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#ひらがなまっする のおわりによせて 極めて個人的なたわごと

▷おわりのはじまりによせて なにもまとまらないままはじめる

おわりになにか、なにかじぶんでも残したくなる #ひらがなまっする の最高の熱量に負けて。千秋楽公演が配信されて、本当に終わってしまったことがわかって。お世辞にも文章を書ける人間ではないけれど、せめて今思っていることをぽつぽつと残して置くことが、ひとつのはなむけになれるかもしれない、と文字を打っている。推敲なんてここにはないので、極めて個人的な慕情。

▶まっするにいちばん最初に抱いたイメージは、2.9次元ミュージカルの皮を被った、ササダンゴさんイズム的な作劇とプロレス、そして酸いも甘いも噛み分けたおじさんたちのリ・青春。公演前のおじさんまっするたちのスペースで、予定調和の壁とテイも蹴っ飛ばされながら発表された公開ゲネ。それぞれのおじさんたちにはまだまだ夢は追っている道程にはいるにはいるけど、それぞれの拠ん所ない事情は抱えざるを得ない、それを嘆きつつ公演へ少しずつコマを進めていく、たまらなく愛おしいおじさんたちだなあ、と。そもそもおじさんという生き物自体の強さはあるけども。

※補 さいしょに見たまっするがまっする5~必殺技はもう決まらない~だから、だったのもあるのかもしれない。現在進行系のおじさんの青春。

2022.03.31 千秋楽 まっする6 -下北ONE PLUS ONE-

▶さいごの #ひらがなまっする がはじまる日、 始まる前にわたしの情緒が先に音を上げた。あまりにも早すぎる感無量。ちゃんと見たのは前回がはじめて、感情が八千代ジェットコースターだわね…

勝俣選手や渡瀬選手らのどーんとストレートど真ん中!みたいに感情を伝えるのがうんまい人たちのツイートから伝わってくる本番前特有の青春っぽい空気、箸がひとつ転がっても面白かったり、#朝ペヤング 的な極めて幸せな内輪ノリが発生しやすい小屋入りのハイにキマったテンション(もちろんだけど、小屋入りのいいことのひとつ!) がわかって。興行に、エンタメに何がいちばん大事なんてすぐに答のでないことだと思ってるけど、無茶苦茶なスケジュールと後楽園ホール、そして下北沢へ極限に押し込められた中でどんどん大きくなる「やってて楽しい、愛おしい」の熱量は否応なく口に投げ込まれるそのとき、そのタイミングだったねえ。と。

出演者からのあまりにもサラッとした密告でわかる、実質3日~4日の稽古期間で通しもできてないという 普通の舞台で考えたらゲロゲロファッキン鬼やべ~状況でも伝わってくる最早ポジティブな印象(竹下選手の「正直、通しておきたかった!」がとてもらしくて好き。正直でよろしい)とか。このあたりの無茶苦茶具合は、まっする7の興行全体・座組の発する熱量のデカさとか、「プロレスラーだからですよ」「うちの子たち、すごいでしょ?」にも繋がってくるわけで。

そのスケジュール感であっても、もちろん後楽園ホールは抑えてあるし、北沢タウンホールだって9月8日・9日には行かなきゃいけないし、チケットだって販売済みだし。まっするだってやらなくちゃいけないことには変わりがない。たとえ主役が透明人間になったって、始まらなくちゃいけないことで、始まったら終わらなくてはいけないことで。ショー・マスト・ゴーオン的なそれで。

全部の熱量とか無理やりさ・流れ、もちろんDDTプロレスグループへのここ半年ちょっとで増幅の一途を辿っていたラブもありつつ、全部が巡り合わせて奔流になって、ときすでに早し、感無量大数くらいのテンション感で迎えるまっする7 後楽園ホールだった。

プロレス興行の物販で開演前から売られる台本、あまりにもハードコア

まっする6の初日、上野選手の代役・透明人間を相手にシングルマッチをやり切った「プロレスラーだからですよ」。何もまっする6の初日のメインイベントだけじゃなく、#ひらがなまっする 全般において象徴的なセリフだよなあ、と勝手にふんふん納得してる節がある。

プロレス興行の進行台本を手に取るという背徳感、開演前から販売するハードコア物販は一旦置いておいて、観客がどこまで手を伸ばしても触れられないプロレス興行のフチに、あれ?ここだっけ?と間違えて触っちゃったような気概。触ったものはまたちょっと違うものなんだけども。

もちろんマッスル坂井先生のつくったモノが、プロレスやDDTプロレスという枠を超えて好きになれたな、という人間にしっかりなったなとは自負できてはいるので、台本という超ごちそうは言うまでもなく骨の髄までムシャムシャ食える。ここまでがササダンゴ先生が書いてる部分なのねとか、クセの強いト書きとか、あの人の役名だとか、俺のバナナだとか。まだまだ観れていないものだらけだろうけど、プロレスやDDTプロレス関係なく、人間愛的なところや、ちょっとイカ臭さもあるみたいなとこ、スペースで吐き捨てる大人げない反骨なところ、正体不明のマスクマンに象徴されるような構造づくりとか。語彙力がねえですけども、台本にサインを頂いたときの笑顔が忘れられないのですよね。

芸が細かいぜ!というところは進行台本を超えても無数にあるんだけど、「プロレス興行のフチ」論絡みの琴線を的確にぱちんと切ってくるのも台本がガンガンにやってくる。進行台本というひとつの柱を与えられた状態での複数ステージ進行。鈴木健.txtさんのインサイドリポートでしっかり言語化されたものの受け売りでしかないのだが、「まっする」に炙り出される現実なのか、現実が「まっする」の先なのか、受け手は妄々とさせてられることしかないのだけれど、自分の考えている境界線が、普段見ているプロレスを超えて来るスケールで揺らされていく。これってこの「まっする」じゃないと、出来ないことのひとつなんだよな、と強く説きたい気分、誰かに。

わちゃわちゃ全員大団円ダンスに世界一弱いおじさん、こと私
今林さんの送り出し公演でこういうことやるのズルいぜ!派

▶プロレスラーじゃないと、というか、DDTグループのこのメンバーじゃないと、このスタッフじゃないと、あなたたちじゃないと出来なかったんだろうな、というのは終わってからさらに大きく物証がばんばか出てくる。ジバラへアメリカ在住のリスナーさんが出ていた回やら、鈴木健.txtさんのリポートやら、新番長からの台本紙切れ1枚告発やら。本番10日前の時点で紙切れ1枚、間に名古屋でのそこそこ大きめな興行も挟み、その間に台本を販売できる状態になるまで完成させ、セリフも入れ、新曲2曲作って、振り付けも付けて全員に落とし、45分間の試合もあり、エピトリカやって、かなりきちんとした映像に(やっぱりSTARDUSTのカラオケ映像とか、OPのDDT的なイズム満載のやつとか、ああいうのでわくわくして生気を養っているとこがある)、照明もちゃんと曲もRECしてミックスして配信できるまでの状態にし、実質稽古3~4日でアレを作り上げてね、たまったもんじゃないよ、と。開いた口が塞がらないし、歯も全部抜けそうな勢い。せっかく矯正してるのに!

まずできるできないのスペック的なところで考えると、普通の舞台ではまず無理が先に来てしまうスケジュール感。1ヶ月~以上のスパンで考えるやることの量。プロレスラーがプロレスの器でやる、ということをもちろん差し引いたってだって、そう(まず、出役だけで成り立っている訳ではないだろうし)。坂井さんが撒いたモトに、異様な吸収力と発展力、引き伸ばす力があればこれって本当にできちゃうんだな…って、そういう方面のファンタジーを読んでいる気持ちになってきた。アクション監督竹下幸之介先生!あと、RAM RIDERさんがひと晩(どころか数時間)で曲書いた話は本当にちょっと引いちゃった。本気の追い詰められた大人って怖い。あと、そのあたりを諸々支えるグッズ、公演制作、デザイン、映像、舞台周り、照明(千秋楽、ダンスの照明変わっていたよなあ、とふと思い出した)、運転、アントンさんやヤスさんら、村田さん鈴木さん、マイクさん(かっっっこいい)、ヌケがあったら申し訳ないけれど諸々の大人の総動員の結実、信じられるなDDTグループ…な、なつき度メガマックスになった興行でもありました。

スペック的にできる、となっても、そんなん気持ちが付いていかなければできるものも出来ないわけで。可否とかそれ以上に座組の気持ちとラブの積み重ねみたいなところがでかいんだろうな、と、いわゆるビックラブの波にいま朝のマックで襲われている最中です。3年(足掛けマッスル6年、DDTグループ25年)、デビューしてから、DDTグループに所属してから、まっする・もしくは親しい所に出会ってから、裏切らずに信頼を重ねてきて、たとえテンゴなのかもしれなかったけど、しっかりと好きを抱えていた証が今回のまっする7なのかなあ、と自分から迸る愛おしさを抑えきれずに。

エンドロールを見つめる鶴見、マオ、ササダンゴ

▶どうしてもこうしても、感情が集約されて、もっていかれてしまったラスト。「まっする」に炙り出される現実なのか、現実が「まっする」の先なのか。わたしは鶴見さんではないし、今林さんではないし、ササダンゴさんでもないし、坂井さんでもないし、井上麻生さんではないし、MAOさんでもないし、ハーマンミラー・マオでもないし。当たり前なのではあるが、まあそいうもの、ちょっぴり窓のカーテンめくってくれるのもまた一興だし、こちらが必死に開けようとただもがくだけでもそれもまたいい運動だし。フォーカスするのはそこではないのかもしれないけど、双方へ極めて個人的な慕情もありつつ、まっする7のラストを飾るふたりの闘いは信じられないくらいきちんと頭を殴られた。

イチャイチャしたい、とプレイのシナリオを持ち込むところから始まり、いままでにないくらいリング上に出ずっぱりの今林さんに場がずいずいと引き込まれていく感覚が好きである。そんなところではきっと誰もがかなわないし、稲田さんがまっするで強くあれたように、今林さんは舞台の上だけではなく(絶対的な早稲田大学への信仰)、リングの上でも大きく強く掴んでいく。終盤でそれと正面から相対して、全日制の番長(だよね?)・ハーマンミラー・マオは4試合の中で、勝敗を覆し、声援の中あんなにも求心させている鶴見亜門からまた勝利する。

とても正直なところ、MAOというプロレスラーに大変信頼を寄せている。傾倒であるし、心酔であるし、信仰なのかもしれないし、憧れであることには必ず間違いないな、と思う。ちょっと変で、後ろからリングの板材で小突かれるような、全部を爆破してから帰っていくような。そんなイズムが信条にあるような人物が、突然正面からしっかり研いだ両刃剣をひとつ携えてたたっ斬ってくるのである。もちろんそういう武器があると承知はしていたつもりだったけど、パロディにパロディを重ねて重ねて、たどり着いた旅先で突然に切りつけられる。相対している向こう側のこの期間中のめちゃくちゃに重い質量や、「めんどくせえ」という言葉を辞書で引いてみたり、HiGH&LOWの登場人物を調べてみたり。毎回なにかするごとに宮城県大崎市の方角へ礼を欠かさないタイプの信者であるけども、ふと見知らぬデカい勉強机の引き出しが空いた出来事だった。たぶん未来に繋がるタイムマシン空間的なあれである、という極めて個人的なたわごと。

今林さんは、最終回を3回経験しているらしい。
終わるから、終わらせたから結果いまの今林さんが存在しているわけで。また今回もきっかけこそあれど、終わりたくない、終わらせたくない。こんな日は来てほしくなかった。しっかりとそう思える時間を、954日(+α)過ごして、しっかりと終わりを迎えられた。

翌日以降も変わらず日時は続くし(なんなら竹下さんの周年興行)、歳は取るし。もちろん今回のいとおしい時間は懐かしむだろうし、大切にするけども。ひとつの青春を終わらせて、また進みつづける時間しかまたつぎの青春に連れて行ってくれないのだろうな、と胴上げされている鶴見亜門さんを眺めて思った。

9/18、そろそろ夏が終わろうとしている。

うちの子たち、すごいでしょ?

▷おわりのおわりによせて さいごまでなにもかもたっぷりの#ひらがなまっする、このあとすぐ始まる試合まであまりに時間がなゆえの溜め書き

▶DDTって割りと幅が広いプロレス団体だけど、更に切り口を増やしてくる「まっする」という所業の話 
▶高木さんの手を離れている「まっする」の中に存在するドメステック・ドタキャンチームと納谷木七八四郎
▶上野勇希というちょっとしたどころでない化け物 (歌とダンスは苦手)
▶世界一芸達者元力士、樋口さん
▶より近い意味合いでの今成夢人
▶村田さんに羽が生えたように見える話
▶ドプロ、稲田さんが愛した「まっする」
▶竹下幸之介のスキマ
▶全日制、旋風脚
▶ピンスポ、はずれんなよ
▶最後のスタナー祭り、スタナーという意味合い 

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