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ゴミ停当番

ゴミ・資源の集積所、通称「ゴミ停」。
そこには地域の治安が現れる。

我が家の使っているゴミ停は自治会の組分けされたグループ2つ分の約20軒くらいで構成される人々で共有されていて、それ以外の人はそこのゴミ停を使うことはできない。そういうルールはたぶん、どこの地域でも変わらないと思うのだけれど、近年車で乗り付けて不法投棄をしていくような迷惑行為が地域で問題になっていた。

そんな不届き者に目をつけられたあちこちのゴミ停が少しずつ改良されて鍵つきになるにつれ、私達のゴミ停にもたびたび不法投棄がされ、ついには私達のゴミ停も鍵つきになった。
常にダイヤル式の南京錠をかけておいて、ゴミ停を使うグループの各家には番号が知らされておりゴミか出せるので、当番の家の人が収集車が来る時間の前に鍵を開けておくというものだ。
元々各家一週間ずつ持ち回りの掃除当番が回っているので、掃除当番が鍵も管理する。とはいえ、まぁ20軒そこそこで一週間ずつなので年間2回くらいしか回ってこないお当番。
大変ではないはずなのだけれど、前年度、何故かウチの当番週はお盆の週と年末最終の回収にかかる週。
盆暮といえばまだ薄暗い早朝からお墓参りの方がいらっしゃる。お寺としては、ゴミ回収の時間はなかなかの忙しさな上に、敷地の広さからゴミ停への行き帰りに若干時間がかかる。これはわざとではないのかと疑いたくなるような恨めしさで、家族には何度か愚痴を言ったりもしたけれど、まぁ仕方ない。偶然なんだろう。考えようによっては、盆暮れに帰省してしまうようなお家じゃなくてよかったのかもしれないと思うことにした。

そんな前年度のもやもやもあり、今回5月の平日で当番が回ってきた時には「あら?今回ずいぶん回ってくるの早くない?何軒か当番せずに回してるよね?」と一瞬思ったけれど、高齢者のみの世帯も多い地域。できない人もいるかもしれないし、盆暮れじゃなければ回数は多くてもその方が助かる我が家としては「まぁいっか」な瑣末事。

「熱くも寒くもないし、朝の鍵開け閉めもこの時期なら楽々〜」とホウキ片手に鍵を閉めに行ったところ…
60cmほどある枝切り鋏を片手にぶらぶらさせながら明らかに「うろついている」体格のいいオジサンがいる。
「人は、どこへという訳でもなくうろついているという事がぱっと見た後ろ姿だけで判断できるものなんだな」とぼんやりと考えながら、ゴミ停は目の前だけれど「他に誰もいない路上でこれはヤバイな」と一旦家に帰ろうとした時、オジサンがくるっと方向転換をして私も視界に入ってしまった。
これはヤバいと思うが背中を向けるのは却って危険かもしれない。とりあえず何かあった時に振り上げられるようホウキの向きを整えて握り、足早に通り過ぎつつオバチャン(私)は無害ですアピールに「こんにちはー」と言ってみたら、それはなんとゴミ停前の家のご主人。「おう!ご苦労さん」と笑顔で言われた。

あら?もしかして、鍵の開いている時間を枝切り鋏パトロールしてくれてた?!
そういえば、最近は曜日に合わない変なゴミもなくなったし。
わーん、変質者と間違えてごめんなさい‼
そしていつもありがとう!!!

でも、やっぱりちょっと異様な怖さよ、枝切り鋏オジサン。もう少し、どうにかならないかな…

もし、サポートなんてスペシャルな事があったらどうしよう! 写経用紙買って写経して、あなたに幸せがあるように書いて、そして手を合わせようかしら☺