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来てもいない未来、過ごしていない青春

「たそがれたかこ」を1〜10巻まで1週間で一気に読んだ。

「マツコの知らない世界」で漫画好きの編集者さんがおすすめされていて気になっていたのだ。

まあなんとも、地味な話なのだ。だけど目が話せない。

中年のババァが青春しちゃってさ。危なっかしくて目が離せないの。

物語はバツイチ独身の45歳のたかこが自分のボケの入った母親と過ごしながら偶然聞いた深夜のラジオで好きなになったバンドのボーカル「ヤザイケ」を応援していくうちに自分も遅すぎた青春を過ごすのだった。中年に差し掛かる、親の老いや、娘の不登校、そして少年への恋。音楽まで始めちゃう。

若い人から見たら、なにこれ、気持ち悪いって思うかもしれない。でも作者は丁寧に中年女性が憧れの人にキュンキュンする心境を絵やセリフで伝える。本当は歳を重ねてもいつまでたっても女性って「女の子」なんだなと。そして同時に幼い頃から女の子は「女性」なのだなと。

今私は33歳なんだけど、私もこんな歳になって漫画を描き始めている。

本当は大学生の頃に持ち込みに行って才能がないって言われて、諦めて就職して全然違うことするつもりだったのにまた漫画描き始めている。

そういうところがあって、たかこには共感してしまう。

幾つになっても理性なんて役に立たないのだと。やりたいことをやるのが一番生き生きするのだと。

そう、気づいたのは、たかこの話はリアルでありながらリアルじゃないのだ。

こんな現実実際はないのだ。イケメンおじさんに親身にされたり、自分の管理しているアパートに、好きになる男の子が声をかけてきたり、娘が友達のように親身になってくれたり。予想だけど、中年女性の憧れをたかこが自分の手で叶えてくれてるように思う。

しかし読んでいる間、私はたかこの人生を過ごしたのだ。

たかこの青春を自分に照らしながら、同時に自分がたかこと同じ歳になった時、たかこのようになれたらなぁと感じる。

漫画を勉強している目線として

<良かったところ>

・キャラクター設定が丁寧でリアル。よくも悪くも漫画的じゃない。なのでアニメよりも実写向き。

・風景と人物の描写が丁寧。読者が実体験できるようなコマの運びが女性作家らしい(男性っぽいPNだけど)。

・地味な展開だがうまい!10巻まで!すごい!全然飽きない!

<悪かったところ>

・そんな思い浮かばない・・・けど読者は選ぶかもしれない。

・最初が動き出し遅いわりに、最後は畳み掛けるように終わったのが少し残念かな。というかもっと読みたいってことだと思う。




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