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【数理科学 2018年03月号】うえこーの書評#68

巻頭言(坂本眞人)

坂本さんが数理科学の巻頭言を書くと、特集で書かれた記事全てに脚注で言及することが多い。

古典力学から量子力学へ(前野昌弘)

古典力学と量子力学を説明する上で、解析力学は外せない。Hamilton-Jacobi方程式とSchrödinger方程式が「一本の方程式ですべてが記述できる」形式である点で似ていることはこの記事を見るまで、気づかなかった。また、Plankがエネルギーが不連続であると考えたという一般的な歴史的説明は厳密には違うらしい。

量子論と電磁気学(仁尾真紀子)

電磁気学との関連というよりは素粒子理論っぽい内容。深層学習を物理の研究に用いると新たな発見があるのではないかという期待が持てる。

量子論と統計力学(西野友年)

気体の振る舞いの復習になる記事。分子運動論、統計力学の基礎になっている量子論の説明がわかりやすい。

量子論と相対論 (細谷暁夫)

量子測定について簡単にまとめられている。まだ、ちゃんと理解できていない。

最後の文章が印象的。

最後に、私が「科学の放棄」として、忌み嫌っていた「人間原理」も、このエンタングルメントの意味でならいいかもしれない、と思う。つまり、人間が存在している物質界とエンタングルしている時空だけが実現している。というのである。(p.35)

量子論と素粒子物理(藤川和男)

最後、CPT対称性について書かれている。CPT対称性は実験的には破られていないが、理論的には破られる可能性もあるらしい。

量子論と代数 思考と表現の進化論(谷村省吾)

数学がなぜこんなにも現実世界を説明できるのかという問いに対する一つの考えが書かれている。谷村さんの話は物理と哲学の狭間で展開されることが多く、読むのが楽しい。

量子と情報 量子力学から始まる新しい情報科学(林正人)

正直あまり理解できていない。量子情報の勉強はぼちぼち始める予定なので、またある程度勉強してから読み返そう。

君はシュレディンガーの猫を『観た』か?(橘基)

日常において「観る」という動作について書かれている。

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