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【プライバシー・クライシス(斎藤貴男)】うえこーの書評#73

 現在マイナンバー制度が実施されている。これ自体最近始まったものだが、国民一人一人に番号をつけて管理しようという考えは以前からあったようだ。

この本は1990年代に国民総背番号制が議論されていたころの本だ。著者は様々な例を挙げながらその危険性を書いてくれている。

国民総背番号制は手続きの簡略化などのメリットがある。しかし、著者がいうように国民ひとりひとりの情報が一つにまとめられ管理されることにつながる。

たしかにとくに犯罪などに手を出さなければ国に管理されたところであまり関係がない。しかし、どのような行為が犯罪になるかは国に依存しているので、急に犯罪者にしたてられてしまうことも可能性としてはありうる。

著者の場合、引っ越し後に警察官から個人情報の記入をお願いされたが、拒否をした。そうすると、マークされてしまったのか著者の職業、家の構造などが言ってもいないのに把握されていたという。

この記述を読むと、国家権力の恐ろしさを垣間見たような気がした。

 この本が書かれてから約20年がたった。テクノロジーの発展でさらに個人情報が管理されていることだろう。そのことでより便利な生活が送れているのは事実だが、同時により国家から監視されている危険性もあることも意識しなければならない。

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