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【人生確率論のススメ(勝間和代)】 うえこーの書評#115

 運の良し悪しというものは、基本自分では制御できないものだ。例えば、受験でもどれだけ受験祈願したとしても、落ちるときは落ちるし、受かるときは受かる。
 しかし、確率で物事を考えると、具体的に自分がどのような行動をすれば良いかがわかる。受験では、勉強をすることで合格する確率を上げていく。


この本で著者が伝えたいことはまえがきのこの部分に集約されている。 

 私の好きな心理学者リチャード・ワイズマン博士は「運」についてのさまざまな研究を行っていますが、次の4つ行動・思考習慣がある人は、統計的優位に運がいいし、そのような行動習慣をつけることで、後天的にも運が良くなることがわかっています。
 運を良くする行動・思考習慣とは‥‥‥
 1 チャンスを最大限に広げる
 2 虫の知らせを聞き逃さない
 3 幸運を期待する
 4 不運を幸運に変える
 つまり、運とは、特定の条件の下で私たちが選択した行動や思考による結果のばらつきであり、私たちは、
 ・条件を理解すること
 ・行動や思考を選択すること
の繰り返しで、実は、ある程度、結果のばらつきを「より良い結果が出る」ように変化させることができるのです。

p.5-6

人付き合いで気をつけることにも言及されている。

 人付き合いで大事なのは、出会いの「数」を増やすこと以上に、付き合いの「質」を高めることだと思っています。
 私が常に意識しているのは、「自分の相対化」「利他力」「嘘をつかない」の3つです。

p.27


選択理論心理学とは、アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士が提唱した心理学です。平たく言うと、私たちは心の中に上質世界と呼ぶ、なりたい自分、なりたい人間関係、持ちたい持ち物といった、理想の世界があって、日々の行動や思考において、その上質世界に近づくために、一つずつ選択している、というものです。
 この考えの中では、誰もが、生存の欲求、愛・所属の欲求、力の欲求、自由の欲求、楽しみの欲求という「5つの基本的欲求」を持っているとされています。(…)そして、私たちはみんな、自分が持っている5つの基本的欲求を満たすように(満たされたイメージが「上質世界」です)、行動しているというわけです。

p.35-36

この本で選択理論心理学という分野があることを初めて知った。

「置かれた場所で咲きなさい」という思想も大事だが、一方で自分に合わないところとはさっさと縁を切ることも大事だ。

 (こうした思考を、)私は「可能性のボックスを広げる」と呼んでいます。狭いところで無駄な努力をするのではなく、分野を広げる、努力の対象を広げるという発想を、常に多少は持っておいたほうが、人生は楽になります。

p.61

 特に、確率的思考は現在のコロナ禍でとても重要な考え方だ。コロナを恐れすぎて、一歩も家から出なかったり、毎週のようにPCR検査を受けたりするのはやりすぎだ。そもそも、ウイルス相手にゼロリスクを求めるのは不可能だ。逆に「コロナはただの風邪だ」とまったく気にしないのも問題だ。実際、普通の風邪とは違う性質がコロナウイルスにはある。確率論的に考えれば、高齢者でなければコロナで死ぬことはほとんどない。一方、自分が他者に感染させてしまうことはありうるので、感染対策は入念に行う。物事を確率的に考えることで、より私たちは適切な行動を取れるようになるだろう。

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