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【毎週ショートショートnote作品】1分しまうま

 一分間だけ、シマウマが局地的に大量発生する地帯がある。

 それは僕が通う小学校の校庭だ。

 毎日午後二時四十五分になると、決まって学校の校庭に何十頭ものシマウマの群れが突如出現するのだ。

 そして午後二時四十六分になった瞬間、シマウマの群れは一頭残らず校庭から消滅する。

 この現象は今日に至るまで二十八年間続いていて、我が校の伝統みたいになっている。

 入学したての一年生は午後二時四十五分になると窓の外に注目して授業どころではなくなるが、進級していくにつれてそれが日常の光景と化すためにやがて誰も気にしなくなる。

 動物園に行かなくてもシマウマが見れるということで、その時間帯になると学校の周りに多くの見物客が集まるのも僕らの学校ならではの光景だ。

 なぜ僕らの小学校に一分間だけシマウマが出現し、そして消滅するのか、詳しい原理はわかっていない。

 ワームホールとか集団転移とか色々な説があるけれど、未だに謎に包まれた現象なのだ。

(409文字)


 以前からずっと面白そうな企画だと思っていて、今回初めて参加させていただきました。

 こういったお題があった上で作品を考えるのはとても楽しい経験でした!

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