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【私の脳科学講義(利根川進)】うえこーの書評#104

 利根川進さんの講演会録や対談をまとめた本。

利根川さんがもともと分子生物学から免疫機構について研究していた方であることは知らなかった。また、その後研究テーマを変えて未だに研究を続けられるところに研究への情熱を感じた。

 また、本文中にその時期をすぎると学習効果が著しく落ちる臨界期について述べていることが多かった。私にも臨界期が迫っているのだと思うとうかうかしていられない。

 いま日本では、初等教育から大学や大学院の教育まで、教育に関するさまざまな問題をかかえています。日本の現在の教育は、いわゆる知力とか知識だけにひじょうに重きをおいています。偏差値にひじょうに大きな価値をおく社会になっています。そのために、知力以外の能力、たとえばある物事にひじょうに敏感に反応して豊かな感情をしめすといった、感性の分野における刺激が少ないのではないかと思うのです。(...)
 日本の教育の将来、もっと多様な価値観を認めて、人間の能力はいわゆる学力だけでは測れないものであることを、社会全体が認識することが重要であると思います。そのためには感性と知性がうまく作用しあって、両方がともに成長できるような教育システムを考えていくべきではないでしょうか。(p.64)
 自分にとって何がほんとうに重要かということを、どこにほんとうのおもしろみがあるかということをしっかりと認識して、それにもとづいて人生を設計していく。わたしはそういう人が成功するのだと思います。(p.130)
 人間関係で一番つながりをつくるのは、おたがいがおたがいを尊敬するかどうかだと思います。(...)その人間に内容があるかどうかということが重要です。
 内容のない人間とつきあっているのは、その人自身の能力のなさをしめしているというのがわたしの考えです。(p.146)

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