくて、名前をつけたくなるやつがいい。犬も飼いたい。柴かコーギーか、グレートピレネーズみたいな大きいのも憧れる。小さい庭があるから、野菜も育ててみたい。少しの料理ができるとよい。 🚗🐶🥦 今年の仕事の抱負①  資格をとりたい。保育士、登録販売者、相談支援専門員、サービス管理責任者。気晴らしになるし、コレクションするのが楽しい。転職活動もしてみたい。実際にするかはさておいて、色々な仕事を知っ

          大人

           ところでそろそろ20代も終わるが、現状報告としては参ったねという感じ。お前はおそらくもう少しまともであることを期待しただろうが、生活もお金もぜんぜん余裕はないし、上司にイライラしてることはバレるし、洗濯物は間に合わないからドライヤーで乾かすし、独身だし、残念ながらお前が考えている、立派な大人とは程遠い生活をしている。こんな大人になるなんて、想像できなかったでしょ? ✾  そういえば最近は先生と呼ばれたりもする。何でかというと子どもと関わるバイトをしていて、それは決まりと