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【精神分析入門(上)(フロイト/高橋義孝・下坂幸三訳)】うえこーの書評#105

 精神分析の分野を切り開いたフロイトの著作。当時「意識」のみ重要だと考えられてきた中、「無意識」が「意識」に及ぼす影響が具体的に書かれている。

 上巻では錯誤行為、夢を分析することでその人が無意識化で何を考えているかがわかることが書かれている。郵便物を送ろうとしても、ミスが続いてどうしても出せないとき、その人は本当はその郵便物を出したくない可能性がある。また、その人がやりたいと思っているができないことが夢の内容として表れることもあるらしい。

 人間の意識を理解するには無意識にまで目を向けていく必要がある。

 何かしようと思ったそのことを忘れるのは、全く一般的に、そのしようと思ったことを実行させまいとして、それに抵抗する心の動きに原因があるとみることができます。(p.67)
物を紛失するのは、その贈り主と不仲になり、その人を思い出すことを好まない時とか、あるいはまたその品物自体がもはや気に入らなくなって、別のもっといいのと取りかえる口実がほしいと思っている時などに起る現象です。(p.69)
 まったく自由に頭に浮んでくるようにみえる思いつきも、しかるべき理由があって浮んできたのであり、また、一定の関連の中に位置づけられているとすれば、数々の思いつきも同じくたった一つの制約、すなわち発端となった一表象による制約を受けていることがあると結論して一向にさしつかえないでしょう。調べてみると実際にいろいろの思いつきは、その発端となる一表象によってわれわれが加えた束縛のほかに、さらにもう一つ、強い感情をともなう思想や関心の領域、すなわちコンプレクスに左右されていることを示しています。このコンプレクスがそこに同時に働いているということは、その瞬間には本人にはわからないのです。つまりそれは無意識的なのです。(p.148)

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