見出し画像

【下流社会 第2章(三浦展)】うえこーの書評#109

 著者の行ったアンケートを基に現在の日本人の傾向を調べたことをまとめた本。2007年発行、関東圏のみでのアンケートなので現在の状況とは異なるところもあるだろうが、一つの指標にはなるだろう。
 
 女性の社会進出が増え、女性の収入が増えてきたことにより、各家庭での格差がより増しているらしい。

 年収の高い男性ほど妻に求める年収が高い。こうなると、年収の高い男性ほど妻の年収が高く、年収の低い男性ほど妻の年収が低いということになり、夫婦合計した年収の格差が拡大することになる。

(p.29)

また、支持政党との関係も調べられている。

消費好きな男性は自民党支持であるということだろう。

(p.50)

下流でパソコン好きな男性は自民党支持率が高いという仮説も成り立つ。

(p.51)

一応仮説のレベルだという言及はあるが、原因と結果が本当に合っているかはわからないと思う。もしかしたら自民党支持者になると、消費好き、下流、パソコン好きになるのかもしれない。

ニートは誰にも迷惑をかけず、自分の力でインターネットを使って収入を得ている。たしかにそれは労働とはいい難い。だから労働自体を重視する価値観から見れば、ニートはインターネット社会の鬼っ子だということになろう。
 だが、家の軒先に自動販売機を置いて収入を得ている人も、労働をしているとは言い難い。背取りのほうがまだ労働的であろう。そう考えると、少なくとも収入のあるニートに文句を付ける筋合いはないのだ。
 それでも文句が出るのは、背取りをして得た所得には、所得税も消費税もかからない点であろう。勤労と納税の義務を果たさないから、ニートは批判されるのである。

(p.90)

著者自身はニートに対して悪いイメージはないようだ。しかし、ネットで稼いでいてもニート扱いされるのがまだ2007年の調査だからであろう。よりネットで仕事をするようになった現在では、ネットで稼いでいれば、ニート扱いされないだろう。

下流にあるのは自国への愛情というナショナリズムではなく、「反中」「反韓」「反米」というネガティブな形でのナショナリズムであると言える。

(p.157-158)

 この結果を見ると、Twitterで散見される「ネトウヨ」の方々は下流で自分の鬱憤を「反中」「反韓」「反米」でしか吐き出せないかわいそうな人々であることが予想できる。

同じ著者の本

Amazon.co.jpアソシエイト


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?